26.08.18
川崎市でニシキヘビ2匹が脱走、ペット飼育の注意点

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長、神庭亮介さんです。
神庭さんが注目した話題はこちら
「川崎市でニシキヘビ2匹が脱走、ペット飼育の注意点」
吉田:先週、神奈川県川崎市のマンションで飼育されていた、2匹のニシキヘビが逃げ出しました。毒はありませんが、体長が2メートルあり、噛みつく可能性もあるため、川崎市が注意を呼びかけています。今朝は、ニュースの背景やペットを飼ううえでの心構えなどについて、神庭さんと考えます。
ユージ:まず今回のニュースについて、詳しく教えてください。
神庭さん:川崎市の発表や複数の報道によると、8月13日午前5時ごろ、川崎市多摩区のマンションに住む会社員の男性から「ヘビが脱走した」と110番通報がありました。逃げ出したのは2匹のニシキヘビ。「アルバーティスパイソン」と呼ばれる種類で、体長2メートル程度、500mlのペットボトル程度の太さがあります。色は黒いですが、光の当たり方によっては金属のような光沢が見られるそうです。男性が最後にヘビの姿を確認したのは前日の午後9時ごろ。翌13日の午前2時ごろに脱走に気づきました。ヘビがいたはずのケージと部屋の網戸が開いていたということです。
吉田:毒はないということですが、危険ではありますよね。
神庭さん:毒はないので、その点は安心してほしいと思います。ただし、非常に力が強いです。警戒心も強く、驚いたり身の危険を感じたりすると、防御のために噛みつくことがあるそうです。
ユージ:普通に見慣れないですし、大きいので怖いですよ。毒はないって言われてもね……。見つけたらどうしたらいいのでしょうか。警察に通報ですか?
神庭さん:もし発見したらすぐに警察に通報してほしいですが、川崎市としてはアルバーティスパイソンを見つけても、「近づかない」「触らない」「捕まえようとしない」「刺激したり追いかけたりしない」ように注意を呼びかけています。お近くにお住まいの方は、もし発見したらすぐに警察に通報するようにしてください。
吉田:そもそも、そんなに大きなヘビは、ペットとして飼っていいんですか?
神庭さん:アルバーティスパイソンを飼育すること自体、法的には問題ありません。動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)は、人に危害を加えるおそれのある危険な動物とその交雑種、いわゆる「特定動物」について飼育を原則禁止しています。動物園での展示など、法令で定められた目的で許可を得た場合は例外的に認められますが、2020年6月以降、新たにペットとして飼うことはできなくなりました。じゃあ飼育禁止の特定動物って具体的に何なのか。環境省のサイトで一覧が公開されているので見てみると、アミメニシキヘビ、インドニシキヘビ、アフリカニシキヘビ、アメジストニシキヘビはリストに入っていますが、今回のアルバーティスパイソンの名前はありません。ですから、アルバーティスパイソンを飼うことはOKです。
ユージ:飼うことは問題ないってことですけれど、飼ううえで注意すべきことは何でしょうか?
神庭さん:アルバーティスパイソンをはじめ多くの種類の爬虫類を扱う、横浜市のペットショップのオーナーはNHKの取材にこう答えています。「ヘビは“脱走名人”です。家庭で飼育する場合は、ケージのロックを二重にするなどしてほしい。万が一、ケージから出ても屋外に逃げられないような対策が必要です」というふうにおっしゃっているので、そのあたりはぜひ気をつけていただきたいと思います。もちろん、大多数の爬虫類愛好家の方々は、そういったことも含めて注意しながら飼育していると思います。知人が「ヒョウモントカゲモドキ」というヤモリの仲間を飼っていて、写真を見せてもらったらとてもかわいかったですよ。
ユージ:かわいいですね。手のひらに乗っていてね。結構体がひんやりしたりとかしていてね。
神庭さん:ヒョウモントカゲモドキは新垣結衣さんも飼っていたということで有名なんです。ペットを愛する思いに貴賤はないと思うんですよ。犬猫であっても、ヘビでもヤモリでも愛情に変わりはないと思います。ただ世間では爬虫類と聞くと、それだけで「怖い」「気持ち悪い」と感じる人も少なくないので、こういう脱走劇みたいなことがあると、真っ当な愛好家の方々、ちゃんと管理している方々まで風当たりが強くなってしまうのは、少し気の毒だなと思います。
ユージ:確かにそういう面はあるかもしれないですね。
神庭さん:爬虫類のペットは室温の管理が大変だったり、診察できる動物病院が少なかったり、いろいろと苦労も多いらしいです。先ほど話した私の知人も、「飼うからには責任を持って飼ってほしい」と言っていましたが、本当にその通りだと思います。法的に飼えるということと、その人がきちんと飼育できる能力があるということは必ずしもイコールではありません。飼えるから飼おう、ではなくて「万が一、逃げてしまった場合にどうなるか?」まで想像したうえで、覚悟を持って飼う必要があると思います。今回であれば、警察や消防が40人がかりで捜索する事態になっています。もちろん飼い主さんもわざとではありませんから、過剰なバッシングというのは御法度ですけれども、最悪の場合には周囲に迷惑をかけてしまうリスクはゼロではないことを頭の片隅に置いておいてほしいと思います。
吉田:今回の脱走劇、神庭さんはどう見ましたか?
神庭さん:「動物が逃げたぞ」というニュースはわかりやすいのと絵になるのとで、テレビが取り上げたがります。今に始まった話ではなく、戦前の1936年には上野動物園からクロヒョウが脱走して大騒ぎになりました。江戸時代まで遡ると、徳川家康から拝領した虎が盛岡城から脱走した、という伝承も残されています。もうこんな話何百年やっているのという話なんですけれども、人間は「あの話聞いた?」「怖いね」と言い合いたい生き物なのかもしれないですね。
ユージ:本当ですね。いずれにしても今回のヘビに関しては、好きな人は好き、でも苦手な人もたくさんいるということで、自分で飼う分にはいいですけど、人に迷惑をかけてしまうようなことがないように、徹底的な管理をしたうえで、飼ってほしいなと思いました。