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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.09.23

ごみのポイ捨てを禁止する条例について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『東京都、ごみのポイ捨てを禁止する条例を制定へ…その背景と効果は?』

吉田:塚越さん。ごみのポイ捨てに関する東京都の動き、詳しく教えてください。


塚越さん:まず、東京都の小池知事は先週金曜の都議会で、ポイ捨てが問題になっているとして「条例化を含めて検討する」と述べました。東京都は、専門家などで構成する検討部会で議論して、来年の夏ごろまでに方向性を取りまとめる方針です。内容としては、違反者にその場で数千円程度の過料、つまり、罰金のようなペナルティを徴収する案を軸に検討するということで、2028年度の施行を目指します。また、読売新聞の調査では、都道府県レベルでは11の道県が罰則付きの条例を定めていますが、あくまで抑止効果を狙うということで、実際に過料を科した例はなかったそうです。一方で、今回の東京都は、実際に過料を科す仕組みを検討しているほか、訪日客などから得られる宿泊税を巡回や監視要員といった人件費に充てることも視野に入れます。東京都によると、2025年に都内を訪れた外国人観光客は2,865万人と3年連続で過去最多となっており、多いですよね。


ユージ:多いですね~。


塚越さん:一方で、都民を対象にした昨年度の調査では、観光客増加による生活への影響として何がありますか?という問いで、「ごみのポイ捨ての増加」を挙げた人は、複数回答可能なものですが、40.7%ということで、4割の人がそう感じているようです。やはり、新宿や浅草、秋葉原といった観光客の多いところでポイ捨てが大きな課題になっています。他にも都内の区市町村の多くも独自に条例を制定していますが、自治体ごとにルールが違ったり、特に外国人観光客には分かりづらい部分もあるので、今回は東京都としてルール化することで内外にメッセージを発信するということです。


吉田:東京・渋谷区は6月に、ごみのポイ捨てに過料2,000円を科す取り組みを始めました。こちらは実際に効果が表れているんですか?


塚越さん:渋谷区ではコロナ禍が収束した2024年ごろからポイ捨てが増えていて、5つのエリアを調べたところ、2022年の5月と比べて、2025年5月にはごみが7倍になっていたという調査結果が出ています。今年の6月から条例を改正して、実際に過料付きにしたところ、7月末の時点で過料を科したのは508件となりました。2,000円なので単純計算すると100万円ほどになりますが、パトロールに人件費もたくさんかかっており、これも課題ですね。


ユージ:100万円じゃきかないかもしれないですよね…。


塚越さん:また、読売新聞によると、ポイ捨てされたごみはたばこの吸い殻やペットボトルが多いのですが、外国人の違反者は2割程度ということでした。ただ、別の調査ではポイ捨てした人の半数近くが外国人というデータもあって、実際の比率はまだよく分からないところもあります。ただ、いずれにせよ、ごみは訪日客だけの問題ではなく、私たち自身、日本国内でのごみのポイ捨てという問題でもあるのかなと思います。条例には課題もあって、一つは、違反者が現金を持っていないなどと言って、支払いを拒むケースです。渋谷区はキャッシュレスにも対応して、その場で払えない人には納付書を渡して、後日、支払うように求めるのですが、走って逃げられたり、暴言を吐かれることもあるそうで、なかなか難しいですよね。トラブル対応として、区は7月から小型のウェアラブルカメラを導入していますが、それにもお金がかかりますし、他にもたくさんのトラブルがあると思いますので、大変ですよね…。


ユージ:ごみのポイ捨ての現状と、それを禁止する条例をつくること、塚越さんはどうご覧になっていますか?


塚越さん:今回は東京の話ですが、当然ながら全国で、特に全国の観光地ではポイ捨てが課題になっています。観光地のある自治体ごとに、ポイ捨て条例なのかごみ箱の設置なのか。また、ポイ捨て禁止の看板を立てるならどのような言語が必要かなど、それぞれ自治体ごとに対応してほしいと思います。もう一つは、ごみ箱の少なさという課題もありまして、外国人観光客からは、ごみ箱が少なくて困った、という声が多く出ています。ごみ箱は回収の人件費問題もありますが、日本は1995年の地下鉄サリン事件以降、不審物のリスクへの警戒から駅などでごみ箱の撤去が進んだという歴史があるんですよね。ただ今は、技術も発達しており、AIを使うとか、自動でごみを圧縮したり、ごみの量を把握して適切な収集タイミングを教えてくれるスマートごみ箱みたいなのも登場していますし、あとは、実証実験の段階ですが移動式のロボットごみ箱というのもあります。条例というのは最後の手段という感じがしていて、トラブルなどもありますから、できればごみ箱を設置することで、そこにちゃんとごみを捨ててもらうことも重要だと思います。モラルか罰則かということだけではなく、捨てさせないルールをつくるのと、きちんと捨てられるインフラを整えるのも必要ですよね。ごみ箱はAIなどを活用していけば、最終的にはロボットなどで自動的に回収できるかもしれないので、今は人もお金もかかりますが、両立できるようなバランスを取って、みんなで頑張っていきたいなと思います。

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