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25.01.28

「高校無償化の問題」について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「高校無償化の問題」について

吉田:自民党と公明党、日本維新の会は先週、教育無償化に関する4回目の政策協議を国会内で開きました。維新は前回、今年4月から所得制限のない高校授業料の無償化実施を求めましたが、自民党は今回の協議で「私立も含めた無償化に国民の納得を得られるのか」と回答し、除外を求めました。


ユージ:神庭さん、維新が目指す「教育無償化」というのは、全ての公立・私立ということですか?


神庭さん:はい。究極的にはそういうことだと思います。維新は、幼児教育・高校・大学など、教育の全過程を完全無償化することを目指していて、自民・公明との協議では、次の3点を要求しています。1つ目は「今年4月から所得制限なしで高校授業料を無償化する」、2つ目は「来年から0歳~2歳までの保育料を無償化する」、3つ目が「来年から公立の小・中学校の学校給食費を無償化する」というものを掲げています。なかでも特に注目度が高いのが高校無償化です。


吉田:自民党と公明党は、無償化に反対しているということですか?


神庭さん:慎重姿勢で、4月から高校無償化するとなると予算の組み替えや法改正が必要になります。「タイムスケジュール的に厳しいのでは?」というのが自民側の受け止めです。さらに、「私立も含めて無償化の対象にするのは、どうなんだ」と異論も出ています。元文部科学大臣で自民党の柴山昌彦議員は「余裕の生じた高額所得者の方々が、塾代に使うことも考えられる」と懸念を示しています。国会での高校無償化の議論は、単なる教育問題というよりは、現在の政局、政治の動き全体のなかで捉える必要があるということです。


ユージ:それはどういうことでしょうか?


神庭さん:自公が、昨年の衆院選で過半数割れして、少数与党として苦しい政権運営を強いられています。そんな中でも、なんとか野党の協力を得て予算を通さないといけないわけです。国民民主とは103万円の壁の引き上げを巡って議論していますが、昨年末に与党が123万円のケチケチ回答をして暗礁に乗り上げました。最近、150万円を落としどころとするような報道も出ていますが、178万円を求める国民民主との間にはまだ溝があります。維新は維新で、もともと現役世代の味方というキャラクターでやってきたのに、大躍進の国民民主にすっかりお株を奪われ、衆院選で5議席減らしてしまったわけです。ということは、次の選挙に向けて、維新ここにあり!という存在感を示したい。高校授業料の無償化には6,000億円が必要だと言われています。与党や財務省からしたら、壁を178万円に引き上げて7〜8兆円の減収になるくらいなら、6,000億円で済む教育無償化の方が安上がりという思惑があります。国民民主に対して、そんなにヤイヤイ言うなら、維新と組んじゃうよ?と牽制して野党を分断する効果もあります。与野党双方の思惑があって、にわかに高校授業料無償化の議論が盛り上がっているわけです。


ユージ:なるほど。何か見え方的には「無償化」を使って綱引きしてるようにも見えてしまいますね。そうだとしたら、嫌ですね。


吉田:そんな中、東京や大阪では、既に所得制限なしの無償化が始まっていますよね?


神庭さん:そうです。維新のお膝元の大阪府には、既に高校授業料の無償化制度があります。今年度の高校3年生から段階的に所得制限を撤廃して、2026年度に完全無償化する予定です。維新とは関係ないですが、東京都でも今年度から所得制限なしで高校授業料を実質無償化しています。子育て世帯からすると、教育費の出費は非常に大きいですから、それがカバーされるのはありがたいし、最大のメリットと言えるのかなと思います。


ユージ:そういった無償化の課題やデメリットは、どういうところでしょうか?


神庭さん:副作用として、「公教育」の空洞化が進むことです。どうせ授業料がタダなら…ということで、私立に生徒が流れてしまうわけです。高校授業料無償化に関するダイヤモンド・オンラインの特集記事によると、完全無償化に舵を切った大阪では、2024年度の府立高校入試で、全日制145校中70校が定員割れになりました。中にはナンバースクールと呼ばれる優秀な伝統校も含まれています。東京も同様で、24年度入試では都立トップの日比谷高校で辞退者が多数出て、5年ぶりに2次募集をすることになりました。都立トップ校の受験を欠席する生徒が増えており、開成や早慶附属などの私立に流れた可能性が指摘されています。都立中堅校の場合、私立との間でさらに厳しい競争にさらされています。


吉田:これはどうしたらいいのでしょうか?


神庭さん:これは私の持論ですが、「無償化」という呼び方はやめて「公費負担」とか「税補填」とか実態に則した言い方にすべきだと思います。加えていうなら、大阪や東京のような制度だと私立に有利に働きすぎて公立が地盤沈下してしまいます。例えば、公立は所得制限なしで完全無償、私立は自己負担にしようよと棲み分けにするのも1つの手かなと思います。そのうえで、公立に落ちたら、すぐに私立という事態にならないように1回の試験で複数の公立高の合否を判定してくれるようなシステムにできたらいいなと思います。公立のなかで複数校を併願できるようにするわけです。劇薬みたいな話ですが、私立が有利になりすぎるので、そういったバランスをとる手があります。私立は授業料以外にも色々お金がかかります。家計に一定の余裕があって、その学校の校風に惚れ込んだ家庭が自己負担で通わせればいいのかなと思います。一時の人気取りではなく、子どもたちの将来を考えて、国民の納得できる制度設計をしっかりと議論していただきたいなと思います。


ユージ:そうですね。住んでいるエリアによっても公立・私立に大きな違いがあります。私立で1つ気になるのが、学校によっての金額の違いです。ものすごく授業料が高いところも全て無償化するとなると、考えなければいけないものもあるのかなと思いました。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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