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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.11.05

スーパーの冷蔵庫に再びサイバー攻撃、日本は大丈夫?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは情報社会学がご専門の、学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんです。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら


「スーパーの冷蔵庫に再びサイバー攻撃、日本は大丈夫?」

村田:ヨーロッパで、スーパーなどの冷蔵庫や冷凍庫を狙ったサイバー攻撃が相次いでいます。


ユージ:塚越さん、ヨーロッパのスーパーで何が起こっているのでしょうか?


塚越さん:今年、2026年10月、フランスのスーパー数百店舗で冷蔵・冷凍設備を狙ったサイバー攻撃が行われました。また今月に入っても、ベルギーやイタリア、スウェーデン、ポルトガルなど、ヨーロッパの少なくとも9か国でも、同様のサイバー攻撃とみられる被害が相次ぎました。例えばベルギーでは大手のカルフールや、家具大手のイケアの店舗でも被害が確認されています。今回、狙われたのは、インターネットにつながっていて、遠隔操作で温度を管理できる冷蔵・冷凍設備です。いわゆるIoT製品ですね。攻撃によって温度が急激に上昇し、中には50度まで温度が上がったケースも報告されています。当然、冷凍食品などが傷んでしまうので、大量の食品を廃棄せざるを得なくなりました。


村田:10月にも同様のサイバー攻撃があったということですが、なぜまた同じような被害が起きているのでしょうか?


塚越さん:今回の具体的な侵入経路や、10月の攻撃と同じ犯人なのかは、まだわかっていません。さらに、身代金の要求等は確認されておらず、誰が何の目的で攻撃したのかも、まだわかっていない状況です。政治的な意図があったとか、脆弱性があったからなのか、まだわかりません。その上で原因ですが、10月に攻撃された設備の一部には、デンマークの会社の温度管理システムが使われていました。この会社によると、被害を受けた設備の多くは、メーカーのサポートが終了した古い製品や、ソフトウェアを更新していない製品だったということです。そして11月の攻撃でも、同じメーカーで対策が間に合わなかった店舗の設備が被害を受けています。また、設備の管理画面がインターネット上に直接公開されて、外部からアクセスできる状態だったことも問題視されています。つまり、機械自体はまだ使えても、セキュリティ上は危険な状態になっていたということです。これはスーパーの設備だけではなく、家庭で使っている家電にも共通する問題だと思います。


村田:日本ではどうなのか気になります。日本の食品・物流・医療機関は大丈夫でしょうか?


塚越さん:日本でも同じようなリスクはあります。今年7月には冷凍食品などを扱うニチレイがサイバー攻撃を受けて、システム障害が発生しました。その結果、冷蔵倉庫への商品の出し入れや、冷凍食品の出荷が一時的に止まって、物流にも影響が出ました。これは冷蔵庫の温度を操作された事件ではありませんが、サイバー攻撃が外食産業や物流にも大きな影響を与えるということですよね。さらに医療機関となると、薬品や血液製剤など、温度管理が必要なものもあるので、こうした設備が攻撃されると、人の命に関わる可能性もあります。古い機器はネットから切り離すかなどの検討が必要です。


ユージ:家の家電もインターネットにつながっています。家に帰ったら、エアコンの設定温度が勝手に35度に遠隔操作されているなんてことも、やろうと思えばできてしまうわけですよね?


塚越さん:もちろん、すべてのエアコンが危険というわけではありませんが、インターネットにつながっている以上は遠隔操作の仕組みが悪用される可能性はあります。例えばペットを飼っていたら、エアコンの温度が高い、低いでペットの命にかかわります。他にも、外出先から遠隔で家のペットの様子がわかるカメラの映像が世界に公開されてしまう、なんていうことが起きてもおかしくありません。私は先週、「東洋経済オンライン」でも記事を書いたのですが、日本ではネット機能がついたIoT家電のセキュリティ対策が大きな課題になっています。例えば、日本の家庭はエアコンを平均13.4年、冷蔵庫を13.1年使っているという調査があります。これはネット接続機能がついてないものを含めての数字ですが、家電はおおよそ13年使うということですが、セキュリティの更新が13年間続くとは限らないですよね。日本では去年から、一定のセキュリティ基準を満たしたネット家電に、星マークをつける「JC-STAR」という制度が始まっています。ただ、このラベルの有効期間は原則2年間です。更新できるので2年でサポートが終わるわけではありませんが、何年間セキュリティ更新を提供するかはまだ明確に決まっていないところも多いです。13年間ずっとセキュリティサポートを提供することは、なかなか厳しいかなと個人的には思います。なので、皆さんご家庭のネット接続機能があるエアコンとか冷蔵庫とか、まず何年間使えるか、サポートはどうなのか、そういったセキュリティを気にしていただきたいんですね。あとは、家のWi-Fiルーター。元々のところも結構大事なので、セキュリティがどうなのか気をつける。そして、もうどうしてもサポートが切れている家電であれば、ネット接続機能を切りましょうと。そうすれば物理的には使えます。これからご家庭の家電とネットのこと、ちょっと気をつけてみてください。

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