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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.05.06

「逆パワハラ」で職員が懲戒処分。その背景と必要な対策とは?

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは情報社会学がご専門の、学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんです。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


「逆パワハラ」で職員が懲戒処分。その背景と必要な対策とは?

吉田:大阪府吹田市は4月20日「逆パワハラ」で47歳の職員を懲戒処分にしました。塚越さん、まずは「逆パワハラ」について教えて下さい。


塚越さん:まず、一般的な「パワハラ」は上司から部下に起こると思われていますが、厚労省の指針には「部下による言動もパワハラになり得る」とされています。逆パワハラというのは法的な正式用語ではありませんが、要するに部下から上司に向けられたパワハラということになります。もちろん、上司の指示に対して意見を言うこと自体は問題ありません。ただし「業務に必要な範囲を超えて」上司を大声で責め立てて威圧したり、周囲を巻き込んで指示を通らなくするといった場合には、部下から上司へのパワハラに当たることがあります。最近は、上司がこの逆パワハラに悩み、うつ病などを患って休職するケースも指摘されているのですが、逆パワハラが発生するいくつかの理由のうち、代表的なものを挙げます。まずは、昨今のコンプライアンス意識の中で、上司がパワハラと言われるのを恐れて何も言えなくなってきた、という問題です。昨今の人材不足もあって、上司が指導する時間も減ったこともあり、結果的に部下が上司を軽視することにつながります。2つ目は年齢や経験値の問題です。最近は部下だけど年齢は年上というケースもあります。そうなると、モノによっては年下上司より詳しい分野があり、仕事内容で揉めてしまうことがあります。一方、AIなどでは年下の部下が、年上の上司よりよっぽど詳しい場合もあり、ここでも仕事内容をめぐる問題が出てくることもあります。他にもハラスメントに関する社内研修不足など、背景にはいろんな問題があります。


吉田:吹田市の職員が処分された「逆パワハラ」は、どんな状況だったのでしょうか?


塚越さん:今回のケースは、吹田市の47歳の職員が異動してきて半年の上司に対し、自分の方が知識や経験があるという理由で、業務の進め方に関して大声で責めたり、机を叩いて威圧したとして、公益内部通報がきっかけで発覚しました。この職員は3か月の減給10分の1という懲戒処分となりました。また管理監督者だった二人も減給や訓告処分になっています。


ユージ:「逆パワハラ」。塚越さんは、どうご覧になりましたか?


塚越さん:少し前に「ホワイトハラスメント」という言葉を取り上げましたが、今回は部下であってもハラスメントの加害者になり得る、ということが示されたと思います。もともと、コンプライアンスというのは弱い立場の人を守る為のものなのですが、これが独り歩きをしてしまって、ハラスメントにならないよう上司が黙ってしまうと、今度は部下がハラスメントをしてしまうという、ねじれた状況が生まれてしまっていると言えます。強い人がハラスメントをするだけでなく、正しいと思い込んでしまうことで生じるハラスメントにも注意が必要です。もちろん、権力のある上司の行動は慎重になるべきですが、「部下からのパワハラを受けた」と感じた場合は、まず根拠をもって説明や反論をしたり、問題があれば部下を注意することや、あるいはさらに上の上長に報告する必要があるでしょう。例えば部下が「それはパワハラじゃないですか!」と言ってきたら、まずは「なぜそう思うのか?」と、部下の話を冷静に聞き「業務上の必要性がある指導だ」など、自分の考えを述べる必要があります。要するに、面倒だからうやむやにしてしまうと、そこから問題が起きてしまうと思います。上司が「部下からパワハラを受けている」というのは言いづらいことでもあるので、さらに上の上長がよく状況をみて、場合によっては間に入ることも必要です。そのままにして、今度は上司が怒って部下に仕返しをすれば、それは間違いなくパワハラになってしまうので、さらにややこしくなってしまいます。いずれにせよ、企業としては個人のコミュニケーション力だけでなく、問題があれば第三者がすぐに介入できるようにしましょうということです。今回は、誰でも加害者になり得るという意味で、働く人全員に対するメッセージだと思います。ユージさん、「逆パワハラ」どう思いましたか?


ユージ:少し前の「ホワハラ」「ホワイトハラスメント」も上司が優し過ぎて、「逆にそれがハラスメントだ!」となっていて、「そんなことがハラスメントになるの?」って思ったのですが、よく考えたら部下から上司って意外とあるなと思いました。


塚越さん:「現場のことは私達は分かっている」と言って、新しい上司がなかなか言えないとかありますよね。


ユージ:ありますね。後輩ですけど上司が中途入社で入ってきて、上司にはなりますが「現場は私達のほうが知っているから」とかありますね。後輩が強い言葉とか表現で結構、精神的に追いやっていたりしますよね。


塚越さん:新しく来た社員が現場のパートさんやバイトの人のほうが詳しい状態もありますよね。いろんなケースがあるので、「そういう所も全部気を付けないといけない」という考えが必要ですね。


ユージ:いろんな方向で考えないといけませんが、なんかちょっとハラスメントが多過ぎて窮屈だなと思いますね。


塚越さん:確かにそうですね。


ユージ:塚越さん、ありがとうございました。

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