26.08.21
NBA、レイカーズのオーナーが、およそ2兆円で支配権売却へ。その背景からみる、現代のスポーツビジネスの構造とは?

金曜日の「トレンドネット」は、「スポーツ」をキーワードにお届けします。
きょうのテーマは、こちら!
「NBA、レイカーズのオーナーが、およそ2兆円で支配権売却へ。その背景からみる、現代のスポーツビジネスの構造とは?」
吉田:世界最高峰のバスケットボールリーグ「NBA」において、名門チームとして知られている「ロサンゼルス・レイカーズ」。昨シーズンまで八村塁選手が活躍していたチームでもおなじみです。そのレイカーズを巡って、スポーツ界を揺るがす大型案件が飛び込んできました。日本時間の8月13日、アメリカ・メジャーリーグ「ロサンゼルス・ドジャース」の会長兼コントローリングオーナーでもあるマーク・ウォルターさんが、自身が保有するレイカーズの支配権を、投資家ジョシュア・クシュナーさんと元ウォルト・ディズニーCEOのボブ・アイガーさんのグループへ売却することで合意したとアメリカの主要メディアが一斉に報じました。レイカーズの評価額は125億ドル、日本円で、およそ2兆円。取引されたプロスポーツチームの評価額として史上最高額を更新しました。
ユージ:今回の、スポーツビジネスにおける大きな出来事について、九州産業大学人間科学部スポーツ健康科学科教授の上野直彦さんに伺いました!まずは、およそ2兆円という巨額な株式取引が行われたレイカーズ。チームにとって、いまの局面はどんな状況といえるのでしょうか?
上野さん:一言で言えばですね、株価は史上最高値でも経営面は非常に乱気流という二面性があるかなというふうに思っています。1年前に、10ヶ月余りだったと思うんですけど、当時の日本円でおよそ1.6兆円だった球団の評価が、およそ2兆円になったわけです。つまり25%も上がったわけで、資産としてのレイカーズはまず絶好調、というところです。こうなった背景として、NBAは2024年に結んだ巨大な放映権契約があって、11年で11兆円っていわれてるんですね。で、もう1つ、ロサンゼルスというのは世界でも本当に数少ないスポーツの有数の市場であるということです。あとこれ日本人にはわかりにくいんですけど、NBAの球団は世界に30個しかない。この希少性で年々価値が上がっているということがあります。この辺りがいろんなインフレ、値上がりを生んだ構造になってるかなと思います。
ユージ:そんななか、資産としての評価が絶好調なレイカーズをめぐっておよそ2兆円の取引が成立したわけですが、気になるのは、売り手と買い手、それぞれの思惑です。
上野さん:まずは売り手のウォルター氏、いくつか理由が考えられるんですけど、1つめは10か月ちょっとの保有で4000億円の値上がりが確定できたというメリット。2つめは保険事業を巡る連邦当局の調査が入ってること。ウォルターさんは実はバスケだけじゃなく、イギリスのプレミアリーグ・チェルシーの持ち株も持っていて、これについても売却を検討しているというアメリカメディアの報道があります。それの現金資産化というので色々奔走しているという。そして、ウォルターさん側のプラスの面で言うと、彼はやっぱりドジャース・野球が好きなんですね。なのでプライオリティはあくまで野球の経営なので、日本のファンに安心してほしいのは「ドジャースの経営は今後も続いていくのではないか」というふうに言われていることです。
ユージ:一方、今回の取引の買い手側である投資家ジョシュア・クシュナーさんと元ウォルト・ディズニーCEOのボブ・アイガーさん、2人の思惑は…?
上野さん:アイガーさんという方はIPコンテンツ・ディズニーファンで私もディズニーファンの1人なんですけどとっても有名な経営者でして、ディズニーを一気にV字回復させた方。アイガーさんがディズニーCEO時代何をしたかというと、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズのルーカスフィルムを次々に買収したIP買収の名手・名経営者なんです。で、彼が最後に選んだのが、「スポーツ」ということなんです。これ何故かというと、いろいろアメリカの記事も読んでるんですけど、「生でしか価値が出せないコンテンツ」、これはもういま地球上では音楽の「ライブ」に行くか「スポーツ」か、どちらかだけなんです。この間のワールドカップもそうですけど。そこで相棒のクシュナーさんと一緒に「テック×メディア×スポーツ」の掛け算、これは将来大きな資本になるということで、ある意味2兆円は安いと踏んだ買い物ではないかと思われています。
ユージ:生でこそ価値があるとされるスポーツ。将来的に、今よりも大きな価値になると信じる投資家も多いんですね。
吉田:どんどん巨大化する、アメリカのスポーツビジネス。上野さんは、「日本のスポーツ界にも、いつかその波が来るかもしれない」と期待します。
上野さん:日本では、プロ野球はオーナー会議の承認が必要なんですね。JリーグやBリーグの経営権売買は増えているんですけど、大体は数十億円規模。日本はまだ親会社の広告塔から投資対象への移行期間にあると言えます。ちょっと面白いのが、私の友人なんかでもNBAのオーナーになりたいって言うんですね。だからこういう人が増えてくるといずれNBAのチームのオーナーが日本人で、そこにBリーグから来た選手が活躍するなんていう夢のような構図が完全にないとは言えない。そんな日本がやってくるんではないかなとみております。
ユージ:アメリカの取引の金額を聞けば、日本のスポーツビジネスはまだまだ成長できる余裕があるんじゃないかなとポジティブな捉え方ができますよね。今回のレイカーズのような話が、いつか日本でも耳にする日が来るかもしれません…!