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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.03.05

スキマバイト市場、急拡大…その背景と課題

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『スキマバイト市場、急拡大…その背景と課題』


吉田:空いた時間で働く『スキマバイト(スポットワーク)』が労働市場で拡大しています。一方、急拡大に伴う課題も目立ち、業界は対応を強めています。そこで、スキマバイトについて塚越さんに解説いただきます。


ユージ:まずスキマバイト市場が拡大する背景には何があるのでしょうか?


塚越さん:ここ数年で『スキマバイト』や『スポットワーク』なんていう言葉をよく聞くようになりましたよね。単発バイト求人サイト『ショットワークス』に掲載されたスキマバイト求人の平均時給は、2025年11月時点で1,347円と前の年の同じ時期に比べて139円高くなっています。このデータは大都市圏の求人が多くなっているのですが、リクルートグループが調査した同じ時期の三大都市圏の時給が1,317円と、スキマバイトの方が30円ほど時給で上回っているんですね。ただ、11月は年末の繁忙期が近づいて求人が多くなりますし、最近は103万円の壁も引き上げられてはいるものの、扶養控除の関係で年末近くなると、学生はバイトを調整する時期にもなります。なので、特に需要があって、時給が高くなっている部分もあるのかなと思います。とはいえですね、業界団体の『スポットワーク協会』によりますと、スキマバイトを橋渡しする『タイミー』のような大手プラットフォームへの登録者数は、去年11月の段階ですべて合わせると3,800万人程度と、コロナ禍前の2019年末に比べて10倍という規模になっています。ただし、この数字はいろんなプラットフォームへの重複を含めますし、登録だけして実際は働いていない人もいるはずなので、実際のところ450万〜500万人程度と言われています。が、それでも多いですよね。一方でスキマバイトは、工場や物流施設だけでなく、小売や外食、最近は農業や漁業、畜産業などにも広がっています。コロナ禍からの回復過程で、企業は人手不足ですし、物価高もあって働き手も働きたいということで、ニーズが合致しているといえます。特に現在は、スマホやAIで手軽に人材のマッチングができるので、スキマバイトは伸びています。あとは、気に入ったらそのまま長期雇用への引き抜きもOKなので、企業としては新たな採用戦略の手段にもなっています。


吉田:では、スキマバイト市場の抱える課題は何でしょうか?


塚越さん:いろんな課題があるんですが、やっぱりトラブルが多いということですね。働こうとしたら企業側の都合でキャンセルされたということで裁判も起きていて、企業側に賃金の支払い命令が出た判例もあります。あとは、実際に仕事をすると事前の説明と内容が食い違うようなトラブルもありますし、企業も働き手が大量にいるので、例えば、闇バイトなどの入口にならないように本人確認とか、募集主の審査を強化するといった対応も必要だと思います。加えて、スキマバイトは単発なので労働者にとっては『キャリアアップ』になりづらいですよね。悪く言えば、企業の都合の良い形で働いてもらうことにもなります。一方で、特に企業側にとっては、一般のバイトより時給が高くなりがちなのでコストが増えるといったこともありますし、市場自体は急成長していますけれども、プラットフォーム間の競争も激しくなっていまして、例えば、メルカリは2024年の春に参入しましたが去年の12月でサービスを終了しています。登録者は1,200万人ほどいたということですが、おそらくあまり儲けが出なかったんだろうと言われていまして、登録者数が多いと話をしましたが、市場の実態となると違った側面もあるかなと思います。


ユージ:改善のために求められることは何でしょうか?


塚越さん:改善策として、まず、業界団体は働き手の給与を保証する範囲を広げています。企業側が記載ミスしたから直前でキャンセルするのはダメですよということで、『休業手当』みたいな形で、本来働いてもらえる給与をちゃんと払わないとダメですよということです。


ユージ:契約が決まったら、勝手な都合でキャンセルしてもちゃんと給与は払ってくださいねということですよね。


塚越さん:そうですね、ちゃんと給与を支払ってくださいということですね。あとは、労働者側に配慮しましょうということで、業界を健全化することにもなりますので、労災とか結構微妙な、難しいところがあるんですよね。案件によっても違ってくるので。ここは強化しようということもあって、業界全体で取り組みましょうということですね。


ユージ:塚越さんは、スキマバイトはこれからどうなっていくといいと思いますか?


塚越さん:高齢の方ですとか、保育園に子どもを預けてる時間でという親御さんとか、スキマで働きたいといういろんな方がいると思います。ただ、20年くらい前、就職氷河期世代の方々が非正規雇用や日雇いでたくさん働いていて、それが今でも尾を引いている部分があるんですよね。結局、そういうことにならないように、スキマバイトの需要があるのはいいんですけれども、働く方の次のステップにちゃんとつながるような仕組みとか、労働市場の全体をよくするために、このスキマバイト市場を国もそうですけれども、会社や団体側でうまく調整していく必要があるのではないかと思います。

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