2016/01/15 O.A

新しい年が明けると、“またひとつ年をとるな〜”と、感慨にふけったりしますよね。私も今まさに、そんな気分です。
きたる1月19日、今度の日曜日は私、松任谷由実の誕生日。
こうしてすこやかに迎えられることが何よりの喜びです!
そこで、今日のコードは、お誕生日に欠かせないもの・・・「ケーキ」です。

■今週のChordは“ケーキ”

Sweet,Soft N' Lazy / Viktor Lazlo

お誕生日といえば、ケーキでお祝い・・・というのが定番のスタイルですが、バースデーケーキの歴史をひもとくと、古代ギリシア時代にまでさかのぼるといわれています。
古代の人々は、まわりに小さな灯明をともした丸く平らなケーキを作って、月と狩猟の女神・アルテミスの誕生日に捧げました。
それがバースデーケーキの始まりだそうです。
誕生日のケーキ、荒井家でも定番のケーキがありましたね。
今から30年ほど前までは、ケーキといえば「バタークリームのケーキ」が主流でした。
その後、流通事情が良くなり、鮮度が保てるようになったため、生クリームのケーキが主流となっていきます。
ここのところ毎年、番組スタッフと一緒にいただいているバースデーケーキは、ホテル・オークラのテイクアウトコーナー、“シェフズガーデン カメリア”の「レモンパイ」。
公式サイトを見ると・・・
「半世紀、なにひとつ変わらないままでいるおいしさです。
たくさんの人にとって、まだケーキがそんなに身近じゃない存在だったころ。
シンプルな素材で“できうる限り贅沢な味”を追求した、創業当時の職人たちのケーキへの憧れと夢がつまっている一品です」とあります。
毎年食べるレモンパイ。変わらない味と私、でも、確実に変わってきたところもある私。
誕生日は美味しいケーキを食べながら、来し方行く末をふりかえる機会になりますね。

Birthday Song / Carole King

古代、神々へのお供え物や宗教儀式、お祝いやお祭りの主役として作られていたケーキ。
食物史の専門家ニコラ・ハンブルの著書『ケーキの歴史物語』によれば、現代と同じスタイルのケーキが登場するのはおよそ17世紀頃のこと。
小麦粉、バター、砂糖など、贅沢な材料を使って平たく、丸い形にしたものが「ケーキ」と呼ばれるようになってヨーロッパを中心に世界中へ広まっていきます。
今にいたるまでレシピが残った有名なケーキたちには、歴史上の人物にまつわる伝説やさまざまな逸話に彩られていますよね。
“会議は踊る、されど進まず”・・・でおなじみの「ウィーン会議」で出されたと言われているのが、どっしりとした味わいの「ザッハトルテ」。オーストリアの政治家、メッテルニヒが会議のために作ったという説があります。
オーストリアのハプスブルグ家の王女に生まれ、のちのルイ16世となる、フランス・ブルボン王朝の王子・オーギュストに嫁いだマリー・アントワネット。彼女は無類の甘いもの好きで、ベルサイユ宮殿でたくさんのケーキが作られた。
クグロフやストロベリーショートケーキなどが彼女の好物だったそうです。
アメリカやイギリスでは、ホームベーキング、つまりは「我が家のケーキ」が主流。対するフランスは、ケーキはパティシエにお任せ、プロが作るもの。
私もフランス式!もっぱらお気に入りのお店へ通います。
名店といわれるひとつ、地元・世田谷「オーボンヴュータン」。
日本のフランス菓子の第一人者、河田勝彦さんが、現在はフランス修行から帰ってきた息子さんたちとともに、お店を営んでいます。
“ただうまいもんつくってやろう、って気持ちだけ”で作っていると豪語する、カリスマシェフ河田さんですが、お店はクラシックな構えで、美しいケーキが並んでいます。
それを“フランス菓子の博物館”と呼ぶ人もいるとか。
ちなみに、お店の名前を日本語に訳すと「思い出のとき」だそうです。
こちらもカリスマ健在!弓田亨さんの店「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」。
代々木上原から、現在は代官山にお店を移されています。
“誰もが触れたことのない孤高のおいしさを作り続けます”と宣言する弓田さん。
お店の名前は「セーヌに雨は降る」・・・これは、初めてのフランス研修の際、“行かないで!”とあばれていた当時2歳のお子さんを偲んで眺めた風景・・・、小雨にけむるセーヌ河岸の様子を思いを織り交ぜてつけた名前だとか。
“精神性あふれるお菓子”を作り続けるため、自戒をこめてつけたんだそうです。
自由が丘の「モンブラン」も好きなお店のひとつ。
初代の店主がフランス・シャモニーを旅した際、モンブランという名前のお菓子に出会い、日本初のモンブランを考案しました。
本場・フランスでは茶褐色の栗ペーストでしたが、栗をきんとんのようにくちなしで黄色く染めて出したのも、このお店のアイディアです。
学芸大学の「マッターホーン」は、なんといっても“ダミエ”!
1952年の創業当時から人気の一品で、メレンゲを加えたバタークリームが、薄いイエローとブラウンのスポンジケーキが市松模様の間にはさんであって、まわりはチョコでコーティングされています。見た目も素敵。
“時を経てかわる「おいしい」という感覚にあわせて、お客様に気づかれない程度に少しずつ進化をとげてきた”という三代目・金子亮一さんの言葉、納得!
先人たち、職人さんたちのケーキに賭ける情熱に改めて感動・・・。
私も人を幸せにするよきものを作っていきたいと思います!

誕生日おめでとう / 松任谷 由実

人前に立つ仕事をしている手前、クリームたっぷりのケーキは我慢しなくちゃ・・・ってこともある私。
最近は食生活にもいろいろ気を使うようになって、我が家でよく食べているケーキは実をいうとキャロットケーキ。
ケーキは「お祝いごと」のたびに、食べるもの。
バースデーケーキ、ウェディングケーキ、これからだったらひな祭りのケーキ・・・嬉しい事があった日は、ケーキを食べてよろこびを分かち合いたくなりますよね。ケーキは幸せな思い出とともにあるもの・・・。
今年もたくさん、ケーキを食べられる一年でありますように!
と、言いつつ、この番組の打ち合わせはいつも、おやつを食べながら・・・というのが定番のスタイル。スタッフみんなでケーキを食べることもあります。
週に1度のこのひとときは、トーク前のウォーミングアップでもあり、頭のリフレッシュ。
とくに今は、黙々と創作活動中の期間だったりするので、必要不可欠な時間です。
小さいけれど確かな幸せ、大切なお茶の時間。忙しい日々をのりきるために、あなたもぜひ。