Yuming Chord
松任谷由実
2016.06.03.O.A
♪Onair Digest♪
いよいよ6月、一歩ずつ夏に近づいてきています。
その前に梅雨の時期があったりもしますが、気の早い人はそろそろ、出かけたくなるかもしれません。
季節の変わり目、人気のない海。
思いがけない出会いが、ありそうな・・・・・・。
そこで、今日のコードは「渚」です。


■今週のChordは“渚”

m1 Pure Shores
All Saints

「渚」とは、波の打ち寄せる場所のこと。
実は辞書で調べてみると、海だけでなく、川や湖の岸辺も「渚」と呼ぶらしいですね。
でも、今日のコードは海限定の「渚」ということにしておきましょう。
渚での過ごし方。まっ先に思い出したのは、昔、仲のいい友達と焚き火をして、ダッチオーブンでたこ飯を作ってもらったこと。特別に「禁止」されていない場合は、海辺での焚き火はOK。
いまや、「焚き火スト」と呼ばれる人たちのために、アウトドアメーカーからはさまざまな焚き火台が発売されているみたいですね。
1万円しないで買えたりするものもあって、後片付けも楽そうです。
最近だと南仏、コートダジュールの渚でのひとときが思い出深いですね。
季節はずれの人気のない海を楽しめるのは大人ならでは、ですよね。


m2 On The Beach
Chris Rea

渚にロマンを感じるのは、いろいろなものが漂流してきて、打ち上げられるからですよね。
ふと、思い出しました。島崎藤村の詩、「椰子の実」。歌にもなっていますよね。
名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実一つ
故郷の岸を 離れて 汝はそも 波に幾月・・・
われもまた渚を枕 ひとりみの浮寝の旅ぞ・・・と続いて、
異郷で涙を流しつつ、いずれの日にか 国に帰らん・・・と終わります。
1999年のアメリカ映画に『メッセージ・イン・ア・ボトル』という作品もありました。
これは、アメリカのベストセラー作家、ニコラス・スパークスの原作。
浜辺に打ち上げられたメッセージ入りのビンをある女性が拾ったことから始まる、大人の恋愛物語でした。
主演はケヴィン・コスナーとロビン・ライト・ペンです。
浜辺を歩いて流れ着いた物を拾い集めることを、「ビーチコーミング」といいます。
もともとは、船が難破して無人島に漂着したようなとき、生活資源として色々なものを集めて、利用することをさす言葉だったそうですが、今はひとつの趣味として楽しんでいる人が多いとか。
また、2001年には「漂着物学会」が創設されて、全国規模で情報交換を行っているそうです。
四方が海に囲まれた島国で、黒潮が沿岸に流れている日本に届く漂着物を研究することで、民俗学や歴史学、地理学、生態学、環境学など、さまざまな分野を横断的に研究しているそうです。
その学会も紹介されている浜口哲一さんの本、『海辺の漂着物ハンドブック』には、さまざまな海の漂流物が分類されています。
貝やカニ、ヒトデ、藻といった海の生物はもちろん、漁や釣りの道具、木の実や流木といった山からのもの、そしてさまざまな外国製品・・・。
ほんとうにいろいろなものが、運ばれてきています。
海流にのって漂い着いたものを使って工作をしたりアートにしたり、流木を使ってオブジェや椅子、テーブルを作ったり。
そのままの形を活かして、世界にひとつしかないモノができあがっています。
以前この番組でお話しましたけど、私も、友達にランプを作ってもらったことがあります。
ちなみに海に届くガラスビンのかけらを「ビーチグラス」「シーグラス」といいます。
割れたガラスの鋭い角がとれて独特の風合いをもつかけらになるんですよね。
最近はペットボトルに変わってしまったことで、少なくなってしまったとか。
波打ち際で見つけた漂流物から想像をふくらませたり、とりとめもないことを考えて過ごしたり。
海をあとにする頃にはいつの間にか宝物を手にしているかも。


m3 海に来て
松任谷 由実

かつて、私がかいた「詞」を集めた本『371+1』の冒頭にこんな言葉をしるしました。
“創作の浜辺をそぞろ歩きながら 幾多の波が打ち寄せ引いてゆく後に残る
きらきらしたかけらを拾い集め それらでどんなネックレースにしたら
ずっと私が欲しかった 世界いち素敵なものになるんだろうか。
どんな人に似合うかな、どんな人がよろこんでくれるかな、などと想って・・・歌をあんでゆく”
創作活動の私は、まさに今、渚を歩いている真っ最中でした。
そんなわけで、アルバムリリースとツアーのスタートを夢みながら、創作の浜辺をもう少し、歩いてみようと思います!




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