network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.04.29

SNSの年齢制限、是非を検討…海外の先行事例からみる課題

null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは情報社会学がご専門の、学習院大学非常勤講師 塚越健司さんです。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


SNSの年齢制限、是非を検討…海外の先行事例からみる課題

吉田:総務省は4月22日、青少年のSNS依存対策に関する有識者会議を開き、SNSの利用を開始するときの年齢制限について、導入の是非を検討するよう求める、論点整理案を示しました。塚越さん「SNSの年齢制限」に関するこの動き、詳しく教えて下さい。


塚越さん:去年末からオーストラリアを皮切りに、SNSの年齢制限を検討する国が出てきました。現在日本で議論されている論点ですが、まずはInstagramやTikTok、YouTubeといった大手SNSなどを念頭に、青少年保護の観点から自社のサービスにリスクがないか点検をしてもらって、より適切な処置をしてそれを公表させるというものがあります。YouTubeは多くの人にはSNSとみられていませんが、コメントやチャットもありSNSとカウントされます。次に、各SNSは12歳〜13歳未満の利用を禁止していますが、この年齢制限をきっちりできるように求めます。ネットのサービスの多くは自己申告で、「はい」を押すだけでサービスが利用できますが、これはやはり変えてもらう必要があります。議論の中では、利用者の年齢確認を義務化するといった意見もあったので、今後どの程度厳しくするかが注目です。また年齢制限といえば、オーストラリアは主要なSNSを16歳未満を一律制限しており、日本でも「ある年齢で一律制限する」といった意見もありました。ただ、SNSごとに内容も異なりますし、やはり多様なコミュニケーション手段にもなっているので、日本としては一律の年齢制限はしない方向になっています。こうした議論は夏に総務省が報告書にまとめて、その後はこども家庭庁などの関連省庁と法改正も視野に議論して年内に方向性を示します。


吉田:オーストラリア以外にも、海外では「年齢でSNSの利用を禁止する動き」が広がりつつということで、課題も見えてきているんですよね?


塚越さん:そうですね。海外では先程のオーストラリアのように、年齢で一律にSNSの利用を禁止する動きが出ています。今年に入ってからは、インドネシアが16歳未満のSNS利用の規制を始めました。他にも、スペインなど各国で年齢制限が検討されていますし、先週はノルウェーが16歳未満の利用を禁止する法案を年内に議会に提出すると報じられました。さらに、4月22日にはトルコの議会が15歳未満のSNS利用を制限する法案を可決しました。15歳未満なので、さらに年齢が低くなっています。どの国も基本的にはSNS事業者に対して。年齢確認の方法を厳しく求めています。オーストラリアでは、この方法が徹底せずに「抜け道」が多くある場合、SNS事業者に罰金が科されることになっていますので、欧州をはじめとした各国も同じ方法になると思われます。実際、世界でいち早く動いたオーストラリアでは、既にあるアカウントの年齢を高く設定して確認を切り抜けたり、大人にアカウントをつくってもらうなど、抜け道が発見されて課題になっています。


ユージ:抜け道を見つけて、何らかの方法で対策していくと思いますが、この「SNSの年齢制限」に関する動き。塚越さんは、どうご覧になっていますか?


塚越さん:今もSNSは未成年保護を主張していますが、日本では基本的に努力義務に留まっていますし、世界的に見ると「一定の規制が必要」という点では、かなり合意ができつつあります。一方で、年齢確認の方法は日本でもマイナンバーカードを使用するとか、複数の方法を組み合わせるとかあると思いますが、ここからは議論が必要です。もう1つ重要なのは、大人を含めたSNSの「設計」だと思います。SNSは「無限に見てしまう」「他人と比較してしまう」「承認欲求を刺激する」といった強過ぎる設計をもうちょっと規制する必要があると思います。あと、SNSがコメントとかチャットができてカウントされるのであれば、ネットに繋がっている「一部のゲーム」も同じような問題があると思います。先日も言いましたが「Roblox」というゲームプラットフォームでプレイできる「ブレインロットを盗む」というゲームが、小学生を中心に大流行していますが、物を盗んだり競争できたりするので、現実の人間関係にも問題が出ていて、どのくらい悪影響があるのかは世界的な指針が必要だと思います。一方で、どこまでも規制だらけになるのも問題です。SNSが子供にもたらす悪影響はありますが、一方で良い影響もあります。社会が思考停止になって、規制するだけになると「敵がいる」ということになり、それを規制すると「安心する」ことになりますが、現実的にはSNSだけではなく、いろんな問題があってこういうものが生まれているので、「規制を強くする話だけでない」という点は忘れないでほしいと思います。だからこそ、どういう設計がどのくらい悪影響なのかを世界的に議論して世界的な方針を作り、あとは個別の国で対応することが重要だと思います。子供を守るという議論になりがちですが、SNSは大人も同じで使い過ぎるといろんな問題があります。


ユージ:大人にも影響がありますよね。


塚越さん:「大人も含めて考えないといけませんよ」ということので、そういうきっかけにするべきだと思います。


ユージ:耳が痛いですね。塚越さん、ありがとうございました。

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top