2022/10/21 O.A

『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』出版記念!
今日のコードは「作家・山内マリコさん、ユーミンをさらに取材する!」です。

■今週のChordは“作家・山内マリコさん、ユーミンをさらに取材する!”

今日は、『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』出版記念!「作家・山内マリコさん、ユーミンをさらに取材する!」というコードで、ゲストにこの方をお迎えしました。

山内:はじめまして。小説家の山内マリコです。よろしくお願いします。

ユーミン:山内さんは、1980年生まれ、富山県出身。2008年、「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞したのち、2012年に初の単行本『ここは退屈迎えに来て』で本格的に小説家デビューされました。
近年の著作には、2021年に映画化されて話題にもなった『あのこは貴族』、『一心同体だった』などがあるわけですが・・・いよいよ来週、『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』が発売となります!
自分で言うのは何だけど、自分で自分のモデル小説を読んで、超面白かったです(笑)。

山内:面白いですよね(笑)。私も何度も何度も原稿を読み直して、“面白いな”って思って(笑)。

ユーミン:山内さんにとって初のノンフィクションノベルであるわけなんですけど、今回、私を取材して書くことになった経緯を教えていただけますか?

山内:はい。去年の2月頃に、マガジンハウスの編集者さんから電話が来て、「“2022年のユーミンの50周年に合わせて、(ユーミンを)小説化した本を作らないか”という話が進んでいるんですが、山内さん、書いてみませんか?」「ユーミンはすでに山内さんの本を読まれていて、“この人にぜひ!”とおっしゃっているんです」という内容だったんです。「ユーミンが私の本を読んでくれている!?」ということにびっくりして、二つ返事でお受けしました。

ユーミン:私がうかがったところ、ちょうどそういう、70年代のミュージシャンたちのことを書こうとされていたとか?

山内:そうなんです。ずっとシティ・ポップが再評価されている流れがあって、ちょっと音楽に興味もあったので。
音楽って意外と小説になりづらいジャンルで、“シティ・ポップ的なものをいつか書けたらな”ぐらいの感じで、ちょっとずつ資料を集めていたんです。そうしたら「ユーミンを書きませんか?」という話が来たので、それまでのことは全部ぶっ飛んで(笑)。

ユーミン:“ぶっ飛んで”でもあるし、決して遠くはないし。

山内:そうです。それで、「じゃあ、ここで全力投球しよう」という感じで。

ユーミン:山内さんの小説はとにかく映像的で、映像作品になっているものがほとんどなんだけれども、どれを読んでも、まさにそうでした。
そして、『小説ユーミン』では、女性同士の友情も核になっていると。

山内:そうです。私はもともと女性同士の友情・・・最近はよく“シスターフッド”という言葉で言われますが、それを書いてきて、この小説の中でも、もちろんユーミンと立教のお友達の話もいっぱい出てくるんですけど、一番私が“これはシスターフッドだ”と思ったのは、ユーミンとお手伝いのヒデちゃんの関係なんです。「血縁ではないけれどものすごく深い絆を結ぶ」という意味では、ユーミンとヒデちゃんがすごくシスターフッド。切り口は色々あったと思うんですけど、私はそれをメインに捉えて書きました。

ユーミン:今回は実在の人物を題材にした作品なわけですけど、特別に意識したことはありますか?

山内:ユーミンの才能って、場所とタイミングがすごく重要だなと思ったんです。八王子に、高度経済成長期ど真ん中を生きる形で生まれて・・・戦後の日本の“復興期”というか、一番良かった時代。そして八王子という、もともと絹で栄えた街に、呉服屋さんの、お金持ちの家のお嬢さんとして生まれる。そこにいろんな文化的な背景があるので、そこら辺をしっかり、歴史の中で捉えて描く、ということを大事にしました。だから、いちいち深く遡って描いています。“歴史として描く”みたいな感じで。


返事はいらない / 荒井 由実

ユーミン:お送りしているのは、『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』を執筆してくださった小説家の山内マリコさんが選んだ、私のデビューシングル、「返事はいらない」。正確に言うと、デビューシングルで作った曲をのちに『ひこうき雲』というアルバムに収録するわけですが・・・この曲をアルバム『ひこうき雲』収録用にキャラメル・ママとセッションレコーディングするシーンが、小説にも描かれていますよね。

山内:はい、出てきます。けっこう読みどころだと思います。

ユーミン:今回のこの小説は、“荒井由実の個人史”だけではなくて、私が生きた時代の空気感や華やかな東京カルチャーも生き生きと描かれていて、それも楽しめます。取材を受けながら、私も記憶のボタンをクリックをしまくって、次々と扉が開いていった、という感じでした。
私本人以外で、直接会って印象に残った人物はいますか?

山内:たくさん取材はしているんですけど、実は、(人物への取材は)編集者の方がお話を聞いてくださっているんですね。というのも、あんまり直接会ってしまうと、“忖度”というか、ブレちゃうので。なので、ほとんど直接は会っていないんです。
唯一お会いしたのは、ザ・フィンガーズの高橋信之さん。ノブさんにお会いして、フィンガーズのことを詳しくうかがったんです。ちょうどこの時、グループサウンズのことをめちゃくちゃ調べていたので、ノブさんと私で思い出話でめちゃくちゃ盛り上がって(笑)。

ユーミン:高橋信之さんは、(高橋)幸宏さんのお兄さんなんだけど、私がグループサウンズの追っかけで出会った、ザ・フィンガーズという・・・超〜おぼっちゃんバンド、ブルジョワの集まりのリーダーだった人ですけれども(笑)。
だから、そのあたりの環境とかをすごくよく調べられていて。

山内:私はちょうど、『あのこは貴族』という、映画にもなった作品を書く中で、ちょっと東京の“そういう階級”のことも調べていて把握できていたので、そういう意味では、ザ・フィンガーズを描く素地は固まっていたなという感じがしました(笑)。

ユーミン:この『小説ユーミン』は、サクセスストーリーとかシンデレラストーリーとは真逆なので、だからシンパシーを持ってもらえるのかな、というのはちょっと心配でね。

山内:でも私が思ったのは、この時代に少女が自分の才能を開花させるってすごく難しいことだった。それで道なき道を行って開拓して、自分の運命をこじ開けた、という意味では、“冒険譚”みたいな感じ。なので、変なやっかみとか嫉妬とはまったく別のステージなんじゃないかなと思ってます。

ユーミン:私もそう思います(笑)。“道”とも思ってなかったね。気がついたら飛んでた感じ(笑)。

山内:だから、“気づかずに切り拓いていた”というところはあるので、本当に冒険をしてる感じ。「中央線冒険小説」みたいな感じで(笑)。

ユーミン:そんな山内マリコさん渾身の一冊、『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』は、マガジンハウスから10月27日に発売されます。もう来週に迫っていますね。
現在は『an・an』で連載も始まっています。「単行本まで待てない!」というあなたは、そちらもぜひチェックしてみてください。
そして、「もっと山内さんが取材した荒井由実の仰天エピソードを教えてほしい!」という方もいらっしゃるはず。ということで、来週も引き続き、「小説ユーミン 創作裏話」を聞かせていただいてもいいですか?

山内:いいとも!(笑)

ユーミン:今日のゲスト、小説家の山内マリコさんでした。来週もよろしくお願いします。


ベルベット・イースター(2022 mix) / 荒井 由実

『小説ユーミン』は、荒井由実時代のお話なんだけれど、この曲のイントロが流れたとたんに“あれ、なんでこんなフレーズにしたのかな?
そういえば、今は無きアップライトピアノで作ってたんだな”・・・ということで、音質についてなども、来週、お話ししたいと思っています。

『Yuming Chord』、お送りしたのは、アルバム『ユーミン万歳!〜松任谷由実50周年記念ベストアルバム〜』から、「ベルベット・イースター」でした。

今日は、『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』出版記念!
「作家・山内マリコさん、ユーミンをさらに取材する!」というコードでお送りしてきました。
ベストアルバム『ユーミン万歳!』もそうなんですけど、これまでの歩みをしっかり振り返ることは、さらに先へと進んでいく原動力になります。
そんなわけで、Yumingはまだまだ、歩みを止めません!

おかげさまで、売り切れも続出しているという、『ユーミン万歳!〜松任谷由実50周年記念ベストアルバム〜』。
予想以上の反響をいただいてうれしい限りですが、ご迷惑をおかけしてしまってごめんなさい。
順次、納品されていきますが、このため、コンサートツアーのチケット最速先行予約など、各種特典のエントリー期間を延長させていただくことにしました。
「50th Anniversary 松任谷由実コンサートツアー The Journey」、チケット最速先行予約(第1期)エントリー受付と、抽選でご招待するツアーの公開ゲネプロご招待、さらに、ユーミン50周年記念オリジナルTシャツプレゼントなど、すべての応募締め切りは、2022年 10月24日(月)23:59まで、となります。
アルバムが手に入ったら、ぜひ、チェックしてみてくださいね。
アリーナツアーの第1期、2023年5月から8月までの日程はすでに発表されていますが、詳細は、松任谷由実公式サイトでご確認ください。

そして、ただいま雑誌『an・an』でも連載中のノンフィクションノベル、『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』の作者、山内マリコさんには、来週もこの番組にご登場いただきます。
小説には書けなかった“とっておき”のエピソードも、聴けるかも!?
どうぞお楽しみに!

そのほか、私の最新情報や近況は、私の公式ホームページツイッターインスタグラムなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。