25.03.10
政府予算が再修正へ、私たちの暮らしはどう変わる?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「政府予算が再修正へ、私たちの暮らしはどう変わる?」
吉田:2025年度の政府予算案が3月4日、自民・公明・日本維新の会などの賛成多数で可決され、衆議院を通過しました。一方、石破総理は3月7日、高額療養費の負担上限額の引き上げ見送り表明。政府・与党は予算案を再修正する方向で調整しています。そこで今朝は、今回の予算のポイントや私たちの生活への影響について、神庭さんに解説してもらいます。まずは、来年度予算案のポイントからお願いします。
神庭さん:教育無償化については先週お伝えしたので、今日は、「年収の壁」と「高額療養費制度」の件を中心に解説します。まず年収の壁ですが、一言でいうと低所得世帯=高齢世代に優しく、中高所得世帯=現役世代に渋いケチケチ見直しになりました。簡単におさらいすると、103万円の壁というのは所得税がかかり始めるボーダーラインです。税金で「働き損」にならないように働き控えをする人も多かったので、国民民主党はパート主婦に限らず広く減税の果実を行き渡らせるために、178万円に引き上げようとしていました。ただ、それだと7〜8兆円の財源が必要になると自民・公明に押し返され、骨抜きにされてしまったという経緯です。
ユージ:結局、どうなりましたか?
神庭さん:「160万円の壁」になったと報じられていて、え?160万円なら結構いいじゃん!と勘違いしている人もいますが、これ気をつけて欲しいです。実際には、所得制限をつけて中高所得者の減税額が増えないように細工されています。「基礎控除」といって、必要最低限度の生活費には課税しない、所得から差し引けるようにする制度があります。今回、その基礎控除の額を所得が増えるに従って減らしていく、という悪魔的なアイデアによって、中高所得者の減税額を抑えることに成功しました。壁をなくしてシンプルな税制にするはずが、かえって所得制限の壁を増やして話を複雑にしています。基礎控除に所得制限をつけるのも、憲法が規定する生存権に照らしてどうなのかなと思います。
ユージ:具体的には、いくらぐらい減税されますか?
神庭さん:自民党のサイトによると「年収200万円は、2.4万円の減税」、「年収400万円は、2万円」、「年収800万円は、3万円」、「年収1,500万円は、3.3万円」ざっくり2〜3万円の減税になります。当初の国民民主案であれば「年収200万円なら8.6万円」の減税。「年収500万円は、13.2万円」、「年収800万円は、22.8万円」、「年収1,000万円でも、22.8万円」になるはずだったので、かなりショボショボになっているのが分かります。しかも年収200〜800万円の中間層は2年限定で減税額を増やしているので、2年経ったらまた負担が増える。とにかく意地でも税金を下げたくない、取れるところから搾り取るという鋼の意志がうかがえます。
吉田:もう1つの高額療養費制度についてはどうなったのでしょうか?
神庭さん:高額療養費制度は、突然の大きな病気や手術で医療費の自己負担分が高額になってしまった時に、限度額を超えた分について後から払い戻してもらえる制度です。1カ月ごとに上限額が年収に応じて定められていて、政府は3年かけて、その上限額を引き上げる方針でした。例えば、年収約650〜770万円の世帯だと現在の1カ月約8万円から13万8,000円超に上限が上がります。5万8,000円を超える負担増です。年収1,650万円を超える世帯では、現在の約25万円から44万円超まで跳ね上がります。高収入世帯だとしても、さすがに月19万円の負担増は厳しいんじゃないかなと思います。
ユージ:なぜ見送りになったのでしょうか?
神庭さん:がんや難病の患者団体、医療関係者から反対意見が相次ぎ、ネットでも現役世代の不満が爆発しました。もともと社会保険料を多めに払っている人たちからしたら、高額療養費の負担でも二重に取られるんですか?ということです。「万が一」のための保険なのに、いざ病気になったら大金を払わないといけないとなると、働いて稼ぐことは罪みたいな話です。このままじゃ参院選でもたない、ボロ負けするぞということで、野党だけじゃなく与党からも批判が噴出しました。石破総理の方針も二転三転して、一時は部分凍結でお茶を濁そうとしたのですが、結局は全面凍結。見送りを決めました。このドタバタ劇の背後には、厚労省と財務省の強い抵抗があったとみられています。
ユージ:予算をめぐる与野党の攻防ですが、どう見ていますか?
神庭さん:年収の壁の引き上げを掲げていた国民民主、高校無償化の維新の陰に隠れて埋没気味だった立憲民主ですが、高額療養費の引き上げに関しては徹底して反対して存在感を発揮していたかなと思います。高額療養費の件で、どうせ予算を再修正することになるわけですから、この際に年収の壁の方も一緒に見直したらどうかなと僕は思います。国民民主の玉木代表は、150万円で所得制限ナシという条件だったら「十分に賛成は検討に値する」と話しています。いっそ丸呑みした方が石破総理の支持率も上がるのではないかなと思います。
ユージ:本当にそうだと思います。ありがとうございます。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 10, 2025
テーマは「政府予算が再修正へ、私たちの暮らしはどう変わる? 」
今日は神庭さんに年収の壁と高額療養費について詳しく解説していただきました。
年収の壁は160万円に引き上げられ、響きだけなら178万円にかなり近づいたという印象です。#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 10, 2025
しかし中身を見てみると、所得制限があり結局は税収を減らさないための工夫がされていて、さらに内容もかなり複雑になってしまいました。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 10, 2025
また高額療養費制度も、この予算を再修正することになります。
その際に年収の壁もあわせて見直すべきではないかと思いました。
年収の話で言うと一見フェアな形に見えますが、年収だけでこの世帯が年収いくら世帯って区切るのは少し安易だと思いました。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 10, 2025
また、国が少子化対策を積極的に進める中で家族が増えても所得制限がボーダーラインとして決められてしまうと受けられる恩恵が少なくなってしまいます。
年収の壁を含めて見直しをして議論をしていく必要があるのではないかと個人的には思いました。#ワンモ