24.12.19
下請けいじめ一掃へ、下請法改正案の内容

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「下請けいじめ一掃へ、下請法改正案の内容」
吉田:公正取引委員会と中小企業庁は17日の有識者会議で、下請法改正に関する報告書をまとめました。法律の「適用逃れ」を防ぐために、対象となる事業者の基準を資本金だけでなく、従業員数も加え、新たに「荷主と運送業者」も対象に含めることなどを盛り込みました。そこで、今朝は、改正される下請法の内容について塚越さんと考えていきます。
ユージ:塚越さん、まず下請法改正の背景について教えてください。
塚越さん:有識者会議でまとめられた報告書では、長年の下請けイジメは「失われた30年」と呼ばれる、日本経済の長期停滞の一因になったと指摘されています。1990年代半ば以降、大手と中小企業の取引で価格転嫁が進まない習慣が定着したのも物価も賃金も伸びない「価格据え置き型経済」が定着しました。そのせいで投資も賃上げもできずに、技術革新が進まないことが、経済の伸び悩みの原因となっていると指摘しています。だからこそ、下請法の改正が必要ということですが、抜本的な改革は、およそ20年ぶりということで、多くの見直しを求めるとのことで、来年の通常国会での可決・成立を目指しています。
吉田:では、下請法の改正案について報告書ではどのような内容になっているのでしょうか?
塚越さん:例えば、取引代金の振込手数料を下請け業者に負担させるのを禁止します。書面上の合意なしに振込手数料を下請けに負担させるのは違法とされていますが、合意があろうがなかろうが違法とします。取引現場では、大企業の方が立場が上なので、これまでは下請けの方がイヤイヤ「振込手数料をうちが負担します」みたいなことを、言っていることがあり、実際に大企業が中小企業に決済する際は、振り込み手数料をあらかじめ引いてから振り込んだということが横行しているということで、ずるいですね。
ユージ:確かに。大きい会社ですからね。振込手数料、ひとつひとつは少なくても、ちり積もになってどんどん負担かかりますからね。
塚越さん:他には、下請法の適応を回避しようする「下請法逃れ」が問題になっているので、従業員の基準を新たに追加します。下請法が適用されるのは、発注する親会社と下請企業の間の「資本金額」で決まります。例えば商品の製造を発注する場合、まずは「親会社の資本金が3億円を超える場合、下請け企業が3億円以下」また、「親会社の資本金が1,000万~3億円以下、下請け企業が1,000万以下」こうした場合に下請法が適用されます。でも、これを逃れようと下請け企業の資本金を増額させようとする親会社が報告されたり、あるいは親会社がわざわざ資本金の少ない会社をつくって、そこと下請け企業が取引することでルール逃れをするケースもあるということです。これは「ずるい」というか、「それはどうなの?」という話ですね。こうした問題を受けて、今回は資本金のルールだけでなく、製造業では従業員300人を超える企業が300人以下の企業に発注する場合にも、法律を適用させようという方向です。当たり前ですが、下請け企業と協議せずに取引価格を一方的に決めるのを禁止する規定も盛り込まれます。また物流問題を巡っても、現在は下請法の取り締まり対象になっていない荷主と運送業者の取引にも下請法を適用できるようにすることも打ち出しています。他にも、約束手形の使用禁止やそもそも「下請け」というこの名称自体もあまり良くないということで見直そうという話も出ています。
吉田:塚越さんは、今回の下請法改正の動き、どう思われていますか?
塚越さん:日本経済は、下請けになることが多い「中小企業」が重要な位置を占めています。なのに、こんなことが頻繁に行われていれば、確かに報告書にあるように経済が停滞するかなと思います。今までは事実上「無料サービス」のような形で行われていたものが、実際は弱い立場の人たちが事実上強制的にさせられていた、ということになりますよね。(物流業界でもよく聞きます)。私たちの気付かないところで、こうしたことが行われていたということでやっぱり、変わらないといけない。もっと言うと、何でもコストカット。安く済ませるコストカット型の経済、デフレマインド。こういう所から、脱却する必要があるので我々どんどん主張しないと社会が変わっていきませんので、労働環境を変えていくためにもこういうことを言わないといけない。そのためにこそ、法律で後押しをしなければいけないです。今回のこういう改正案は、非常に素晴らしいことだと思います。労働環境を変えていって賃上げして価格交渉もできるようになって不当な手数料についてはやめましょう、公正公平な社会にしていきましょうと強く思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 19, 2024
『”下請けいじめ”一掃へ。下請法改正案の内容』
現行の下請法が適用される対象は、発注する親事業者と下請け事業者の間の「資本金額」で決まっていましたが、適用逃れをするケースがあることを受け、今回の改正案には従業員数の基準が新設されました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 19, 2024
小さな建設会社に勤めている僕の友人は、大手ゼネコンや地元の有力な建設会社から割安な金額で仕事を引き受けるそうです。
ただ、友人の勤める会社でも捌ききれない仕事は、”孫請け”という形でさらに下請けに…というような連鎖もあるようです。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 19, 2024
そもそも「下請け」という言葉自体も見直すべきなのではないでしょうか。
親事業者も下請け事業者も、一緒に取引をする仲間でありパートナーであるべきだと思いますし、大小ではなく、一緒のプロジェクトを進める共同作業者という対等な位置付けであるべきだと思います。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 19, 2024
現行法の見直しはもちろん大事ですが、名称の一つを変えるだけでも、意外と見え方や扱い方が大きく変化するかもしれない重要な事だと思ったので、まずは「下請け」に代わる新しい表現を見つけられたら良いと思いました。#ワンモ