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25.02.03

備蓄米放出へ新制度、これでも米は安くならない?
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「備蓄米放出へ新制度、これでも米は安くならない?」

吉田:農林水産省は先週末、政府備蓄米の放出に向けた新制度の概要を発表しました。米の価格高騰が続く中、大凶作などに限っていた方針を転換します。果たしてこれで、米の値段は安くなるのか?神庭さんに今回の方針転換について解説してもらいます。


神庭さん:米の値段、すごく上がっていますよね。東京23区の1月の消費者物価指数を見ると、生鮮食品を除いた全体の上昇幅が前年同月比で2.5%増だったのに対して、米はなんと70%も上がっています。NHKによると、上昇幅は1971年以降で最も大きかったという。身近なところでは、ガスト、バーミヤン、デニーズ、すき家、なか卯、いきなり!ステーキ、はま寿司など、外食産業が軒並み、ライスやご飯ものの値上げに踏み切っています。2024年に、第一生命の「サラっと一句!わたしの川柳コンクール」(旧サラリーマン川柳コンクール)の優秀作が発表されましたが、その中にも米の高騰を嘆くものが多数入っています。


ユージ:ちなみに、どんな川柳でしょうか?


神庭さん:読み上げます。「面食らう、米の高値に“麺喰らう”」ラジオ向きのネタじゃありませんが、「面食らう」の面と米が高いから「麺を食べる」ことをかけています。「米不足、やっとみつけて“ひとめぼれ”」。米の銘柄の「ひとめぼれ」を入れ込んでいます。「下がらない、“米の値段”と“血糖値”」これも、あると思います。


吉田:そんな中での、備蓄米放出の新制度。これは、一体どんな内容でしょうか?


神庭さん:これまでは凶作で米の生産量が落ちた時などにしか備蓄米を放出できなかったのですが、「今後は流通に問題が生じた場合にも放出できるようにしましょう」ということです。逆に米が値下がりしすぎると農家が困ってしまうので、1年以内に同じ量を買い戻す条件で、JA全農などの集荷業者に販売することを想定しているそうです。


ユージ:「備蓄米を出して欲しい」という話は去年の米騒動の時から出てましたよね?


神庭さん:そうですよね。要は農水省の見通しが甘かったという話です。去年の「米騒動」では、猛暑や渇水で品質の高い1等米が減ったり、インバウンド需要が急増したりしているところに、「南海トラフ地震臨時情報」で買いだめが広がったことがダメ押しになりました。その時にも、「備蓄米を出せ!」という世論の声はあったのですが、農水省は「いや、9月になれば新米も出回るから大丈夫です」というスタンスでした。確かに秋になって品薄は解消されたのですが、値段の上昇の方は、全然止まりませんでした。原因としては、先高観と言って「米の価格は、この先“まだまだ上がる”」と考える集荷業者や農家が増えた結果、「売り渋り」が起きているのではないか、と指摘されています。そこで、流通の目詰まりを解消して、米の値段を引き下げようというのが今回の制度見直しの狙いです。


ユージ:うまくいきますかね?


神庭さん:口先介入で「備蓄米出すぞ」と言うだけでも、倉庫にため込んでいる業者を牽制する効果は一定程度あるだろう。一方で疑問もあります。去年の段階で、すでに今年分の米の需要を先食いしてしまっています。それを「埋め合わせることができるのか?」1年以内に買い戻すということは、市中に出回る米の総量はいずれ元に戻るわけで、その時にまた高騰する可能性もあります。夏に参院選を控えて、政治的なリスクも無視できない。米農家は強い政治力を持っているし、農協は「集票マシン」とも言われています。実際に価格が下落し始めたら、生産者サイドから「備蓄米放出をやめてよ」という声が強まるかもしれません。そうなると、放出量を絞ったり、時期を遅らせたりといった形で、制度が骨抜きになる可能性もあり得るかなと思います。


ユージ:結局、どうしたらいいのでしょうか?


神庭さん:米の価格が上がっているから備蓄米を出す、というのはどこまでいっても対症療法です。根本となる農政のあり方を考えないと、一時的に収まったとしても、いずれまた米不足や価格高騰が起きてしまいます。政府は、2018年に減反政策を廃止したのですが、米の他に転作した農家に補助金を出すなど、いまだに米の生産調整に繋がる政策を続けています。元農林水産審議官の針原寿朗さんは朝日新聞の記事に《産地にすれば、コメが取れすぎて地元ブランドの価値が下がっては困る。去年は売れずにこれだけ余ったから今年はこれだけ生産を減らしましょう、と行政が農家に伝える。》米の需給をタイトにして、一定の価格を維持するという目的がありますが、そういう状況だとちょっとしたことですぐに米不足に陥ります。米の高騰で消費者の米離れが進めば、さっきの「麺喰らう」の川柳のように、パンや麺に流れて戻ってこなくなります。生産調整という行政の介入に対して、備蓄米の放出という別の介入策をぶつけるのは矛盾があるし、限界があると思います。そもそも、生産調整ってどうなの?それって意味がありますか?という根っこから考え直した方がいいのではないか。と私は思います。


ユージ:備蓄米は、それでも足りているのか?という話もありますし、色々と辻褄を最終的に合わせないといけないというところが結構ポイントになっていきます。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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