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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.08.19

ロールモデルを見つけにくい時代の“働き方”を考える

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『ロールモデルを見つけにくい時代の“働き方”を考える』

吉田:パーソルキャリアが運営する調査機関「Job総研」が20代~50代の469人を対象に実施した調査で、ロールモデルを「見つけにくい」と答えた人は79.6%でした。男女別で見ると、男性が81.1%、女性が77.5%。男性の方がロールモデルを「見つけにくい」と感じていることが分かりました。塚越さん、この調査結果を詳しく教えてください。


塚越さん:この調査はキャリアや仕事の悩みについて聞いているのですが、その中で「ロールモデルは欲しいですか?」という問いには、「欲しい」という回答が73.5%ありました。一方で、「ロールモデルは見つけにくいですか?」という問いには、およそ8割が「見つけにくい」と回答していて、つまり、「ロールモデルが欲しいけど見つけられない」ということなんですよね。このロールモデルの見つけにくさという課題は、もともとは女性のものとして語られることが多かったんですね。というのも、女性は相対的に管理職や役員が少ないという組織の課題や出産や育児でキャリアが分断されやすいという社会の課題がありました。なので、働く女性が参考になるロールモデルが見つけにくかったわけです。ただ先ほどの話にもあったように、ロールモデルが「欲しい」という人も「見つけにくい」という人も女性より男性の方が多かったことが分かったんですよね。調査したJob総研の分析では、キャリアの不確実性や多様性が男女や年齢に関係なく広がっていることが背景にあるのではないかと指摘しています。例えば、昭和であれば、特に男性は「この会社にずっと所属して出世する!」といった人が多かったわけですが、今は転職も当たり前ですし、育児と仕事の両立など、多様な選択肢の中で考えるようになっています。そうなると当然ですが、上の世代をモデルにすることは簡単にはできないわけです。私はこのニュースを見ていて、20年ほど前にあったカード会社のCMで、オダギリジョーさんがいろいろなカードを出して「どうする、俺?」みたいなシーンを思い出しました。あんな感じで皆さんも選択に迷っている状態なのではないかと思いました。キャリアの選択に迷っている状態なので、だからこそ、ロールモデルが欲しいと思っていて、「どれが正解なんだ??」ということだと思います。また、40~50代男性も「ロールモデルが欲しい」という回答が、同年代の女性より10ポイントも高いのですが、これも求められる上司像が変わる中で理想の上司について悩んでいるという上司の苦しみも見えたかなと思いました。


吉田:職場で悩みを抱えていても相談相手が見つからないケースも増えているようですね?


塚越さん:そうなんですよね。この調査では「現在、キャリアや仕事で悩みはありますか?」とも聞いているのですが、8割以上が「あります」と答えています。中でも、「キャリアの相談相手」を聞くと、「いない」と「探しているが見つからない」が合わせて6割ありました。また、相談相手が「いない」と答えた人にその理由を聞くと、一番多かったのが「本音を話しにくい」、次いで「真剣に話せる人がいない」という結果になっています。これも原因は先ほどと同じように、いろいろな価値観が広がっているので、同じ職場でも育児や介護、場合によっては人知れず闘病している方もいるかもしれませんし、いろいろな考え方もあるかもしれない、だから、相談しても受け止め方によっては「それ、悩んだふりしたマウントじゃない?」と、特に育児などではそういうことが起きてしまう可能性があると考えてしまうと、心理的にもなかなか悩みを話せなくなってしまいますよね。一方でJob総研の担当者は、本音が話せないままだと社員のやる気を引き出すようなキャリア設計は難しいと述べています。その上で企業にとっては、仕事の成績だけでなく、例えば、男性で育休を取得した社員や育児と仕事を両立した社員などを積極的に見える化して、多様なキャリアのあり方を見せていくことが重要だと指摘しています。あと、上司は部下の言葉を否定せずに認めて、そこから一緒に考えることも重要だとおっしゃっています。個人的には、そういった上司がいればうれしいですが、その上司の負担も大変だなとも思います。マネジメントの上手な上司を成績以外で評価するシステムも重要だと思いますよね。


ユージ:働く手本である「ロールモデル」を見つけにくくなっている現状、塚越さんは、どうご覧になっていますか?


塚越さん:なかなか参考になる人がいないという方が多いと思うんですけど、その上で、最近は、一人の人をロールモデルにするのではなく、パッチワークのように、状況に応じて、この場合だったらこの人だなというように、ロールモデルをたくさん作るという人も少なからずいることがこの調査で分かりました。Job総研の担当者も、ロールモデルが一人だと比べすぎてへこむこともあるので、自分の目標をいろいろ設定していくことが必要になるとおっしゃっていました。私は、それも分かるという一方で、ロールモデルが多すぎると「参考のいいとこ取り」になってしまう可能性もありますし、職場にロールモデルがいないとなると、SNSなどでキラキラした成功している人をキラキラロールモデルとして見てしまうと、無理なんだけど…ってなってしまって、別のへこみが出てしまうと思います。


ユージ:追いつこうとして、飾り付けだけ一生懸命になっちゃって、中身が磨けてない感じがしちゃうんですよね。


塚越さん:そうなんですよ。特に若い人もそうですが、ロールモデルを考えるときには、全部を目指さないというか、複数のロールモデルがあっても、「これはこれくらいまでやりましょう」という感じで、一歩一歩、着実にやっていくことも重要かなと思いますね。


ユージ:僕のロールモデルはブラッド・ピットです!(笑)

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