23.11.02
買収から1年 イーロン・マスク氏が目指す"X"

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「買収から1年 イーロン・マスク氏が目指す"X"」
吉田:アメリカの起業家イーロン・マスク氏が、昨年10月27日に、SNSサービスのTwitter社を買収してから1年が経ちました。今年7月には、社名を「X」に変更、サービスや規約を次々と見直し、その変化に使用者から困惑の声も上がりました。そこで今朝は、「買収から1年イーロン・マスク氏が目指す”X”」について塚越さんに解説いただきます。
ユージ:改めて「X」が1年経過したんだと思いましたが、この1年の動きを教えてもらえますか?
塚越さん:イーロン・マスクがTwitter社を440億ドル、日本円でおよそ6兆4,000億円余りで買収したのが去年の10月27日です。当時もイーロン・マスクは「Twitterの買収は全てを備えたアプリ『X』の政策を推し進めるものだ」とTwitterに投稿していました。その上で彼がしたことは、まず人員整理です。買収前に8,000人弱だった従業員のうち、半数を解雇しました。今年の4月には、およそ1,500人にまで減少しました。買収当時のTwitter社の財務状況が悪化していてのリストラということで、必要な措置という側面もありました。それによってフェイクニュースや誹謗中傷対策がおろそかになる等の批判がありました。一方で、今年に入ってからは収益化に向けた取り組みを加速しています。まずは日本でも展開されている有料サービスで、長文の投稿や投稿の編集ができるものです。有料の公式承認バッジ(青いバッジ)を導入したり、また有料のクリエイターには、広告収入の一部を還元するプログラムも日本で8月に開始しています。これによってインフルエンサーなど、人によっては毎月数十万円の収入を得る人も出てきました。また、大きいところではやはりブランド名を「X」に変更したこと。これは今年7月のことです。「X」の公式アカウントは、1年で100を超える機能を追加したと投稿しているのですが、特定の国に限定されるものもあれば、すぐにやめるサービスもあるわけで、一言でいえば試行錯誤段階というところです。
ユージ:先日、民間調査会社の調査で、旧Twitterを「X」と呼んでる人がわずか9%だったという結果も出ています。「X」の様々な変化が世の中に浸透していないようにも感じますがいかがでしょうか?
塚越さん:実際、今年9月の1日平均利用者は、世界全体でおよそ1億8,300万人と、去年の10月から15%減っています。逆に、競合のInstagram等は利用者を伸ばしているところもいっぱいありますし、Instagramがはじめた「X」に似た「Threads」も、一時期より利用者が減って9月にはデイリーユーザーが1,300万という数字もあります。競合相手であるには変わらないかなと思います。「X」については、いろいろな施策が嫌だからという理由で離れる人も出ていますし、実際に利用者は減っています。まだ有名人が一気に乗り換えるようなことがない限り、今のところは、まだ保ち続けている状態といえます。
吉田:X社の現状はどうなっていますか?
塚越さん:やはり大規模リストラでサービス障害も多く、買収前後で反ユダヤ主義の投稿が2倍に増えたり、今回のイスラエルとハマスの衝突でも、偽情報が拡散しています。つまりフェイトやフェイクが増えて広告出向が減りました。こういう問題もあり、欧米の報道では、現在のX社の企業価値は190億ドルで、買収にかかった440億ドルの半分以下になります。広告の呼び戻しや有料化を行っていますが、経営は厳しい状況にあります。
ユージ:そのような状況の中、イーロン・マスク氏がこれから目指す「X」とは何でしょうか?
塚越さん:イーロン・マスク氏はとにかく「X」を何でもできるスーパーアプリにしたいと語っています。今後は、送金機能や求人募集機能を実装したり、出会い系アプリ、つまりマッチング機能を搭載したいとも語っています。スーパーアプリとは要するに、チャットも電話もゲームも買い物も、何でもできるというものです。何でも出来ればユーザーデータの収集分析もできるので、企業としてもメリットが大きいというものです。ただ、スーパーアプリというものは中国の「WeChat」などの一部を除けば、ほとんどありません。日本のLINEもスーパーアプリといえばそうですが、やはりメッセージ以外の機能では、他のアプリより強く秀でているというものでもありません。それでもアジアでは比較的大きな機能がありますが、欧米は機能が分散されているものがあります。やはり、これだけリストラしている中で、これからどのくらい作っていくかというところでやはり難しいかなと思います。このまま業績が上げられないと、結局身売りすることも考えられると思います。
ユージ:これから、「X」はどうなっていくと思いますか?
塚越さん:多くの日本のユーザーは有料化をあまり望んでいないというのが本音だと思います。有料化されるものが多いと、利用者が減ってしまう可能性もあります。ただ、イーロン・マスク氏は経営者としてすごいことを行ってきたのは確かです。これからどういう施策を打ってくるか、それが嫌だという人もいますが何かで変わる可能性もありますので注目してください。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 2, 2023
『買収から1年。イーロン・マスク氏が目指す”X”』
この1年で、「Twitter」から「X」への社名変更や、一部有料サービスの導入など、イーロン・マスク氏の挑戦が多く感じられました。ユーザーの中で賛否はありますが、僕は賛成です。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 2, 2023
Xの今後の施策として挙げられているのが「全ユーザーの有料化」ですが、僕は1円でも有料化することで得られるメリットがあると思います。有料化に伴いクレジットカードなどの個人情報登録をすることで、いまX上に溢れているボット(スパムアカウント)が撲滅される可能性があるからです。…
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 2, 2023
また、Xを有料化にすると個人情報やカード情報を預けることに不安を感じる方がいるかもしれませんが、イーロン・マスク氏は個人情報やカード情報を扱っている経験があるので、Xを有料化へ移行することに問題はないと思いました。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 2, 2023
スーパーアプリを目指すイーロン・マスク氏にとって、このハードルをクリアできれば、買収時よりも半分以下に落ちてしまった企業価値を巻き返せるのではないかと期待しています。#ワンモ