第三百三十八話 おだやかに戦う -【京都篇】物理学者 朝永振一郎-

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yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

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第三百三十八話おだやかに戦う

京都で幼少期を過ごし、京都大学に学んだ、物理学者のレジェンドがいます。
朝永振一郎(ともなが・しんいちろう)。
1965年、くりこみ理論による「量子電磁力学の発展への寄与」により、ノーベル賞を受賞。
湯川秀樹に次いで、日本で2人目のノーベル物理学賞受賞者になりました。
それまで7回も候補になった末の栄誉がよほど嬉しかったのか、受賞の知らせを受けて、叔父と朝から祝い酒。
酔って風呂場で転倒、肋骨を折って、授賞式を欠席しました。
朝永は、こうつぶやいたといいます。
「ノーベル賞をもらうのは、骨が折れる」
あまり式には出たくなかったので、「これが本当の怪我の功名だ」とうそぶいたそうです。
朝永の運命を変えた出来事のひとつに、中学生のときのアインシュタインの来日があります。
日本人のあまりの熱狂ぶりに驚きました。
「アインシュタインって、そんなにすごいひとなんだ…。よっぽど、世の中のためになる発見をしたんだな。物理学って、とんでもない学問なのかもしれない」
もともと自然科学に関心を寄せていた少年の背中を押したのです。
朝永は、生まれながらに病弱。
多くの持病に悩まされ、それは成人してからも続きました。
おそらく、自分はフツウの仕事にはつけないだろう…。
そんな思いから、ひとりで、そして自分のペースでできる研究者を、職業の選択肢のひとつに加えたのです。
朝永の印象を尋ねると、多くのひとがこう語りました。
「おだやかで、静かなひとです。怒ったところを見たことがありません」
子どもたちにも、科学の素晴らしさについて優しく話しました。
「ふしぎだと思うこと、これが科学の芽です。よく観察してたしかめ、そして考えること、これが科学の茎です。そうして最後に、なぞがとける、これが科学の花です」
物理の世界に大輪の花を咲かせたレジェンド・朝永振一郎が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

ノーベル物理学を受賞した朝永振一郎は、1906年3月31日、東京・小石川に生まれた。
哲学者だった父の、京都帝国大学の教授就任にともない、一家で京都に移り住む。
振一郎は、生まれた時から体が弱く、よく熱を出した。
母は心配してくれたが、父は、あまり関心がないように淡々とやり過ごす。
それが少し不満だった。
父は、いつも本を読んでいた。長椅子で、寝床で、トイレでも。
子どもたちが決して入ってはいけない場所、それは父の書斎。
しかし、振一郎は、留守を見計らって忍び込む。
目当ては、百科事典。
描かれている挿絵に、うっとりした。
花、虫、動物や世界の国旗、乗り物や機械が、色鮮やかにページを彩っていた。
机の上のガラス製の文鎮に、窓から光が射す。
美しさと背徳感が共存していた。
ときどき、しおりの位置がわからなくなり、適当にはさんだ。
父が亡くなったあと、担任だった先生がこんな話をしてくれた。
「朝永君、ひとりで大きくなったなんて思っちゃだめですよ。お父さんはね、あなたが病弱なことをそれはそれは心配してね、お医者さんと担任の私と3人でよく話し合ったものです。どんなふうに朝永君の生活を改善していけば、体が丈夫になるか。毎日、私に連絡をよこしたんです。振一郎は今日は元気でしたか、ってねえ」
父は、淡々と暮らしながら、誰よりも自分を心配してくれていた。
それがわかったとき、朝永は泣いた。
おそらく、書斎に忍び込んだことも、お見通しだったに違いない。

物理学者・朝永振一郎は、小学3年生のとき、自然科学に興味を持つ。
雨戸の節穴から差し込む光によって、庭の景色がさかさまになって障子に映る。
なぜだろう…。
拾った虫眼鏡で、光が集まるのを知る。
どうしてだろう。
中学生のときは、理科の実験が大好きになった。
酸素の中で針金を燃やしたときの美しさ。
線香花火のようだった。
顕微鏡の倍率をあげるため、ガラスを溶かして実験。
見事、200倍のレンズを作った。
一方で、体が弱く、運動は全てダメだった。
運動会の前の晩は、「どうか、明日、雨になりますように」と必死で祈る。
「こんなボクは、どんなふうに生きていけばいいんだろう」
ただひとつだけ、決めていた。
「ボクは、世界のしくみを知りたい、一生学びたい。父のように」

朝永振一郎は、物理学を学ぶため、意気揚々と京都帝国大学に入学した。
でも、そんな彼を待っていたのは、絶望だった。
四六時中、健康がすぐれない。
度重なる原因不明の微熱。
眠れない。胃弱、ノイローゼ、神経痛。
満身創痍でベッドをのたうちまわる。
体を引きずるようにして受ける講義は、期待したものとは大きく違い、どこか物足りない。
ただ、数学演習の岡潔(おか・きよし)先生の講義は素晴らしかった。
何より、研究に命を賭けている先生には、嘘がなかった。
そして、ふと思い出すのは、父の姿だった。
父は、いつも本を音読していた。
必死に、粘り強く。
そうか、父は、おだやかに戦っていたんだ。
そのことに気づいたとき、自分の立ち位置が定まった。
研究とは、激しさや劇的なものではない。
日々、淡々と己の限界に近づくこと。
おだやかさは、必ず結果を連れてくる。
朝永振一郎は、父を知ることで、世界のしくみにたどり着いた。

【ON AIR LIST】
SPEED OF SOUND / COLDPLAY
TORCHES / Aimer
SEND ONE YOUR LOVE / Stevie Wonder

★今回の撮影は、筑波大学 朝永振一郎名誉教授記念室様にご協力いただきました。ありがとうございました。
現在、朝永記念室を含む筑波大学ギャラリーは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため臨時休館となっています。
開館日程など、詳しくは公式HPにてご確認ください。

筑波大学ギャラリー 公式HP
https://www.tsukuba.ac.jp/about/campus-gallery/

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今週のレシピ

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霜降りひらたけとパルメザンのリゾット

今回は、寒い時期に食べたくなる、こちらの料理をご紹介します。

霜降りひらたけとパルメザンのリゾット
カロリー
376kcal (1人分)
調理時間
20分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • だし汁
    (顆粒だしを溶いたもの)
  • 200ml
  • 玉ねぎ(みじん切り)
  • 40g
  • バター
  • 40g
  • ごはん
  • 200g
  • パルメザンチーズ
  • 20g
  • かいわれ大根
  • 少々
  • 柚子の皮
  • 少々
  • 塩、E.V.オリーブオイル
  • 各適量
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは1本ずつにほぐす。傘を一部取り、残りは7~8mmに切ったらだし汁でさっとゆで、傘は盛りつけ用に取り置く。かいわれ大根は1cm幅に、柚子の皮は千切りにする。
  • 2.
  • 鍋にバターを熱して玉ねぎを炒め、透き通ってきたらごはん、(1)の傘以外の霜降りひらたけとだし汁を入れて煮る。水分がなくなったらパルメザンチーズを加え混ぜ、塩で味をととのえる。
  • 3.
  • 皿に(2)を盛り、(1)の霜降りひらたけの傘を飾り、かいわれ大根、ゆずの皮を散らす。仕上げにE.V.オリーブオイルを垂らす。

RECIPE LIST

yesとは?開閉

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った 命の闘いを知る事で、週末のひとときを プレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30
FM OH!…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00
FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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