26.04.28
家事支援サービス「国家資格」新設へ。その課題とは

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんです。
今朝のテーマはこちら!
家事支援サービス「国家資格」新設へ。その課題とは
吉田:政府は22日、「日本成長戦略会議」を開き、家事支援サービスを利用しやすくするために国家資格を創設することを確認しました。来年秋ごろに第1回の資格試験を実施することを目指すということです。今朝は家事支援にかかわる国家資格創設とその課題について、神庭さんに解説してもらいます。
ユージ:新たにできる国家資格、どんなものになりそうでしょうか?
神庭さん:福祉新聞によると、いま現在も日本看護家政紹介事業協会がやっている「家政士検定」という試験がありまして、政府はこれをベースに家事支援の新たな国家資格をつくることを視野に入れているそうです。人材育成や業界団体との調整を進めて、来年春をメドに家事サービスに関する講習プログラムの開発することを促進。さらに来年秋に第1回の国家試験を実施することを目指しています。国家資格を持つ人などから質の高いサービスを受けた場合には、税金面で優遇することも検討しているということです。
吉田:わざわざ国家資格にする狙いはどこにあるんですか?
神庭さん:そこが一番気になるところですけど、根本の狙いは、もっと家事サービスを利用しやすくすることなんです。なんで国家資格にすると利用者が増えるのかというと、他人を家に入れることに抵抗のある人が多いですが、国のお墨付きがあれば安心して家事サービスを頼めるようになるはずだ、というのが政府の考えらしいですね。日本成長戦略本部の資料によると、出産・育児による離職者は2022年の時点で15万人弱。介護・看護離職の方も10万人を超えます。ところが、家事サービスを実際に利用しているのは3.8%で、過去利用したことがある人を合わせても6.8%にとどまっているんです。
ユージ:なぜ利用が広がらないのでしょうか?
神庭さん:利用しない理由を尋ねたところ、「所得に対して価格が高い」が40%、「他人に家の中に入られることに抵抗がある」が30%、「他人に家事を任せることに抵抗がある」が23%。破損・盗難・プライバシー漏洩など「セキュリティーに不安がある」という人が20%という結果でした。確かにそうだよね、と思う人も多いのではないでしょうか。
吉田:この案にはどんな反応がありますか?
神庭さん:ネット上の反応としては「税金でやることじゃない」「利権にしか見えない」「自費サービスなら今だって家事代行業が結構あるし、富裕層は家政婦を雇う。何のために国家資格までいるんだろう」「共働きでないと暮らせないようにしておきながら、育児や家事は外注しましょうってマッチポンプかな?」「宿題みてあげたりとか、学校の話ゆっくり聞いてあげたりとか、夜早めにお布団に入れたから絵本読んだりとか、そういう事したいんよ。誰かにやってもらいたいわけじゃないのよ」などなど、厳しい声のオンパレードになっていますね。
ユージ:厳しいですね。肯定的な意見は少ない感じなんですか?
神庭さん:私もラジオで喋るのでバランスをとるために肯定や擁護の声も一生懸命探しました!でも見つかりませんでした。唯一あったのが「私は専業主婦を長くしていますが、家事が国家資格になることはなんか嬉しいです。いつも人知れずやっていることが認められたなと思いました」という方はいましたね。
吉田:家事支援サービスの国家資格新設、神庭さんはどう見ていますか?
神庭さん:共働き世帯は1300万世帯を超えるんですね。1980年には600万世帯余でしたから、45年で2倍以上に増えています。もはや共働きじゃないと家計が回らない、という切実なご家庭も多いと思います。そういう状況ですから「結婚や出産による離職を減らしたい」「そのために家事サービスを使いやすくしよう」という、政府の大もとの問題意識、これは間違ってないと思うんです。ただ、そのための処方せんとして「よし、家事支援の国家資格つくろう!」というのが決定的にズレてる。うがった見方にはなってしまいますが、将来的に外国人材の参入なども見据えているのかなと思いました。たとえばシンガポールでは、住み込みのメイドさんやナニーさんを利用するのが一般的なんですね。メイドさんの多くがフィリピンやインドネシアなど外国籍の方なんです。それはそれで合理的なシステムだと思いますけれども、もし「日本もそうした方向性を目指そうよ」と本当に考えているんだとしたら、それはヌルッと始めるのではなくてキチンと説明したうえで世論の理解を得て進めるべきじゃないかなと思います。
ユージ:どんな支援が求められているんでしょうか?
神庭さん:個人的な話になりますけど、20代のすごく忙しい時期にシルバー人材センターの方に自宅のお掃除を格安でお願いしていたことがあって、本当に助かったんです。その経験があったので、結婚してからもつくり置きの調理などで、あまり抵抗感なく家事代行サービスのお世話になることができたと思っていて。やはり「知らない」ということが一番の抵抗感の原因になる。誰でも最初の1回は格安で使えるようにしたら、だいぶ抵抗感も薄まるのではという気がします。それから「食洗機」と「乾燥機能付き洗濯機」は家事負担を劇的に減らしますので、減税とか補助で国策として普及を進めた方がいいと思います。高市総理は「家事に時間を取られ、睡眠は割と短い」「睡眠をもうちょっと取りたい」とおっしゃっている。総理みずから率先して家事代行を頼んだら、絶大な宣伝効果があるんじゃないかなと思います。
ユージ:そうね。あと国家資格になることによって金額が上がってしまうことが心配なんですよ。
神庭さん:その分のコストが乗っかってくるからね。
ユージ:資格を取るための努力も必要になるわけであって。そこは不安ですけど気軽に利用できたらいいなとは思いました。