Yuming Chord
松任谷由実
2023.03.10.O.A
♪Onair Digest♪

今日のコードは「春の空を見上げて」。
ゲストは、気象キャスターの斉田季実治さんです。


■今週のChordは“春の空を見上げて”

ユーミン:今日のコードは、「春の空を見上げて」。ゲストは、気象キャスターの斉田季実治(さいた・きみはる)さんです。
斉田さんは、北海道大学在学中に気象予報士の資格を取得。卒業後、北海道文化放送の報道記者、民間の気象会社などを経て、現在は、NHK『ニュースウォッチ9』の気象キャスターとして、暮らしと「いのち」を守る気象情報をわかりやすく伝えてくださっています。
と、いうことは、ウィークデイは気象庁の情報や天気図とずっと向き合っている毎日?

斉田:そうですね。天気図は、みなさんがよくテレビで見る地上の天気図だけではなくて、上空1500mとか3000mとか(のものもある)。やっぱり天気は立体的に起きることなので、そういう天気図は毎日見ています。
実際に空も見上げています。(天気を)予想して、実際にそれがどういう空になっているのかということは、毎日空を見て、いつも検証しています。

ユーミン:我が家では、有名な「松任谷家のお茶の時間」というものがありまして(笑)。朝の10時頃から1時間くらい。そのときに空が見えるんですけど、「今日は曇り?晴れ?」とか聞かれて、「“晴れ曇り”かな・・・?」とか「“曇り晴れ”かな・・・?」みたいな。
何かで拝見したら、ちゃんと規定があるんですよね。ちょっと教えていただけますか?

斉田:空全体を10としたときに、9割、10割、雲がおおっているときには「曇り」です。だから、意外と「晴れ」が多いんです。全く(雲が)ないか、1割だと「快晴」で、2割から7割は、「晴れ」。なので、「晴れ」でも、「雲が少ない晴れ」と「雲が多い晴れ」があるんです。

ユーミン:私も、(空や雲のことが書かれている本を)作詞のときに利用することがあるんですけど、日本語って、本当にたくさんの雨や雲、風の名前とかがあって、“美しいな”って、ときどき、しみじみするんですよ。積乱雲が「入道雲」だったり、専門的な言葉と・・・。

斉田:そうですね。“愛称”のような名前がありますよね。
実は、「入道雲」は、正式には「雄大積雲」といって、積乱雲とは少し違うんです。それ(雄大積雲)からさらに発達して、ちょっと上の方が毛羽立ってきたりすると、雷が鳴るような雲になっていて、それが「積乱雲」と言います。
だから、「入道雲」がもうちょっと発達したものが「積乱雲」だったりするんですよ。

ユーミン:そういうふうに、雲の動きで次の天気が予想できたりするわけですよね?

斉田:雲は、特にそうですね。
雷や竜巻などは積乱雲によってもたらされるので、そういう雲が近づいてきたときは、天気の予報だけではなく、五感でもわかるところがあります。積乱雲が近づいてくると、雷の音が聴こえるのと、あとは急に暗くなってきたり、ヒヤっと冷たい風が吹いてくるんですよね。そういうことは知っておいた方がいいと思います。

ユーミン:“空の楽しみ方”ってありますか?

斉田:“虹色の現象”ってすごくたくさんあるんですよね。「大気光学現象」と言うんですけれど、“彩雲”という、雲が虹色になる現象があるんですが、昔から「(彩雲を)見ると幸せになる」と言われてるんです。でも、私は空の見方を知っているので、週に2、3回は見るんです。だから日々ハッピーなのかもしれないですけど(笑)。そういう(空の)見方を知っていると見ることができる現象っていっぱいあるんです。

ユーミン:他にはどんなものがありますか?

斉田:あと、今の時期は「花粉光環」といって、花粉がいっぱい飛んでいるときに、太陽のまわりの近いところが虹色に見えるという現象があります。
花粉がいっぱい飛びそうな予想のときは、“花粉光環が出てるんじゃないかな?”と思ってカメラを持って外に出て写真を撮ったりしています(笑)。

ユーミン:私は、空の色に名前をつけたんです。次に「COBALT HOUR」という曲を聴いていただこうと思っているんですが、夜明けの空が、鉱物が燃えているような青に見えて。“青”なんですよ。コバルトブルー。

斉田:「ブルーモーメント」の時間ですか?

ユーミン:「ブルーモーメント」って言うんですか?

斉田:という言葉もあるんです。黒と青が混ざったような。“群青色”みたいな綺麗な色なんです。


m2 COBALT HOUR
荒井 由実


斉田:飛行機とかに乗って雲を見るのがすごく好きですね。先ほど言いましたように、天気って立体的に変わるので、“立体的にこんな雲が出てるんじゃないのかな”といつも予想をしているので、飛行機に乗ると答え合わせできるんです。すごく楽しいですね。

ユーミン:雲海とかも綺麗ですもんね。
自慢話になっちゃうんですけど(笑)、ヒマラヤのあたりを、飛行機で、雲のギリギリのところを飛んだら、アンナプルナとかの有名な山の上だけが雲からニョキニョキ出ていて、“ああ、すごいな!”と思ったんです。
ヒマラヤって、本当は海だったといわれていますよね。それが隆起して、地球で一番高い場所になった。そんなことも思い出させてくれました。

今日は「春の空を見上げて」というコードでお送りしていますが、このコード、実は斉田さんの本「空を見上げてわかること」を参考にさせていただいたんです。そこにも詳しく書かれているのが、「観天望気」。
これについて詳しく教えていただきたいんですけれど、「観天望気」とは、そもそも何なのですか?

斉田:空や雲を見て、天気の変化を予想することですね。(空や雲を見て)ある程度、予想できることもあるんです。それこそ、「ひこうき雲」も、実は観天望気のうちのひとつです。

ユーミン:そうんなんですか。(ひこうき雲は)水蒸気だということは知っています。

斉田:ひこうき雲ができて、なかなか消えないときというのは、天気が下り坂のサインになります。

ユーミン:そうなんですね。

斉田:ですから、低気圧が西から近づいているようなときとかに、ひこうき雲は消えにくくなったりしますので、そういうこと(天気の予想)にも使えますね。

ユーミン:おばあちゃんの言い伝えじゃないけれども、「月にかさ」とか色々ありますよね。

斉田:はい。“暈(かさ)”というのは、月や太陽のまわりに輪っかが見えることなんですけれども、あれは、上空に薄い氷でできた雲が広がっているときに見えるんです。ですから、それが見えているときは、その後、だんだん雲が厚くなってきて雨になるということで、“天気が崩れる前触れ”だと言われています。

ユーミン:質問!空の高いところに行けば行くほど、(雲は)氷でできるんですか?

斉田:そうですね。高いところにある氷でできている雲と、地上に近い方ですと、水でできている雲があります。氷か水かによって、色々、見える現象も変わってくるんです。
あとは、「夕焼けが綺麗に見えたら翌日は晴れる」というのも、太陽は夕方は西の方にあるので、その方角がよく晴れていれば翌日は晴れる、という、意外と科学的根拠のあるものが多いですね。
ただ、鳥とか昆虫とかの観天望気はあまり当たらないものが多いかもしれないです。

ユーミン:知らなかった(笑)。

斉田:例えば、「燕が低く飛んでいると翌日は雨」というのがありますけど、あれは、理由としては、“湿度が高いと、昆虫は(高さが)低い方が飛びやすいので、それを取る燕も低く飛ぶ”みたいな説明をしている本などもあるんですが、いくつもステップを踏んでいるものというのは、なかなか当たらないことが多いですね。
雲や空は直接天気に関わる部分なので、そちらの観天望気の方が、信憑性が高いものが多いと思います。

ユーミン:子供の頃から、雹が降ってくるとびっくりしたんですけれども、あれはどうして降るんですか?

斉田:雹も、雷や竜巻と一緒で、積乱雲の中で発達するんですね。氷の粒が積乱雲の中で落ちてきて、でも、雲の中なので、「上昇気流」という上に上がる風があるんですけど、それで行ったり来たりするうちにどんどん大きくなって、直径が5mm以上になると「雹」と言うんです。その、上に上がっていく空気の流れも突き破って大きくなると、ドンっと(雹として)落ちてきます。
過去には、カボチャくらいの雹が落ちてきたという記録が、日本にもあります。

ユーミン:本当に!? 蝶々マニアの人から、とんでもない南から、“台風の目”に運ばれて、いるはずのない蝶が日光辺りで採れる、みたいな話を聞いて、自分の「REINCARNATION」という曲にも盛り込んだんですが、そういう話を聞いたことはありませんか?

斉田:それは私も初耳です。

ユーミン:何か、ロマンチックだなと思って。時を越えて巡り会う恋の話なんですけれどもね。

引き続き、来週も斉田さんにご出演いただいて、「春の空の見上げ方」を伺っていきます。
来週もよろしくお願いします。

斉田:斉田:よろしくお願いします。


m3 リフレインが叫んでる
松任谷 由実

今日は、気象キャスターの斉田季実治さんを迎えして、空好き、お天気好き同志、話に花が咲きました〜。
「空を見上げて」というコード・・・ようやく、制限のない形での外出もできるようになってきて、五感をフル稼働して、季節の移ろいを味わえる日常が戻りつつあります。
その幸せをかみしめながら、お届けしてきました。

「ひこうき雲」を見かけたら、斉田さんの教えを信じて“雨が降るかもしれない”と思ってくださいね!
そして、斉田さんのお仕事ぶりに興味を持った方は、PHP研究所から出ている『空を見上げてわかること』、ぜひ、読んでみてください。
来週は、はっきりしない春の気候とのつきあい方や、今、注目を集める新時代の気象予報について、教えていただきます。
どうぞ、お楽しみに。

そして、私も新時代のステージを、みなさまへお届けしていきます!
デビュー50周年を記念した全国アリーナツアー、大和証券グループpresents 50th Anniversary 松任谷由実コンサートツアー「The Journey」。
5月13日(土)・14(日) 神奈川・ぴあアリーナ MMからスタートして、12月まで約52公演を予定しています。

ツアーの詳細や今後のスケジュール、そのほかの最新情報は、私の公式サイトツイッターFacebookインスタグラムをチェックしてみてくださいね。



過去のO.Aはコチラ!
♪menu♪
番組TOPページ
番組へお便りはコチラ!
Message to Yuming
Yumin最新情報!
Information
TOKYOFM TOPページ

▲ページ上部へ
(c) TOKYO FM