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26.09.29

10月から受付開始の『こどもNISA』メリットとデメリット

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長、神庭亮介さんです。
神庭さんが注目した話題はこちら


「10月から受付開始の『こどもNISA』メリットとデメリット」

吉田:18歳未満の未成年者も非課税で投資できる「こどもNISA」が来年1月にスタートするのを前に、多数の金融機関が10月から口座開設の受付を始めます。今朝は「こどもNISA」の概要や注意点、予想される未来像などを神庭さんに解説してもらいます。


ユージ:神庭さん、まず1月に始まる「こどもNISA」はどんなものなのでしょうか?


神庭さん:平たくいいますとNISAの子ども版です。簡単に経緯を振り返りますと、政府は2014年、国民の資産形成を後押しするために、株や投資信託で得たお金に税金をかけない「NISA(少額投資非課税制度)」という仕組みを始めました。2024年に非課税の投資枠が拡大して、期間も無期限になる新NISAが始まったことで爆発的に広がりました。2027年1月に始まる「こどもNISA」は、0歳から17歳の未成年にも、このNISAを使えるようにするものです。


吉田:「こどもNISA」と、大人向けNISA、どんな違いがあるのでしょうか?


神庭さん:大人が対象の現在のNISAは、つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が2倍の年240万円で、合計年360万円まで非課税で投資できます。生涯でみると1人1,800万円まで非課税で保有できる枠を持っています。これに対して、「こどもNISA」は成長投資枠がなく、つみたて投資枠のみです。金額も年60万円までに抑えられています。12歳以降、子どもの同意を得た場合のみ、親権者による払い出しができます。18歳になると大人向けNISAへ自動的に移行する仕組みになっています。


吉田:たしか、少し前にジュニアNISAがありましたけれども、これとは違うものですか?


神庭さん:「ジュニアNISA」は2016年に始まりましたが、あまり人気がなく2023年末で新規の口座開設を終了しています。年間投資枠は80万円と「こどもNISA」より少し多かったものの、原則18歳まで資金の払い出しができない、非課税期間が5年だけ、など使い勝手がイマイチでした。成人後も非課税で保有し続けるためにロールオーバーという手続きも必要でした。それに引き換え、「こどもNISA」は、子どもの同意があれば12歳以降の払い出しが可能で、非課税期間は無期限、ロールオーバーなしで大人向けNISAに自動移行と、かゆいところに手が届く形に改良されています。


ユージ:ただ、当然、注意点もあると思います。


神庭さん:60万円以内なら何でも買えるわけではありません。「つみたて投資枠」だけなので、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られます。個別株は買えません。リスク面を考えればむしろその方がいいという考え方もあると思います。子どもの同意があれば12歳以降に払い出しができると申し上げましたけど、学校の入学金・授業料といった教育費や、生活費など子どものための支出に限られます。また、同意を得たことを示す書類を提出する必要もあります。理由があれば取り崩すことはできますが、複利の効果を得ながら効率的に資産を増やすのであれば、できるだけ長期で運用することをおすすめしたいです。


吉田:「こどもNISA」ではどんなメリットが期待されているのでしょうか?


神庭さん:まず「エンジェル神庭」として、「こどもNISA」のメリットをお伝えします。1つ目は、高齢世代から若年層にお金が回ることです。日本の家計金融資産の6割を60歳以上が保有しています。「こどもNISA」の資金は親ではなく祖父母の贈与で賄ってもOKです。かわいい孫のためなら喜んでお金を出すという、じいじ・ばあばもいると思います。年60万円で、ほかの贈与と合わせて年110万円以内であれば贈与税もかかりません。2つ目は、教育資金の備えになることです。学資保険代わりに非課税で運用して、子どもが大きくなった時に大学進学や留学の資金として使うこともできます。3つ目は、子どもの金融リテラシーが上がることです。親子で話し合って投資先を決めたりするなかで、子どもたちの投資センスも磨かれます。戦争で原油価格が上がると、物価や為替、企業業績にどう影響するのか?日々のニュースにも敏感になって考えるようになりますよね。


ユージ:ここまでが「エンジェル神庭」。では、「デビル神庭」で見たらどうでしょう。


神庭さん:「デビル神庭」として本音を言わせていただくと、多くの人にとってはそこまでメリットはないかもしれないです。なぜかといいますと、現行のNISAは年に最大360万円まで投資できますが、上限まで使っている人はわずかです。金融庁によると、2025年に投資額が300万円を超えた口座はたった5.7%でした。年間60万円以下の口座が7割超を占めました。つまり、ほとんどの人が自分の持っている枠を満額まで使い切っていません。払い出しに制約のある「こどもNISA」に手を出す前に、まず親自身のNISA枠を埋める方が先決です。じゃあ誰のための「こどもNISA」なのかと言えば、ズバリ年360万円、生涯1,800万円のNISA枠を余裕で埋められる、ユージさんのように資金力のあるご家庭です。


ユージ:確かに僕はもうパンパンまでNISAやっていますからね。


神庭さん:否定しないんですね(笑)。


吉田:やっていましたっけ?


ユージ:やっているんですよ、実は。最近始めたんですよ。本当にいろいろやっていて楽しいです。


神庭さん:それ自体はいいことなんですけどね。「こどもNISA」も決して悪い制度ではありませんが、お金持ちがますますお金持ちになる仕組みであることは間違いないと思います。1人600万円の「こどもNISA」枠を10歳までに埋めて複利で運用した場合、18歳までに2,000万円を超えてもおかしくありません。同じ大学1年生でも、かたや数千万円の資産を持ち、かたや数百万円の奨学金を抱えるような、20年後にはそんな超格差社会になっているかもしれないということです。

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