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25.05.13

公益通報者保護法の解釈を巡り、消費者庁が兵庫県にメールで助言
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「公益通報者保護法の解釈を巡り、消費者庁が兵庫県にメールで助言」

吉田:「公益通報者保護法」の解釈を巡り、消費者庁は兵庫県に対し「公式見解と異なる」と指摘しました。新井ゆたか長官は先週、「自浄作用を働かせていただきたい」と話しました。斎藤知事は「真摯に受け止めたい」と述べる一方、「様々な論点、意見がある」と主張しています。神庭さん、まずはこのニュースの背景を教えて下さい。


神庭さん:経緯をおさらいします。産経新聞によると、兵庫県の西播磨県民局長だった男性が、昨年3月、斎藤知事のパワハラなどを告発する文書を一部の報道機関や県議らに配布しました。県は男性を解任し、「核心的な部分が事実ではない」として誹謗中傷と認定、停職処分としました。男性は疑惑を検証する百条委員会に出る予定でしたが、出席を待たず死亡しました。一連の告発をめぐっては、県が男性を公益通報者保護法で保護される「公益通報者」として扱わなかったこと、懲戒処分としたことが問題視されています。


ユージ:では、兵庫県の斎藤知事の主張と、消費者庁の解釈とは、どのように食い違っているのですか?


神庭さん:読売新聞によれば、斎藤知事は3月の会見で、公益通報者保護法の保護対象として「3号通報(外部への通報)も含まれるという考えがある一方で、内部通報に限定されるという考え方もある」と主張しました。これを受けて、消費者庁は「公式見解と異なる」とメールで県に伝えたということです。内部通報だけでなく、外部通報も法律の保護対象になるよ、というのが消費者庁の考え方です。消費者庁の新井長官はこうした解釈に基づいて、兵庫県に対して「自浄作用を働かせて」と少し強いトーンで訴えました。一方、斎藤知事の側は消費者庁の指摘に関して「一般的な法解釈のアドバイス。真摯に受け止めたい」と述べつつ、過去の自分の発言については「間違ったことは言ってない」と持論を繰り返しました。


吉田:双方の解釈で食い違っている「内部通報」と「外部通報」ですが、そもそも何が違うのでしょうか?


神庭さん:「内部通報」というのは、組織の中にある窓口に通報することです。会社が指定する弁護士や労働組合も「内部」に含まれます。「外部通報」は、行政機関や報道機関、消費者団体など組織の外に向けて通報することを言います。どっちも告発する人自身は「内部」の人ですが、告発の宛先によって内部通報か外部通報か分かれます。先に内部通報した後じゃないと外部通報しちゃダメとか、そういう縛りはありません。外部通報だけしてもいいですし、外部通報の後に内部通報しても問題はありません。


ユージ:今回の「公益通報者保護法」を守るうえで、会社や組織の側が、気をつけるべきことは何でしょうか?


神庭さん:消費者庁のハンドブックが参考になります。それによると、公益通報をした人の解雇は無効になります。解雇以外でも、降格させたり減給したりといった不利益な取り扱いをすることは禁じられています。そして、公益通報を理由に損害賠償請求することもできません。企業は内部通報制度を整備しないと消費者庁の指導などの対象にもなります。報告を求められても応じなかったり、虚偽の報告をしたりすると企業に対して20万円以下の科料を科されます。公益通報の対応業務をする担当者が正当な理由なく通報者を特定できるような情報を漏らした場合、30万円以下の罰金の対象にもなります。例えば、名前や社員番号を誰かに伝えたら分かりやすくNGです。それ以外でも、その会社の総務部に女性が1人しかいないケースの場合、「総務部の女性から通報があった」と誰かに言ったら、それだけで事実上バレます。なので、企業は告発者を守るために情報管理にも配慮する必要があります。


吉田:「公益通報者保護法」はその名の通り、かなり通報者を守るものになっています。労働者の側が知っておくべきことは何でしょうか?


神庭さん:公益通報者として保護されるのは正社員に限りません。派遣社員、アルバイト、パートタイマー、役員、退職から1年以内の方も含まれますし、取引先の労働者も含まれます。告発を検討している人は、まず社内の窓口がどこなのか確認して欲しいです。組織ぐるみの不正が横行していて、通報が握り潰されたり、会社から報復を受けるリスクがある場合は、外部への通報も選択肢になってくるかなと思います。労働関係であれば労働基準監督署や労働局、食品衛生の問題なら保健所や消費者庁が宛先になるかもしれませんね。どこに伝えればいいのか分からない時には「公益通報者保護制度相談ダイヤル」という電話窓口もあり、匿名で相談することもできます。当然ですが、不正な利益を得る目的であったり、他人に損害を加える目的で通報した場合には、公益通報として扱われません。


ユージ:公益通報者の保護について、神庭さんはどうみていますか?


神庭さん:なぜ内部告発者を法律で守らなければならないのか?ということですが、組織の自浄作用が働かないと、社会は内側から腐っていきます。勇気を出して内部告発をした人たちの中には、クビになったり、報復人事で閑職に左遷されたり、一家離散に追いやられたり…。最悪の場合、自殺してしまった方もいます。告発者が「裏切り者」として糾弾される世の中だと告発者の方は怖くて言えませんから、不正は放置され、隠蔽がまかり通ってしまいます。消費者庁の調査では、不正が見つかるキッカケの第1位は「内部通報」で58.8%に達しました。告発者を守ることが、長期的には会社や組織、社会を守ることにも繋がるのだという意識が根付いて欲しいなと思います。


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