26.10.28
都道府県立高校、2040年度までに145校以上減少へ…その背景は?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは情報社会学がご専門の、学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんです。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
「都道府県立高校、2040年度までに145校以上減少へ…その背景は?」
吉田:朝日新聞の調査で、2040年度までに全国の都道府県立高校のうち少なくとも145校が閉校する見通しであることが分かりました。塚越さん、こちらの調査について詳しく教えてください。
塚越さん:これは、朝日新聞が全国47都道府県の教育委員会を調査したところ、17の道府県で今後、高校の数を減らす見通しだと回答しました。現在、全国には都道府県立高校がおよそ3200校あります。これを2030年度までに少なくとも41校、2040年度までに合わせて145校が減る見通しです。例えば富山県では、現在34校ある県立高校を2038年度までに20校に減らす計画です。さらに、今回の調査では「検討中」などと回答した自治体も多く、今後さらに減る可能性があります。実際、調査が終わった後に宮城県が県立高校を30校減らす案を発表しました。この30校は調査結果の145校には含まれていないので、今後はさらに多くの高校が減る可能性があります。ただ、1点確認しておくと、これはいわゆる公立高校の話で私立高校はこの数には入っていません。
吉田:「2040年度までに、全国の都道府県立高校のうち、少なくとも145校が閉校する見通し」ということですが、こちらはどのような背景があるのでしょうか?
塚越さん:最大の理由は、やはり少子化です。総務省の人口推計によると、15歳の日本人の人口は2024年度でおよそ106万人います。これが2039年度には70万人と、34%も減る見通しです。2年前は15歳の中学生は100万人いたのですが、その子たちが15年経って2039年になると今、生まれた子たちが15歳になると70万人になるので、今より3割減るということです。高校は生徒が減っても校舎の維持管理や教員の人件費などが必要になります。さらに、生徒が少な過ぎると選択できる授業や部活動が限られたり、学校行事も難しくなります。なので、いくつかの高校を統合して、そこに生徒や先生を集めることで、教育環境を充実させようという動きがあるわけです。ただし、統廃合によって学校までの距離が遠くなるなど、特に地方では通学の問題が出てきます。
ユージ:そうですよね。「私立高校の授業料無償化」が拡充されましたが、今後はこちらの影響も出てきそうですね?
塚越さん:そうなんです。実は今回の145校という数字には、今年度からの授業料無償化拡充の影響は含まれていません。というのも、今回の調査のもとになった計画はいずれも今年の春までにつくられたものだからなんです。今年度からは、私立高校の授業料について所得制限が撤廃され、年間最大でおよそ45万円まで支援されるようになりました。もちろん入学金や制服代などは別ですが、私立と公立の経済的な負担の差は小さくなるので、公立高にはさらに影響が出るとみられます。実際文部科学省の調査では、今年度の全日制高校の1年生は私立が前年度より5.3%増えた一方、公立は3.0%減っています。例えば新潟県では、公立高校の一般選抜倍率が、記録のある1986年度以降で初めて1倍を下回りました。もちろん、全てが無償化の影響とは断言できませんが、私立を選ぶ家庭が増えていることが分かります。特に私立高校に通える地域では、公立高校の定員割れが進み、統廃合がさらに加速する可能性があります。
ユージ:「全国の都道府県立高校が減る見通し」であること。塚越さんは、どうご覧になっていますか?
塚越さん:15年で3割減るということ考えると、減るのは仕方ないと思いますし、避けられないことだと思います。やっぱり公立高校は経済的な事情や住んでいる地域に関わらず、教育を受ける機会を保障する役割もあります。特に地方では、私立が少ないところってなると距離が遠くなります。そうなると選択肢が無くなって、経済的な負担とかも含めてちょっと厳しいと思います。ここをどうにかしないといけないです。実際、国としては3000億円ほど基金をつくって、今年の2月から3年間、公立校はいろんな支援を打ち出すことにしています。あとは、オンライン授業です。例えば、地域の拠点校とかの授業をもうちょっと小規模な高校と繋いで、そこでいろんな生徒さんもオンラインにはなりますが、話し合ったりして対応性を学ぶことも重要だと思います。ただ、なかなかそこをどうするのか根本的な解決が難しいです。もっと言うと、これは学校の話ですけど自治体もそうです。自治体もこれから「平成の大合併」がありましたが「令和の大合併」じゃないですけど、自治体も人員が少なくて厳しいです。いろんなところを統合していく動きがこれから加速する可能性があるので、学校の話ですが皆さんのお住まいの地域でもいろんなことが起きるかもしれないので「何を残すのか」というところも、これから議論が重要になってくると思います。