26.05.07
「食品の消費税の1%案」について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは、情報社会学がご専門の学習院大学非常勤講師 塚越健司さんです。
今朝のテーマはこちら!
【「食品の消費税の1%案」について】
吉田:高市総理の「悲願」でもあり、公約でもある食料品の消費税0%ですが、政府内で1%にする案が浮上しています。0と1、わずか1%の差に、どんな違いがあるのでしょうか?
ユージ:塚越さん、食品の消費税1%案、なぜ出てきたのでしょうか?
塚越さん:減税についてはもともと2月の選挙で、チームみらいを除いたすべての党が減税を主張していましたよね。自民党は食料品の消費税を2年間ゼロにするという公約でした。この議論は、高市政権になってからつくられた「社会保障国民会議」で行われているのですが、4月に行われた会議の後で、自民党の小野寺税制調査会長が「1%でもいいのでは」と発言したという報道もあります。
ユージ:1%にするくらいなら、0%にして欲しい気もするのですが、何か理由があるんですか?
塚越さん:なぜ1%なのかというと、レジシステムの改修の問題なんですね。大手のレジシステムの会社によると、消費税0%に対応するには、1年程度かかるそうです。でもこれだと、高市総理が目指す2026年度内には間に合わないということ、一方で1%にするのであれば、半年程度で対応できるということです。「0%か1%かでそんなに大変なの?」と思うリスナーの方もいると思います。私もその1人です。
ユージ:1%は1%で大変そうですけどね。
塚越さん:これはまず1989年に消費税が導入されて以降、特にスーパーなどの小売の現場では、税率を0%にするという運用は基本的に想定していませんでした。また、事業者にとっては「税率0%」と「非課税」の区別は非常に重要なんですが、現状は多くのレジシステムがこれを区別できないということで、こうした対応に時間がかかるわけです。8%から1%に単に数字を動かすだけなら、ゼロに比べればスムーズかなというところです。
吉田:家計への影響はどうでしょうか?
塚越さん:野村総研のエグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんが試算を出しています。それによると、まず国家財政でいうと、食品の消費税をゼロにすると、年間5兆円の財源が必要で、4人家族で計算するとだいたい年間67,000円程度の減税になるということです。これが1%になると、減税効果は58,600円程度になりまして、1%の差で8,000円ほど変わってくるところです。人にもよりますけれど、とんでもなく変わるという感じでもないのかなと思います。なので、0%で1年かかるなら、半年でできる1%で妥協するというのは、わからなくもありません。もっといえば政府は給付付き税額控除を考えているのですが、これをしようとすると簡易的な方法でも2年や3年はかかるとされています。なので、それまでのつなぎとして今の食料品の減税議論があるのですが、早くやるならば1%になる可能性もありますね。
ユージ:塚越さんは、食品の消費税1%案、どう思いますか?
塚越さん:レジ改修に時間がかかることは以前から指摘されていたので、よくいえばいろんな論点が出てきたといえますが、悪くいえば議論が混乱しているなと感じます。もっと早く対応して欲しいと私も思います。この減税は2年間限定なので、「2年のために時間とお金をかける価値はどこまであるのか?」という批判も当初からありました。そこにきてレジ改修に時間をかけるのは厳しいと思います。なので、やるなら今後も税率が変わることを見越した改修が必要になると思います。ただ課題は他にもあります。まず、飲食店は消費税10%が続くのでダメージが大きいですよね。2年間限定でも、だったら2年間は家で食べようと思う人は増える可能性は十分あります。
ユージ:10%って金額大きいですもんね。
塚越さん:他にも、業者は仕入れに関する税金の計算など、裏でやることは多いんです。現状の国の議論ではこういったサポートの議論が曖昧なままなんですよね。なので、多くの関係者にとっては「どうしたらいいの」という悩みが増えるので、早めに答えを出して周知する必要があると思います。いずれにせよ、現場がなるべく混乱しない制度をつくっていく必要があると思います。2年限定でこうなるなら、時間をかけても恒久的なシステムをつくって欲しいと思います。「0か1か」だけではなく、「現場が混乱しない制度をどう作るか」ということが問われていると思うのですけれども。ユージさんどうですか?「0%」と「1%」。
ユージ:例えば、「1%なら半年、0%だと1年かかります」というところで、「1%だけど(導入が)早い方がいいよね」というのも一つの考えですが、そもそも「0%にするのに1年かかる」という情報はどこから来ているのかな、と疑問に思う部分もあります。
塚越さん:企業にヒアリングするとそのくらいの数字が大体出てきたということです。
ユージ:これって曖昧な数字だなと思って。やろうと思えば可能な企業もあるでしょうし、新しいシステムも多いですから。
塚越さん:そのあたりも可能であれば、もう少し早く対応をして欲しいところですね。
ユージ:いずれにしても早い対応をするべきかなと思いますね。