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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.09.30

退職代行、この1年で4分の1がサービス停止か…その背景は?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは情報社会学がご専門の、学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんです。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


「退職代行、この1年で4分の1がサービス停止か…その背景は?」

吉田:帝国データバンクの調査で「退職代行サービス」を提供する事業者のおよそ4分の1が、この1年でサービスを停止した可能性があることが分かりました。塚越さん、こちらの調査について詳しく教えてください。


塚越さん:退職代行サービス、ここ数年で広がりました。その名の通り、会社を辞めたい人に代わって、退職の意思を会社に伝えるサービスです。この退職代行サービスですが、帝国データバンクによると、去年10月の時点でこのサービスをしていた主要な52の事業者のうち、4分の1にあたる14の事業者でサービスの継続が確認できなくなったということです。また今年の3月には会社の倒産も1件発生しました。


吉田:退職代行のサービス停止とみられる動き、どのような背景があるんですか?


塚越さん:背景はいくつかあるのですが、まずは「非弁行為」というものです。これは弁護士ではない民間業者が、お金をもらって本人の代わりに未払いの残業代や有給消化など、法律上の問題について会社と交渉することで、弁護士法違反になる可能性があります。退職の意思を会社に「伝える」だけなら基本は問題ないのですが、実際に条件について会社と「交渉する」のは問題になる、ということです。また退職代行大手の「モームリ」をめぐっては、法律事務が必要になった顧客を、報酬目的で弁護士に紹介していたことなどが弁護士法違反の罪に問われ、8月には運営会社と前社長らに有罪判決が出ています。これは退職代行サービスそのものが違法と判断されたわけではありませんが、業界全体のいわゆる「グレーゾーン」に改めて注目が集まりました。そして2つ目が、大手法律事務所などの参入です。弁護士であれば、退職の意思を伝えるだけでなく、有給休暇や退職日などについて会社と法的な交渉をすることもできます。例えば、退職意思を伝えるだけの安いプランと、有給などの交渉まで行うフルサポートのプランを分けている法律事務所もあります。帝国データバンクによると、最近では退職意思を伝えるだけなら、民間の退職代行より安い法律事務所も出てきています。料金の平均は去年の約2万8千円から約2万7千円へ少し下がり、競争の中で脱落する業者が出てきた、ということです。そしてもう1つが、利用者側の警戒感です。帝国データバンクも、非弁行為をめぐる問題などからサービス全体のイメージに悪影響が出て、利用者もサービス内容を慎重に見るようになっていると分析しています。確かに、自分が会社を辞めたいという時に「頼んで本当に大丈夫?」という不安を増やしたくない、という事情もあると思います。一方で退職代行そのものの需要がなくなったわけではありません。特に若い世代を中心に、会社に直接「辞めます」と言う心理的なハードルを下げるサービスとして、一定の需要は残っています。


ユージ:退職代行の現状。塚越さんはどうご覧になっていますか?


塚越さん:退職代行は今後、サービス内容や信頼性で二極化が進むとみられています。東京商工リサーチの調査では、今年5月の時点で「退職代行」を掲げる企業は弁護士法人を除くと56社あったのですが、その全てが設立10年未満で、32社は2025年に設立されています。つまり、ブームに乗じた参入が多かったということです。一方で、民間業者が法律を守ってできることには限界があります。基本的には退職の意思を会社に伝えるところまでで、法律上の交渉が必要になると対応できません。交渉までできるのは弁護士と団体交渉の権利を持つ労働組合です。東京商工リサーチが行った企業へのアンケートでは、弁護士でも労働組合でもない業者から連絡が来ても、3割の企業が「取り合わない」と答えています。東京弁護士会も注意を呼びかけるなど、民間業者のコンプライアンスはこれまでも厳しく問われてきました。こうしたことを考えると、民間の退職代行はこの先は淘汰が進むと考えます。「辞めると伝える」だけだと、弁護士が参入する時点で差別化が難しいからです。ただ、こうしたサービスは潜在的な需要はあると思います。もし、利用したい方は料金だけでなく、どういうところが運営しているのか、そういったところを事前に調べていろいろ試していただきたいと思います。ユージさんはいかがですか?


ユージ:業種として退職代行が出てきた時、すごく話題になりましたよね。「自分の口で言ったほうがいい」という人もいれば、「そういう時代じゃない」「言いにくい」「人の力を借りたっていいでしょ」っていう意見もありますが、個人的には借りていいと思います。詳しい法律のことは知らなかったので、退職代行は代わりに「告げてくれるだけ」だったということですね。その先だと弁護士が必要ということであれば、最初から弁護士にお願いする動きになりますよね。


塚越さん:そうですね。参入が出ているので、そういうことになります。個人的にはその前にAIとかを利用して、どういう方法があるのかを調べたりして、いろんなことを活用していただきたいと思います。

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