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22.04.11

企業年金の予定利率引き下げ。企業や老後の家計への影響
nullネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。

今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


企業年金の予定利率引き下げ。企業や老後の家計への影響

吉田:先週、日本生命保険が企業から預かる団体年金保険の予定利率について、来年4月に、現在の年1.25%から0.50%に引き下げることが分かりました。
生命保険会社は、企業から従業員の年金用の資金を預かり運用しています。そのことで、今回のような予定利率の引き下げによって、企業によっては、利回りの高い運用先を探したり、従業員が支払う掛け金を増やしたり、さらに、年金の受取額を引き下げるなどの対応が必要になってくる可能性があるんだそうです。


ユージ:このニュース、私たちの老後の家計にも関係の深いニュースなんですよね。ただ年金の制度は難しく、僕も完全に理解できている訳ではないんですが…神庭さん、そのあたりから説明お願いできますか?


神庭さん:はい。年金は3階建てになっていて、国民年金(基礎年金)が1階。2階には会社員・サラリーマンが加入する厚生年金がきます。そして、その上の3階に位置するのが、私的年金である企業年金なんですね。
この企業年金にも2種類ありまして、まず、給付額が決まっている「確定給付型」。933万人が加入しています。もう一つが、拠出する掛け金の額が決まっている「確定拠出型」。こちらは加入者750万人です。後者の「確定拠出型」の方は、従業員が自分で運用して、それに応じて給付額が決まるものなので、今回の予定利率云々…というのは関係ないんです。今回焦点になっているのは「確定給付型」の方で、日本生命は来年4月から、契約企業に対して約束する予定利率を年1.25%から0.50%に引き下げることを発表しています。


吉田:この予定利率というのは?


神庭さん:難しい言葉ですよね。保険会社が契約する企業や個人に対して約束する利回りのことなんですね。保険会社は受け取った保険料を運用しているんですけれど、この運用利回りが予定利率を下回ると「逆ザヤ」といって、どんどん損失が膨らんでいってしまうんです。超低金利が続いている中で、そうした逆ザヤ状態に陥ることを避けるために、生命保険各社は企業年金の予定利率引き下げに乗り出している、ということなんですね。


ユージ:そこで本題の、我々への具体的な影響についても教えていただけますか。


神庭さん:日経新聞によると、「確定給付型」の企業年金を採用している企業は1万2000社あって、運用額は総額67.5兆円にもなります。このうち日本生命は4割超の5000社以上と取引があって、運用額ベースでみても全体の10分の1を占めています。
契約企業側からすると、期待していた利率での給付ができなくなってしまうので、シナリオが狂ってしまう、と。そうなると、従業員の損が出ないように穴埋めしないといけないので、具体的には掛け金を増やすとか、運用するポートフォリオの中で、よりハイリスクな資産の割合を増やす、といった対応が必要になってくると思います。企業にとって将来の年金額を約束する「確定給付型」が重荷になってきていて、従業員の自己責任で運用する「確定拠出型」への転換が今後さらに進んでいくのではないかと見られます。


ユージ:そもそも、予定利率が引き下げとなった背景はなんですか?


神庭さん:生保がこれまで長らく1.25%の予定利率を維持できたのは、企業年金の儲けが多少減っても、企業から団体保険の契約をとれればプラスになっていたので、ある意味「損して得取れ」という考え方があったと言われているんですね。ところが、2025年に保険会社を対象にした新たな資本規制が導入されることになって、事情が変わりました。新規制では負債が時価で評価されるようになって、低金利、マイナス金利が続くなかで高い予定利率を約束し続けていると、財務上の健全性が損なわれてしまう、と。自己資本を積み増すなり、予定利率を下げるなりの対応が必要になってきます。こうした規制強化が今回の対応の背景にあるという風にみられているんです。


ユージ:今後こういった動きが進んでいくと、どうなっちゃうんでしょう?


神庭さん:これは日本生命に限った話ではなく、第一生命も去年の10月の段階で予定利率を1.25%から0.25%に引き下げているんですね。で、明治安田生命と住友生命は今のところ1.25%をキープしているんですけれど、最大手の日生が引き下げに踏み切ったことで、今後業界全体に引き下げの動きが広がっていくかもしれません。より大きな視点でみると、企業に“おんぶにだっこ”の社会保障で大丈夫か?という問題はあります。
「確定給付」から「確定拠出」へ。企業型だけでなく個人型の確定拠出年金(iDeCo)も含めて、年金の3階部分に関して「自助」を求められる領域が広がってきている状態です。そうした流れを後押しする意味でも、「上限額を緩和する」「節税メリットを今まで以上に強化する」など、より使い勝手のいい制度に変えていく必要があるんじゃないかな、と思います。あわせて、正しいリスクの説明や従業員への投資教育、リテラシーの底上げも欠かせないんじゃないかな、と思いますね。



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