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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.05.13

『クォーターライフクライシス』について

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『25〜34歳の正社員のおよそ半数が感じている「クォーターライフクライシス」…その要因は?』


吉田:マイナビの調査で、25歳〜34歳の正社員のおよそ半数が『クォーターライフクライシス』を感じていることが分かりました。塚越さん、『クォーターライフクライシス』について詳しく教えてください。


塚越さん:『クォーターライフクライシス』は、人生の4分の1、つまりクォーターが過ぎる20代後半〜30代前半に陥りがちな不安感や焦燥感を指します。「このままでいいのか?」とか「自分は何をしたいか?」など悩む時期です。この言葉は、2001年にアメリカで出版された本などから広がったもので、アメリカやイギリスでは比較的知られている言葉です。40代、50代になると『ミッドライフクライシス』という言葉もよく聞かれますが、もう少し早い時期にも“クライシス”があるということですね。


吉田:この『クォーターライフクライシス』、要因としてはどのようなことが考えられますか?


塚越さん:いろいろ環境が変わってきたことがあると思います。まずは、『ライフスタイルの変化』ということで、一昔前ですと、20代後半〜30代前半で結婚して子どもをつくるといったロールモデルがありましたが、これが変わってきていて、いろんな選択肢があります。だからこそ、焦るということですね。次に、『労働環境の変化』です。終身雇用が崩れる一方でリモートワークが普及したり、転職も当たり前になったので、新卒で入った会社で働き続けるというより、20代後半から転職やその先も考える必要が昭和に比べると増えたということで、これもいろんな選択肢があって、焦るということがあります。最後は、『SNSの普及』ですね。簡単に言うと、「他人の成功を横目で見ることが増えた」ということでして、SNSには若くして成功した人の成功譚やいろんな生き方が見えちゃいますよね。


ユージ:綺麗なところばっか見えますよね…。


塚越さん:そうですよね。実際はどこまでが本当かわからないんですが、少なくともいろんな成功が見えたりしますし、あとは、同世代の実際の友人の生き方も見えますよね。結婚してるとか、子育てしてるとか、あるいは、キャリアを積む姿とか…。そういった姿に焦ってしまうということで、やはり、一昔前だったら見えづらかった光景がスマホの画面にあふれていて、他人と比べて焦ってしまうということなんですよね。なので、こういった複数の要因がありまして、真面目な人ほど「この先を考えなければ…」と悩んでしまうことが増えるというわけです。もっといえば、選択肢は増えているのに「失敗できない」というプレッシャーも強くなってしまったのではないかなと私は感じますね。画面の中の成功した人ばかりが目につく一方で、何をするにも「失敗してはいけない」とか、「自己責任」といった感覚を持ちやすいかなというところですね。若者に限った話ではないと思いますがそういったところってありますよね。


ユージ:マイナビの調査結果で塚越さんが興味深いと感じたポイントを教えてください。


塚越さん:この調査では、クォーターライフクライシスの状態にあると答えた人に、現在の悩みを聞いているのですが、一番多いのが「十分に稼げていない」で52.7%と最多です。次が「今後の人生のために次に何をすべきかわからない」となっているということで、やはりお金や将来に対する不安があります。また、クォーターライフクライシスの悩みを払拭するために必要な支援を聞くと、「人に話を聞いてもらう」が最多で、その次が「年金や保険といった不安に対する情報をもらう」。そのほかにも、「専門家のメンタルヘルス相談やカウンセリングを受ける」という回答もあって、要するにこの問題は、お金だけではなく、漠然とした不安が根本にあるので、目の前にいる友人や専門家に話ができる必要があると皆さん思っているということですね。その上で気になったのが、「生成AIに不安を相談したことがある」と回答したのは全体の42.6%となっており、やはりAIへの相談も増えたなといった印象です。


ユージ:『クォーターライフクライシス』、塚越さんは、どうご覧になりましたか?


塚越さん:私個人で言いますと、私は20代の終わりまで大学院にいまして、お金を払ってまで勉強していたのでなかなか大変でしたよ…。2007年に大学院に入ったときに、先輩たちからご入院なんてよく言われますけどって、本当に言うんですよ。大学“院”なのでご入“院”って…(笑)。大変なんですよ就職が、今も大変ですけど、どうなるかなと思いましたし不安はありました。けれども、ある程度わかった上で入っていたので「クライシス上等」って感じでしたけども、やはり、今の若者になると2020年代は、私の時に比べても情報過多ですよね。なのに人間関係が希薄なのできついですよね。だから、生成AIに相談する人が多いかと思いますが、情報が増えすぎると逆に不安になっちゃうので「考えすぎないこと」も重要なのかなと思います。あとは、自分の弱さを認めるとか、失敗しないではなく失敗しても大丈夫と思えるように友人と話をするとか、必要であればそういったことも含めてAIと相談するとか、一人で抱え込まないということが一番重要なのかなと思いますね。


ユージ:『ミッドライフクライシス』もあるということですが、そう考えると、クライシスだらけだなと…。結局、人生悩みっぱなしじゃん!って思うと、逆に吹っ切れるというか、悩み事なんてみんなあるし、どのステージでもクライシスがくることもあるから、隣の芝生ばっか見てないで、自分の幸せとか、自分が楽しいと思うことに視線を向けた方が、よっぽど幸せなのかなと思いますね。


塚越さん:2400〜2500年前のギリシアとか中国の偉人も悩み事はずっとあるって言ってましたし、それがあるということを忘れちゃいけないですよね。


ユージ:お金の多い少ないでもないですしね。いろんな悩みがみんなにあるということですし、心に余裕を持っていきましょう!

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