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26.04.20

プラスチック価格が3割上昇!中東危機の暮らしへの影響は?

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番組コメンテーターと気になるニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長、神庭亮介さんです。
今朝のテーマはこちら!


プラスチック価格が3割上昇!中東危機の暮らしへの影響は?

吉田:中東情勢の影響を受けてプラスチックの取引価格が3割上昇、食品包装にも値上げが波及していると日経新聞が報じました。夏にかけて価格転嫁が進み、家計にも影響が出る可能性があるということです。そこで今朝は、中東危機による私たちの暮らしへの影響について、神庭さんに解説してもらいます。


神庭さん:まずは、なぜここまで値上がりしているのかというとイラン戦争による「ナフサショック」の影響が大きいです。ナフサは石油製品のひとつ。プラスチック含め様々なものがつくれるので「魔法の液体」とも呼ばれています。ナフサ由来の基礎化学品、中間材料から、食品トレーや弁当、カップ麺の容器、肉・魚のラップ、冷凍食品の袋、ペットボトルなどがつくられます。紙おむつや生理用品、洗剤などにも使われているんです。このナフサが戦争前の2月からすでに6割超も高騰しています。日本はナフサ需要の8割ほど中東に依存しているので、ダメージは非常に大きいですね。


吉田:具体的にどんな製品に影響が出ているんでしょうか?


神庭さん:TOTOのユニットバスが受注停止になったニュースには衝撃が走りました。浴槽のコーティングや壁の接着に使う溶剤の調達が不安定化したことが原因だったんですが、原材料を確保するメドがついたため今日20日から新規の受注を順次再開するということです。日経新聞によれば、積水化学工業の雨どいやデッキ材が来月20日から15%以上アップ、日本ペイントホールディングスのシンナーは先月から75%上がるなど、住宅設備への影響が大きいです。家が建てられなくなったり、リフォームができなくなったら最悪ですけれども、そこまでいかないとしても引き渡しが遅延するとか、価格が高騰するだけでも不動産市況を冷え込ませることになります。


ユージ:他にはどんなところで製品に影響がありそうですか?


神庭さん:ライオンは夏に出す予定だった医療用洗剤の販売を秋に延期しました。日本ミシュランは、タイヤを平均3〜5%値上げします。夏タイヤは6月、冬タイヤは9月からということです。横浜ゴムも6月から夏タイヤを平均5%引き上げるということです。とりわけ身の回りで影響が大きいのが食品包装です。スーパーで食品を買う時に、食べ物だけを剥き出しで買うことはほぼないですよね。基本、トレーや包装材にくるまれています。包装材が値上がりすれば、そのぶんだけ食品価格もはね上がってきてしまいます。意外なところでは、バナナにも影響があると産経新聞が報じているんです。バナナはまだ青い状態で輸入し、エチレンガスで黄色く熟成させるんですけれど、そのエチレンガスがナフサ由来。産経によると、アイスクリームやチョコレートに使われるバニラフレーバーの原料「バニリン」も、ナフサ由来の「ベンゼン」などを基にして化学合成されているということです。


吉田:ナフサショック、家計にとってはかなり痛いですね。


神庭さん:川上から川中、川下へと徐々に価格転嫁が進んでいくのではないかと思います。消費者が「うわ、高くなったなあ」と実感するのはもしかしたら夏くらいからになるかもしれません。野村総研エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんの試算によると、ナフサ由来の製品の値上げによって、4人家族の家計への年間負担額は2万2500円〜3万5100円まで増えるということです。これだけでもけっこう痛いですが、この試算にはガソリン代や電気代アップによるコスト増は含まれていません。加えて、中東依存度が高い尿素の不足で肥料価格が上がり、世界的に食料品の価格が上昇するリスクもあります。この辺りも含めると実際の家計負担はさらに膨らむことになります。それでも値段の上昇だけで済めば我慢できなくもないんですけど、もっと心配なことがあるんですね。


ユージ:もっと心配なこととは何でしょう?


神庭さん:医療製品など命にかかわる部分への影響です。注射器、点滴・輸血バッグ、カテーテル、人工透析に使うチューブから医療用手袋に至るまで、医療現場では感染防止のため使い捨てのプラスチック製品がたくさん使われているんです。ナフサショックでこれらの供給が滞ると、患者さんの生命が危険に晒されます。政府は医療用手袋5000万枚の備蓄を5月に放出すると発表しました。高市総理は「医療において万が一の事態は絶対許されない」と仰ったんですね。政府には、医療・介護の現場にいる弱い立場の人たちを守ることをまず最優先に動いていただきたいなと思います。


ユージ:最後に…今後、求められる対応は何でしょうか?


神庭さん:高市総理はナフサについて「少なくとも国内需要4カ月分を確保しています」と発信しました。石油に関しても「年を越えて確保するメドがついた」と仰っています。もちろんパニックにならないように情報発信は慎重にするべきですし、こういう「安心してください」という話も大事だとは思うんですが、今が「戦後最大のエネルギー危機」であることを考えると、もう少し積極的に省エネや節約を訴えてもいい気がするんです。補助金をじゃぶじゃぶ入れてガソリン価格を抑えると、かえって需要を煽ってしまいます。逆オオカミ少年のようになって「大丈夫、大丈夫。オオカミなんて来ないよ」と言いながら国民全員が茹でガエルになる事態だけは、避けないといけません。もう一つは金融政策にも目を向けますと、エネルギー価格の高騰や円安も考えると、近い将来の利上げも考えないといけないのではないかという時期に来ています。

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