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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.08.01

パリから始まった“オリンピックAIアジェンダ”
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の城西大学 助教、塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『パリから始まった“オリンピックAIアジェンダ”』

吉田:いまやあらゆる分野でAIが活用されるようになっている中、スポーツも例外ではありません。今回のパリオリンピックでもアスリートのトレーニングやチームスポーツの戦術、競技の判定、そして、競技だけでなく運営や観戦体験にもAIが取り入れられています。


ユージ:塚越さん、今回のパリオリンピックはAIが本格的に活用された大会になっていると伺いました。


塚越さん:そうなんですよね。例えばオーストラリアは、競泳で現在までに金メダル4つ、銀メダル5つ、銅メダル1つを獲得しています。このオーストラリアは、撮影するだけで泳ぎの速度や入水角度などがわかるカメラをプールサイドや水中に設置して選手の情報を収集しているんですよね。選手1人当たり、合計で1000近いデータをAIが読み込んで泳ぎの分析に活用しています。そういうことをトレーニングに取り入れているということで、実際、2021年の東京オリンピックで、女子400メートルメドレーリレーで金メダルを獲得していますが、4人のメンバーを提案したのは、なんとAIでした。なので、人間ではなくAIに分析させることが功を奏したとも言えるということで、すでにAIを使って将来の金メダリストの卵を発掘しようという動きもあるとのことなんですよね。


ユージ:オーストラリアの取り組みもAIの進歩もすごいですね!メダリストのトレーニングにAIが活用されるのが当たり前の時代になっているということですか?


塚越さん:そうなんですよね。一方、採点する側もAIの活用がはじまっています。日本男子が金メダルを獲得した体操競技では、選手の動作や技をAIが判断する採点支援システムが導入されていて、オリンピックの男女全10種目でAIの支援が入るのは初めてということです。昨今は、技が高速化、そして、高難度化しているので人間が公平で正確な評価をするのは非常に難しいということで審判員の負担を減らす狙いもあります。この『AI審判』というのは、人間の主観が入らないという意味では、非常に“公平”かなというふうにも思いますよね。


ユージ:トップ選手の集まりですから、オリンピックで審判をするって相当なプレッシャーがあると思うんですよ。なので、審判の方の負担が減るのはいいことだと思います。


塚越さん:他にも重要なところだと、『選手へのオンラインでの誹謗中傷対策』ということで、IOCは選手へのSNSでの誹謗中傷などを防ぐための監視AIを導入しています。また、選手がオリンピックの規則などで疑問があるときに、すぐに質問できるAIチャットサービスも導入しています。さらに、AIがハイライト映像を自動生成して多言語で放送する技術などもあります。一方でパリでは、交通機関などに設置された監視カメラの映像をAI活用することでセキュリティを高めるということなんですが、プライバシーの問題で反発の声もあったりもしています。いずれにしても、パリオリンピックではAIの利用が注目されています。


吉田:AIがオリンピックの盛り上げに貢献する時代になってきた気がしますけれども、IOCは開催に先駆けて今年の4月に『オリンピックAIアジェンダ』というものを発表していましたね。


塚越さん:そうなんですよ、簡単に言うと、スポーツ界最大のイベントであるオリンピックがAIとの向き合い方を示した指針が『オリンピックAIアジェンダ』なんですね。IOCはAIを使っていく上でいくつかの原則を示していて、“AIを安全に使いましょう”とか、”リスクに関する知識を共有しましょう”とかいろいろあるんですけれども、中でも重要なのが“AIの利点を平等にアクセスできるようにしましょう”という点なんです。どういうことかというと、先ほどのオーストラリアのようにAIの活用は今後も増えていくと思うんですね、そうなると、AIを使える国とそうでない国で選手の格差が広がっていく可能性があるということなんですよね。AIは、例えばデータ収集・分析などには非常にお金がかかるので、現状でも国ごと競技ごとにかけられるお金の差はあります。そうした『格差』が広がっていく可能性があるというのがひとつの課題でもあります。あとはですね、指導者がAIに頼りすぎて「AIがこう示しているんだから!こうなんだ!」となると、人間関係にヒビが入ったりしますよね。なので、AIを利用しつつも最終的には“人間が選んだ”、つまり、人間が責任を負えるようにする必要があるかなと思います。実際、オーストラリアでは、AIが提案してきた練習メニューをコーチが却下したりしています。なので、実際は柔軟な使い方が必要ということですね。審判などにはAIをどんどん導入すべきだと思いますが、やはり最後は“人間がいるんだ”ということで、選手にとっても観客にとってもそういうところを大事にすることが重要かなと思いますね。


ユージ:そうですよね。オリンピックの感動って、選手の努力もあるんですけれども、そこまで築いてきたチームだったり、監督・コーチとの関係性が見え隠れする、努力が実った瞬間が見えるのが感動なわけじゃないですか!


塚越さん:最後にコーチとかとワーッとなってね!


ユージ:そう!ハグしあう瞬間とか全ての物語が伝わってくるので!その魅力はこれからも絶対に必要なので、“AIとの共存”というのが今後、すごい重要なポイントかもしれないですね。


塚越さん:そうですね。どこまで使うのか?あくまでも、補助で使うのか?というのは、この辺の取り組みはアジェンダにもありますけれども、これからさらに進んでいくのかなと思いますよね。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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