26.04.15
部下や後輩の成長機会を奪う 「ホワハラ」について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
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部下や後輩の成長機会を奪う 「ホワハラ」について
吉田:上司や先輩が部下や後輩に対して、過剰な配慮のもと、業務のサポートや業務量の調整を行うことで、結果的に部下や後輩の成長機会を奪う行為を指す「ホワイトハラスメント=ホワハラ」。この「ホワハラ」に関する調査結果を、マイナビが今月9日に発表し、中途入社1年以内の正社員の13.6%がホワハラの「経験がある」と回答しました。塚越さん、まずは、この「ホワイトハラスメント」について、詳しく教えてください。
塚越さん:また新しい言葉が出てきたな、という感じなんですけど、この「ホワイトハラスメント=ホワハラ」は説明にあった通り、要するに上司が気を遣いすぎて色々やってしまうので部下が成長できなくなる、それが精神的な負担だ、ということですね。この言葉は、2024年の「9ボーダー」というドラマなどで使われたことがきっかけ。この「ホワハラ」が登場した背景としては、2020年から「パワハラ防止法」が段階的に施行されたことで、昨今のパワハラやコンプラ意識が強くなったということですね。一方で、こういったコンプラ意識が高まると職場の人間関係が希薄になって、どこまで仕事上関わっていいのか、距離感が掴めないということから、「ホワハラ」が発生しているのかなと私は思います。最近は、成長できる仕事を振ってくれない企業のことを「パープル企業(むらさき企業)」と言ったりするので似ているところです。過剰に配慮することも離職のきっかけになってしまうということで、管理職の人にとっては頭の重い問題と思います。
吉田:この「ホワイトハラスメント」に関する調査結果についても、詳しく教えてください。
塚越さん:マイナビが、2025年に転職した中途入社1年以内の20代〜50代の正社員を対象に、去年の12月に1446人から回答を得て調査しています。なので、50代もいるので若者だけが対象ではないです。「ホワイトハラスメント」という言葉の認知度は56.9%でしたが、内容を理解しているのは全体の3割弱でした。それでも高いなと私は思います。全体の13.6%は今の職場でホワハラを感じた経験があるということで、そしてさらに年代別だと30代、40代が14.8%と、他の年代よりやや高かった、新入社員よりそういった人たちなんですよね。「先輩が先に仕事を全部してしまった」とか「仕事が終わらなくても定時で帰るように言われた」「責任ある仕事を任せてもらえない」といった内容が多いです。中には、「昇進すると出産などが大変だからと昇進を見送る通達を受けた」ケースもある、キャリアや昇進を制限されたということで、最後は法的な問題になるかなと思います。こうした問題は、やはり本人の意思を確認しないなど、コミュニケーション不足もあるのかなと思います。「よかれと思って」とか、要するに「過剰な配慮」が先行してしまっているということです。この調査では他にも、ホワハラ経験のある人の方が「転職したい」と答える率が多くなったという結果も出ているんですね。自分のスキルを高めたいと考える人にとっては、「ホワハラ」は成長できないということですね。
ユージ:「ホワイトハラスメント」という言葉でかなりインパクトあるなと思ったんですけどこの言葉と調査結果、塚越さんは、どうご覧になりましたか?
塚越さん:やはり、コミュニケーション不足が挙げられるのかなと思います。いろいろ仕事して成長したいっていう人もいるので、そこでミスマッチになってしまっている。あとは上司が「ハラスメント」とかで告発されるのを恐れていることもあると思います。何か言って問題になり自分が責任を取らされる、だったら何も言わないで早く帰らせて自分で仕事した方が楽じゃないですか。私思うんですけど、日本社会は「成功」はそこまで称賛されませんが、「失敗」はめちゃくちゃ言われるんですよね。社会全体がそうだと思うんです。そこに構造的な問題がある。だったら問題の対処法としては、「失敗への罰」だけでなく、適切な指導ができた場合に「奨励」するような制度も必要なのかなと(今もあるけどもっと強くする)。例えば部下の成長を面談等で確認して、それを上司の人事評価に反映させるなどすれば、上司はもっと部下をみて適切に指導しようという気になりますよね。そうするとこういった「ホワイトハラスメント」は少しずつなくなっていくだろうし、「パワハラ」も含めて減っていくんじゃないかなと思います。例えば若い方、学生さんは飲み会嫌いとよくいわれますけど、30人いるぐらいの授業で「飲み会したい?」と聞けば20数人くらい手を挙げます(もちろん、行きたくない人などへの配慮は十分にします)。みんなでご飯食べたり、お酒が飲めなくてもジュースで楽しくやったりして。型にはめて「この世代はこうだ」と決めつけると「ホワハラ」の入口になのかなと思います。人と付き合うことのコストを下げてしまうことが問題になる。それは「ホワハラ」も「パワハラ」も同じかなと思います。
ユージ:「パワハラ」とか「モラハラ」っていうのがどんどん厳しくなって、「セクハラ」もそうです。例えば「くん」付けで呼んだだけで「セクハラ」、とかね。それが人々を苦しめた結果生まれた産物が「ホワハラ」だと思ってます。結局全てに対して上司はリスクを負うのが怖い。これを言ったらハラスメントかな、仕事を振ったらこれ「パワハラ」なのかな、過剰な押しつけなのかな、といった結果生まれちゃったのが「ホワハラ」なのでハラスメントの範囲を一回見直したと方が僕はいいと思う。
塚越さん:ちょっと難しいところきましたね。