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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.05.27

ストーカーの加害者にGPSを装着させる提言案について

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは情報社会学がご専門の、学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんです。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


【ストーカーの加害者にGPS装着、自民党の調査会が提言案…その課題は?】

吉田:自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会は5月19日、ストーカーの加害者にGPS端末を装着させることなどを盛り込んだ提言案をまとめました。塚越さん、この提言案について、詳しく教えてください。


塚越さん:今回の提言案の背景には、記憶に新しい、今年、2026年3月に池袋であった殺人事件があります。犯人の男はストーカー規制法違反容疑で逮捕され禁止命令も受けていたのですが、その後に元交際相手の女性を殺害しました。この事件、男が略式起訴されて釈放された後も、警視庁が女性に連絡を重ねていて、釈放に備えて女性が親戚宅に避難するということもありました。また警視庁は犯人の男に治療を勧めたのですが、断られていました。警察も対応はしていたのですが、それでも痛ましい事件が起きてしまいました。そこで提言案では、加害者にGPS端末を装着させて、被害者に接近した際には被害者に通知する仕組みを挙げています。海外でも事例はあるので、詳細は詰める必要がありますが、緊急避難ができるようにGPSを装着させるということですね。また提言案では、警察が加害者に治療やカウンセリングを勧めても十分に受診に結びついていないということで、加害者に受診を義務化することも訴えており、受け皿となる医療機関の確保も進めるべきとしています。こうした対応を含めて、ストーカー規制法の改正も視野に入っているということです。


吉田:ストーカーの加害者にGPS端末を装着させることには、課題もあるようですね?


塚越さん:課題の前に、現在のストーカー規制法についてもおおまかに説明します。被害者が警察に相談をすると、まず相手に「警告」が出るケースが多いです。これで大体止むのですが、それでも止まない場合は、今度は法的に意味のある「禁止命令」が出されるという状態になっています。そしてその禁止命令なんですが、発令件数が増えてきていまして、2023年は1,963件だったのが、2025年は3,037件とかなり増えています。相談件数自体も増えていて、2025年は相談だけでもおよそ2万3,000件ほどありまして、検挙数も増えてしまっています。また、被害者は8割以上が女性ということです。その上で、禁止命令は3,000件以上出ているのですが、禁止命令が出た人のうち、どこまでの人にGPSをつけるかが問われます。全員なのか、危険性の高いものなのか、対象を絞るのか、難しいですよね。あとは、装着する期間はどの程度か。さらに、接近して警報が出た場合の罰則をどうするかもポイントです。もっといえば、たまたま加害者が電車に乗っていて意図せず近づいてしまったケースをどう考えるかも難しいところです。もうひとつの課題は、プライバシー問題です。海外でも議論がありますが、まだ起きていない未来のことについて、位置というプライバシー情報を警察が取得するのはいきすぎ、という指摘があります。あるいはするにしても、先ほどと同様に、禁止命令が出たらGPS情報を取得してもいいのかとか、どの程度なのかという範囲の問題は、なかなか難しいですよね。ただ、被害者にとって、加害者の位置がわからないことが恐怖なので、近づきすぎた場合に通知が来る仕組みはある程度必要になると私は思います。韓国でもストーカーが社会問題となり、再犯リスクの高い加害者にGPSの装着が義務付けられることがありますが、被害者が加害者の位置を知ることができるようになる仕組みがつくられつつあります。こうした事例も参考になるでしょう。


ユージ:ストーカーの加害者にGPS端末を装着させること、どう思いますか?


塚越さん:様々な課題はありますが、少なくとも被害者には通知がいくような運用は必要だと思います。ただ、ストーカー事件の被害者にとって一番大切なことは、加害者が二度と加害行為をしないこと、そしてなにより「そのような気持ちにならないこと」です。つまり、加害者の認知の歪みや執着心が解消されることが一番大切です。そう考えると、GPSはあくまで補助的な役割にしかなりません。被害者は常にGPSを気にして、加害者が近づいたとわかったら逃げなければならず、常に警戒する。これが大きなストレスになります。だからこそ、加害者の認知が矯正されることが被害者の安心につながります。だからこそ、私は一定以上の悪質と判断された件について、司法や専門家が判断したものは、加害者にカウンセリング等の受講を義務付けて、受けなかったら罰を追加した方がいいと思います。重大な問題を起こしかねないストーカー加害者は、そもそも自分が治療対象であることを認めたくない、あるいはそもそもそう思っていない。なので強制的にでもまずは、カウンセリング等のプログラムを受講させて、「あ、自分の認知や執着は何か変だ」ということに気づいてもらって、それが治るということがやっぱり一番大事かなと思うんですよね。加害者支援にお金をかけることへの意見もあるかもしれませんが、「被害者ファースト」で考えるならGPSも大事。でも、補助的なんです。治療プログラムの導入が必要かなと思いますが、いかがですかね。


ユージ:僕もそう思います。足首かどこかに装置をつけるというのは、アメリカなど海外ではあるんですけど、やっていいと思っています。それで、装着される本人もやられたくないって気持ちがあるんですかね。あるのだったら、やめたら?という意見がひとつあります。


塚越さん:そこの認知を正すために、やっぱりプログラムというのが必要になってくるかなと思いますね。


ユージ:議論は必要だと思うんですけど、僕はあってもいいのかなと思いました。

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