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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.02.26

リユース市場4年後に3割増へ、政府が拡大する理由

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


「リユース市場4年後に3割増へ、政府が拡大する理由」


吉田:政府は、使用済みの服や家具などを再利用する「リユース品」の市場規模を、2024年のおよそ3兆5,000億円から、4兆6,000億円規模に拡大する方針です。そこで今朝は、リユース市場拡大について、塚越さんに解説いただきます。


ユージ:塚越さん、まず現在のリユース市場はどんな状況でしょうか?


塚越さん:まずメルカリなどのフリマアプリだと、消費者同士のやり取りが簡単になりましたよね。しかも最近は物価高なので、状態の良い中古品、リユースを選ぶ消費者も増加しています。また、「飽きたら売る」だけでなく、例えば新品を買う場合も、最初から「これリユースで出しちゃおう」と想定する人もいます。そうなると、売るのが前提なので、ちょっと高い新品にも手が出るなんていう考えの人も、私の友人にも結構いますね。加えて、かなり前から「古着ブーム」ですよね。私も定期的に古着を買っていて、今日も古着を着ています。ものによっては70年代とか80年代の服なんかも普通にあったりして、私も50年代の服を最近買いました。特に若い世代には「レトロ家具」なども高評価で取引されていて、売り買いの中で最終的に物が長く使われることになります。単にブームというだけでなく、いわゆる「SDGs」にも貢献しますよね。こうした背景もあって、政府は2024年におよそ3兆5,000億円だったリユース市場の規模を、6年後の2030年には4兆6,000億円規模、だいたい3割拡大することを目的にしています。これまでの市場の成長は年1%程度だったのですが、最近は成長率も上がってきていて、政府目標を達成するには年間4%から5%の成長が必要なので、政府が後押しして、メインが衣類、家具、家電などになるということです。ちなみにリユース市場は、圧倒的に自動車のシェアが高いんですよ。全体の半分以上が自動車で、中古車市場は確立されているので、今回のメインターゲットは衣類、家具、家電などですね。


ユージ:自動車は家電とかと比べると金額も大きいですからね。市場に貢献してますよね。


吉田:政府が市場拡大を目指す理由はなんでしょうか?


塚越さん:特に重視するのが、ごみの排出抑制だったり、製造と廃棄に出る「CO2」の削減です。政府は脱炭素と成長を両立する「循環経済(サーキュラーエコノミー)」を進めようとしていて、この循環経済関連ビジネスを2030年までに、今の50兆円から80兆円以上へ拡大するという目標を掲げているので、今回のリユース市場の後押しもここに位置づけられるのかなと。もう一つはごみの処理です。ごみの量自体はピークより減っていますが、それでも年間2兆円以上も処理にかかります。しかも、ごみを埋め立てる最終処分場は、全国平均であと24.8年、約25年でいっぱいになるという予想なので、新しく作るのも難しい。まさに「捨てる場所」がなくなってしまう。ごみ処理場も老朽化があって、建て替えにはお金がかかります。最近は家庭ごみの有料化も議論されていますが、こうした事情を考えると、リユース市場を拡大したいという狙いがよりはっきりするかなと思いますね。


ユージ:ごみの削減以外の狙いというのはどうでしょうか?


塚越さん:やはり物価高対策ということで、リユース市場は生活防衛策として機能しています。あとは「iPhone」なども円安で高くなっているので「長く使おう」ということや、レアメタルなどは重要な資源なので、国内で資源を回して海外への輸入依存度を下げようなんていう狙いもあると思います。あとは自治体がリユース業者と提携するということで、現在およそ300あるところを600ぐらいまで倍増して、粗大ごみを商品化して再流通させるなど、全体的なコストを下げようということもしています。一次流通の大手には痛手かもしれませんが、最近は大手のブランドなども公式でリユース市場に参入しているので、こういったところも増えていくのかなというところですね。


吉田:リユース市場拡大の課題は何でしょうか?


塚越さん:やっぱりトラブルですよね。中古品なので、どうしてもフリマアプリなんかでもトラブルが生じやすい。そこで政府は2027年度までに、フリマアプリや中古の事業者・販売者に行動指針を策定する方針です。ランク付けをするなど、そういったことをやるということですね。


ユージ:塚越さんはこのリユース市場の拡大、どう見てますか?


塚越さん:私の親なんかはそうなんですが、分かっているけど「リユースはちょっと嫌だな」という人もいるんですよね。


ユージ:新品がいいっていう人もいますよね。


塚越さん:慣れると古着とか楽しいですし、面白いですよ。最初に言ったように、リユース市場で節約しながら「売る」ことを前提にすれば、新品の高いものも買える。そう考えれば、市場も食い合わないところもあるのかなと思います。物を大切にする文化そのものは日本にありますので、相性がいい。まだやったことない人は、ちょっと検索してみるのもいいかもしれません。リユース市場いいですよね。


ユージ:僕も車は中古で何度も買ったことあるし、服だって古いもの大好きですから。当時のならではの風合いが良かったりもするので、どんどん拡大していったらいいんじゃないかなと思います。ありがとうございました。

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