25.07.28
日米関税合意、コメはどうなる?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「日米関税合意、コメはどうなる?」
吉田:日米の関税交渉が合意に至ったことを受け、石破総理は25日の講演で「政府として国民に対して果たすべき責任を果たした」と述べました。日米関税交渉で何が決まったのか、また焦点の一つだったコメの輸入をめぐって、どんな影響が予想されるのか。神庭さんに解説してもらいます。改めて、関税交渉で決まった内容を教えてください。
神庭さん:アメリカは日本からの輸入品に25%の相互関税をかけると主張していましたが、これを10%ディスカウントして15%にすることで合意しました。最大の焦点だった自動車に関しては、相互関税とは別枠で25%の分野別関税がかけられていましたが、こちらも15%に値切ることに成功しました。読売新聞によると、トランプ氏が「鉄は国家だ」とすごんできたところに、赤沢氏は「日本は自動車が国家だ」と言って応戦したそうです。「自動車15%」は非常に評価できますし、トランプ政権に無理難題を突きつけられて、誰がやってもはなから負け戦になることが確定していました。いかに負け幅を減らすかの戦いでした。8回も渡米して汗をかいた赤沢氏も、また最終責任者である石破氏も、粘り腰の交渉でよく頑張ったんじゃないかなと思います。この他、半導体や医薬品に関しても、ほかの国に比べて不利な扱いを受けないことが約束されました。
ユージ:課題はありますか?
神庭さん:正式な合意文書を取り交わしていないということが最大の課題です。契約書なしで口約束で決めました、だと不安が残りますよね。日米がそれぞれの国内世論に配慮して、都合のいい部分だけアピールしてリップサービスできるように、あえて玉虫色にしたというのも考えられなくないですが、紙がないと解釈の食い違いが生じて今後の火種になりかねません。実際、ベッセント財務長官は日本側の履行状況を四半期ごとにチェックして、もしトランプ氏が不満を持ったら自動車も含めて25%に戻すと言い出しています。こうなるとほとんど、ゆすり、たかりみたいな話になってきます。
ユージ:本当ですね。他に懸念点はありますか?
神庭さん:もう1つは最大5,500億ドル規模のアメリカへの投資が決まったということです。5,500億ドルと言ったら日本円で80兆円オーバーというとんでもない額です。さらに利益配分はアメリカ側が90、日本側が10という著しく不均衡な割合になっています。これだけ聞くと、「投資」じゃなくてカツアゲじゃないかという気がしてきます。一応補足しておくと、これは直接的に公金・税金をジャブジャブ支出するということではなく、日本の民間企業がアメリカに投資をする際に、政府系金融機関が5,500億ドル規模の出資・融資・融資保証の枠を設けましょう、という話です。9対1でも利益が出るなら一応Win-Winですが、アメリカ主導でアラスカのLNG開発のようなハイリスクな案件に投資して、結局採算が取れずに焦げ付いたりしないか心配です。
吉田:注目されていたアメリカ産のコメの輸入についてはどうなったのでしょうか?
神庭さん:その前に過去の経緯を少し説明すると、日本は1995年にコメの輸入を部分開放しました。ミニマム・アクセス米という制度で、海外のコメに高い関税をかけて日本産のコメを守る代わりに、最低限は関税なしで輸入しないといけなくなりました。ミニマムアクセスの枠は、現在は年間77万トンです。その多くは加工用・飼料用に使われ、10万トンが主食用に輸入されています。今回の合意でアメリカ側は、日本がアメリカ産のコメの輸入を即時に75%増やすと発表しましたが、これはちょっと注意が必要な数字です。日本側の説明によれば、ミニマムアクセスの77万トンという枠は変わらない。あくまでもミニマムアクセスの大枠のなかで、アメリカからの輸入の割合を増やす方針だそうです。
ユージ:コメの価格には何か影響があるのでしょうか?
神庭さん:これは影響ないと思います。77万トンの枠を維持するということは、アメリカからの輸入を増やす分だけタイや中国、オーストラリアとか他の国を減らすことになります。さらに10万トンの主食枠についても、小泉農水大臣が「枠の変更は考えていない」と話しています。トータルでコメの輸入量が増えず、主食用に回る量も増えない以上、今回の合意が理由でコメの価格が下がるということは考えにくいかなと思います。
ユージ:コメをめぐる合意について、神庭さんはどう見ていますか?
神庭さん:自民党の大票田である農業票に対する配慮が色濃くにじむ内容だなと感じました。特に地方では、コメ農家の票の影響は大きいです。それだけで当選するのは難しいにしても、仮に相手側陣営に数%の票が動けば、落選させることはできてしまう。だからこそ、コメの価格が下がり、コメ農家に不利になるような合意はしたくなかったのかなと思います。石破氏は関税交渉の中でことあるごとに「国益」という言葉を強調していたのですが、国益=農家益ではありません。本来ならコメを買う消費者の利益も含まれるはずです。コメを高い関税で保護して、事実上の減反を続けた結果、今のコメ不足、コメ高騰を招いてしまったわけです。選挙対策や党利党略ではなく、もっと広い意味での「国益」のために、コメをガンガン増産して海外に輸出する、コメ農家を大規模化して生産性を上げていくといった農政の抜本改革にこれを機に乗り出していただきたいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 28, 2025
テーマは「日米関税合意、コメはどうなる?」…
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 28, 2025
僕個人としては、25%と提示しておいてから15%で合意するまでの流れはアメリカの狙いだったように感じます。もちろん、15%までに下げるまで交渉を重ねた動きについては一定の評価をするべきだとは思いますが、ここがゴールだと思って欲しくないというのが正直な感想です。#ワンモ
#ユジコメ ③…
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 28, 2025