Yuming Chord
松任谷由実
2021.06.18.O.A
♪Onair Digest♪
シティ・ポップ、という言葉が使われるようになったのは80年代以降のこと。
今日のコードは「シティ・ポップと、ユーミンと。」です。


■今週のChordは“シティ・ポップと、ユーミンと。”

m1 中央フリーウェイ
荒井 由実

1976年11月にリリースした4枚目のオリジナルアルバム、『14番目の月』から、「中央フリーウェイ」をお送りしています。
このアルバムを作っていた頃は、まだ結婚していなかったので旧姓の荒井由実名義。たまに、若いリスナーの方に向けてお伝えするんですが、その後、荒井由実は結婚をして、松任谷由実になりました。なので、同一人物です(笑)!

1973年のデビューアルバム『ひこうき雲』、翌年の2枚目『MISSLIM』、そして3枚目の『COBALT HOUR』のプロデュースは、アルファレコードの創設者、村井邦彦さんが中心だったんですが、この『14番目の月』以降のアルバムから、全面的に松任谷正隆さんプロデュースになります。

サウンド面に関しては、キャラメル・ママのメンバーもそれぞれ多忙を極めるようになり、例えば、このアルバムでベースを弾いているのは、リーランド・スカラー。ジェームス・テイラーをはじめ、西海岸を中心にスタジオミュージシャンとして活動している彼に参加してもらったことで、よりAOR色が強くなっています。

アルバム発売当時のコピーは、「郊外(Suburb)の風と光をあなた贈ります」。
シティ・ポップをあえて定義するなら、1970年代から80年代にかけて、東京の街を舞台に、おもに東京出身のミュージシャンたちが作りあげてきた、都会的で洗練された音楽。
そんな感じだと思うんですが、私自身は「サバービア(Suburbia)」、つまり東京郊外の出身。都心からちょっと離れた場所に住んでいて、ひとかどの大人たちを俯瞰で見ていた10代初めの頃に音楽づくりを始めたので、楽曲の世界観で独自路線を貫けたんじゃないかな、なんて思ったりもします。

シティ・ポップ、という言葉が使われるようになったのは80年代以降のこと。自分の音楽を「シティ・ポップである」と意識したことはないんですけれど、私がセッションを重ねてきたミュージシャンたちは、「シティ・ポップ」サウンドの立役者ばかりでした。
シティ・ポップを愛する人たちのライフスタイルは、当時でいえば、ドライブ、スキー、サーフィン、リゾート、郊外デート。先ほどお送りした「中央フリーウェイ」も、そんなシーンで口ずさんでもらえたのかな。

続いては、80年代半ばのサウンドを聴いてください。期せずして、タイトルがいかにもシティ・ポップ!という1曲。
1984年のアルバム『NO SIDE』から、「DOWNTOWN BOY」。


m2 DOWNTOWN BOY
松任谷 由実

このアルバム『NO SIDE』のジャケットは、ゴールド!中央に、ヒプノシスがデザインしてくれたトレード・マークを入れました。
「DOWNTOWN BOY」は、シティガールとダウンタウンの男の子の恋模様。シティボーイじゃないところが、ワザありでしょ?

続いては、1975年6月20日にリリースした3枚目のアルバム、『COBALT HOUR』から、雨の季節にぴったりな1曲を。荒井由実「雨のステイション」。


m3 雨のステイション
荒井 由実

シティ・ポップと言いつつ、私は東京郊外・八王子出身。だからこそ、オリジナルの視点が歌の世界観を作っていたのかも。そう思ったりもするんですが、まさに、この曲「雨のステイション」は、JR東日本の青梅線・西立川駅の発車メロディに使われています。

この曲は1975年リリースのアルバム『COBALT HOUR』に収録されている1曲。「卒業写真」「ルージュの伝言」といった、おなじみの曲も入っています。プロデュースは村井邦彦さんと川添象郎さん、アレンジは松任谷正隆さんです。
なんといっても、ジャケットはペーター佐藤さんの手によるパステルカラーのイラスト。サウンドも、細野晴臣さん、林立夫さん、鈴木茂さん、松任谷正隆さんのティン・パン・アレーのメンバーが、腕によりをかけて仕上げてくれました。
曲の世界観を活かすアレンジは変幻自在!
そういう意味でも、「シティ・ポップ」の名盤!と、声を大にして言いたいですね。手前味噌ですが、今聴いてもまったく古びないサウンドです。

「シティ・ポップと、ユーミンと。」最後は、私自身の「今」を反映した、最新のサウンドをお送りしたいと思います。
昨年、2020年12月にリリースした39枚目のオリジナルアルバム『深海の街』。
日本のシティ・ポップブームもまだまだ続く中、私自身、改めて音楽と向き合った日々の中で出した答えとなる1枚。サウンドに関しては、「自分にはまだ、伸びしろがある!」という喜びのもと、あえて、さまざまなチャレンジをしてみました。

アルバムのテーマに据えたのは、「愛しか残らない」ということ。先行き不安な毎日が続きますが、このアルバムが、ままならない日常を送るあなたの心の隙間を、埋めることができますように。

そんな気持ちで、最後にお送りするのは、アルバムのタイトルチューン。ぜひ、じっくりと聴いてください。松任谷由実「深海の街」。


m4 深海の街
松任谷 由実

Drums・渡嘉敷祐一さん、Bass・高水健司さん、Guiter・鳥山雄司さん、Percussion・浜口茂外也さんというメンバーが、生き生きとプレイしているのが伝わってくる演奏ですよね。2020年代の大人のシティ・ポップ、いかがでしょう?
これからの時代の音楽の作り方は、さらに多様化していくのかもしれないけれど、やっぱりコロナを克服して、「ライトタイム、ライトプレイス」の出会いから、サウンドづくりをしていけたら・・・今、そんな思いをかみしめています。

今日は、「シティ・ポップと、ユーミンと。」というコードで、荒井由実・松任谷由実的シティ・ポップをお届けしました。これを機に、私のこれまでの作品を、じっくり聴いてみてください。主要配信サイトで楽しめますので、ぜひどうぞ。

シティ・ポップはその最たるものだと思いますが、音楽は魔法!聴く人の目の前に広がる世界を、がらっと変えてしまう力がありますよね。それが、ライブならなおさらのこと。コンサートツアーが再開できることを心から願いつつ、この秋、最新アルバム『深海の街』ツアーで、みなさんに会えますように。

そのほか、私の最新情報や近況は、私の公式ホームページツイッターインスタグラムなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。



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