25.05.01
1年間“食料品の消費税ゼロ”の効果

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師 塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
『1年間“食料品の消費税ゼロ”の効果』
吉田:多くの野党が夏の参議院選挙に向け、消費税減税を掲げる中、立憲民主党の野田代表は、食料品の消費税の税率を原則1年間に限って0%に引き下げ、その後、給付や所得税の控除を行う『給付付き税額控除』に移行するなどとした案を参議院選挙の公約に盛り込むことを決めました。この期限付きの食料品の消費税ゼロはどんな効果があるのでしょうか?塚越さんと探っていきます。
ユージ:塚越さん、立憲民主党が掲げた『1年間“食料品の消費税ゼロ”』、どういう狙いがあるのでしょうか?
塚越さん:簡単に言うと、食料品にかかる8%の消費税を来年から1年間だけ0%にする政策です。この政策は、最大でもう1年間延長ができるようにするということなんですね。この政策を夏の参議院選挙の公約に掲げているということですが、ちなみに、消費税減税政策は、立憲民主党の党内で意見が割れていまして、野田代表は『財政均衡派』で基本的には減税に反対の立場なんですね、実際に野田さんは、民主党政権で総理大臣だった2012年に、自民・公明両党と合意して消費税を上げた張本人なんですよね。なんですけれども、今回は他の野党が消費税の引き下げや廃止を掲げているので、党内の消費税減税政策の声もあって、いわば“折れた”かたちになったと思います。
吉田:この“食料品の消費税ゼロ”は、どんな効果がありそうですか?
塚越さん:いろんな試算がありますが、消費税は所得が低い人ほど負担が重くなる『逆進性』があります。なので、誰もが必要な“食料品の消費税”を下げるのは、特に所得で困っている層には効果があると思います。立憲民主党は、食料品の消費税ゼロによって年間およそ5兆円の減税効果でGDPは0.3~0.5%押し上げるという試算を出しています。一方で国民民主党の玉木代表は、こうした政策の効果はあまり大きくないと主張していまして、自身で試算すると、一人当たりは年間およそ2万円程度の負担減になると指摘しています。その上で、減税額だけで比較するなら、例の『103万円の壁』を178万円に引き上げたほうが効果的と述べています。ただし、その玉木代表も、消費税は食料品だけではなく一律で5%に引き下げることを主張しています。また自民党の森山幹事長は、消費税は最も大事な財源なので1年間の限定なら別の方法があるとも述べています。専門家の試算もいろいろとあって、例えば、野村総研の木内登英さんによりますと、いわゆる現金給付よりも消費税減税をしたほうがGDPの押し上げ効果は高くなると述べています。現金給付だとタンス預金になってしまうとか、消費税減税は使えば使うほどお得になるのではないかということです。ただし、1年間限定だと、そのためのコストがかかってしまったり、あるいは、結局ダラダラと続くとなれば毎年5兆円の減収になることを危惧する指摘もあります
ユージ:やはり、消費税減税で失った税収の財源をどうするのか?が大きな課題ということですね?
塚越さん:そうですね。野田代表は赤字国債に頼らずに財源を確保すると言っていて、いくつか念頭にはあるようですが具体策はこれから精査するということなんですよね…。私は、ここはやっぱり、財源論こそが重要だと思うので明確にして欲しいと思います。
吉田:“食料品の消費税ゼロ”、他にどんな影響がありそうですか?
塚越さん:食料品の消費税はゼロになりますが、外食やイートインは10%のまま据え置かれるので、テイクアウトとイートインの差が広がります。となると、外食を控える人が増えて飲食店には打撃になる可能性があります。なので、食料品の範囲ですよね、お酒をどうするの?とか、そういうことも議論になりますし、事業者のシステム対応なども課題ですよね。1年か最大でも2年のためにどこまで対応すべきかも課題になると思います。
ユージ:夏の参議院選挙に向けて各党が消費税減税を掲げていますが、塚越さんはどうみてますか?
塚越さん:私はある程度、消費税減税は重要なのかなと思いますね。諸外国だと食料品に関しては、他よりも低い税率にしている国もありますので、やってみる価値はあると思います。1年間限定とか、どこまでやるのか?ということもありますが現金給付よりはいいと思います。最近の議論の中には、財源が減っても国債発行で賄えるという主張もあって、これは時に『減税ポピュリズム』として警戒されるところもあったりします。とはいえ、日本の税負担があまりにも大きくなっていく中で、財源を気にするだけでいいのか?ということもあって、財源論とか、減税するか?というのは、かなり大きい国民的な関心事になります。なので、各党ごとにいろいろな減税の効果だけでなく、財政との関係をどういう立場でどういうデータで良い/悪いというのを明確に主張すべきですし、そういう各党の公約は、私たちもじっくり見ていく必要があると思います。特に選挙の前になると大きな看板を出してきます。あと、ネットでの世論、議論が過激になっていってしまいますし、「減税モードだから…」「空気がそういう感じだから良いか…」だけではなく、やっぱり、財源のことも気にしなきゃいけない。今、私が話してきたようにいろいろな側面があるので、最終的には我々国民一人ひとりが考えて、空気に流されるだけではなく、何が良いのか?ということを、一人ひとり見ていくことが重要なのなかと思います。世論の動きもかなり動いちゃっているので、皆さんしっかり政策を見ていきましょう。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2025
『1年間“食料品の消費税ゼロ”の効果』
立憲民主党の野田代表が、食料品などにかかる消費税の税率を原則1年間に限り0%に引き下げる政策を、夏の参議院選挙の公約に盛り込むことを決めました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2025
元々3%に始まった消費税率は5%、8%と上昇し続け、下がった歴史が一度もないため、消費税減税は政府にとって重い腰が上がらないかもしれません。
まずは期限付きで実施してみれば、その期限の中でも善かれ悪しかれ見えてくるものがあるのではないでしょうか。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2025
“食料品の消費税ゼロ”は消費者としてはもちろん嬉しいですが、店内飲食は10%のまま据え置かれ、テイクアウトが0%になるので、飲食店にとってどのような影響が生まれるのか気になるところです。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2025
また課題として挙げられるのは、消費税減税で失った税収の財源をどうするのかということです。1年間限定だと5兆円の減収になるという指摘があります。
野田代表は、具体策をこれから精査するとしているそうですが、明確にすべきことの順番に疑問を感じました。#ワンモ
#ユジコメ⑤
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2025
参議院選挙のための材料としてではなく、税収は下がっても消費税減税でどれほどの効果が得られるのかというデータを明確に主張できるのであれば、この公約は良い案だと僕は思います。
国民がこれをどこまで支持するか、引き続き注目したいです。#ワンモ