2021/07/23 O.A【Onair List】

M1.
深海の街
松任谷 由実

M2.
やさしさに包まれたなら
荒井 由実

2021/07/23 O.A【Onair Digest】

○ONAIR DIGEST
今日のコードは、「『深海の街』スペシャル〜海の底で歴史の謎を解く！」。
ゲストは、水中考古学者の山舩晃太郎（やまふね・こうたろう）さんです。

■今週のChordは“『深海の街』スペシャル〜海の底で歴史の謎を解く！”

ユーミン：山舩さんは、本来なら1年のほとんどを調査や発掘のために海外で過ごされているところですが、今回はコロナ禍ということもあって、久しぶりに日本に長く滞在されているそうですね。

山舩：そうですね。本当に久しぶりです。私は日本の大学を出てからアメリカに留学をして大学院で水中考古学というものを学んだので、1年以上日本に滞在しているのは2006年以来なので、15年ぶりぐらいに1ヶ月以上日本に滞在しているということになります。

ユーミン：どうですか？ また日本で興味をそそられることとかありましたか？

山舩：日本食が美味し過ぎて（笑）。

ユーミン：（笑）。山舩さんは国内待機の時間を使って、本を執筆されました。タイトルは『沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う』。今月、新潮社から出版されたばかりですが、私も読ませていただきました。

山舩：ありがとうございます。

ユーミン：大変なことも含めて、楽しそうですね。

山舩：他の人がやったら大変に感じることもあるかもしれないんですけど、私個人的には楽しくてしょうがないですね。楽しさしかない学問だと思っています。

ユーミン：水中考古学ってどんな学問ですか？

山舩：基本的には、陸上の考古学と違いはありません。考古学というのは歴史を研究するので陸上、水中関係ないんですけど、何が違うかをあえていうのであれば、遺跡が水中にある。なので、その発掘の仕方や発掘した時の保存の仕方が、少し陸上の考古学とは違います。“遺跡が特別な環境にある考古学”というのが水中考古学です。

ユーミン：山舩さんは世界中の水中発掘現場から引っ張りだこだそうですけど、その理由が、山舩さんの専門分野にあるフォトグラメトリー（Photogrammetry）。観測、測量方法にあるそうですが、それについて教えていただけますか？

山舩：このフォトグラメトリー（Photogrammetry）というのはですね、一言で言うと、写真を元に3Dスキャンをする技術です。なので、レーザースキャナーのような高額なものがなくても、水中で写真をパシャパシャっと撮れば、水中遺跡を3Dモデルで再現できるんです。これが水中遺跡にはとても重要なんです。というのは、「潜水病」というものがあって、人は水中では１回に長い時間活動ができないんです。長いこと水中に居過ぎてしまうと、血中に窒素が溜まってしまうんです。

ユーミン：私、血中に溜まるのがなぜ窒素なのか、長年の疑問でした。急に浮上すると血液中に泡ができちゃうんですよね。

山舩：実は空気というのは、ほとんどが酸素ではなくて窒素からできているのです。長いこと水中で活動していると、圧縮された空気を吸っているので、高濃度の窒素を吸い込んでいるんです。それが血中に溶けているわけですね。

例えば、炭酸の入ったペットボトルを開けると、プシュッと泡が出るように、液体に溶けている気体というのは圧力が急になくなってしまうと気体になってしまうんですね。それと一緒のことが血中でも起こってしまうのです。

例えば、30メートルのところで作業をしている時には1回に潜れるのが30分程度。この潜水病の関係で窒素を抜かないといけないので、1日に作業できるのが2回まで。なので、1日に1時間しか作業できないんですね。これは陸上の考古学と比べたら、かなり制限があると。

陸上の考古学はお日様が上がってから落ちるまで作業しようと思ったら作業出来るんですけど、水中考古学の場合は1時間しかできないというので、とても効率が重視される学問なんです。そこでフォトグラメトリーで、まず遺跡の3Dモデルを作る。これを詳細に作ることで、そこから遺跡の地図を作ったり、測量データを3Dモデルから測ることができるんです。

ということで、水中考古学において、3Dモデルを作ってそこから遺跡のデータを取るっていうのは、とても重要でして。そこで、私がフォトグラメトリー（Photogrammetry）を考古学用に使っているので、それでいろんなところからお誘いを受けることになったんです。




日本が誇る水中考古学者、山舩さんのお仕事ぶりや発掘調査エピソードは、山舩さんの本、『沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う』に詳しく書かれています。
新潮社より発売されていますので、こちらもぜひ、読んでみてください！
引き続き来週も山舩さんをお迎えして、エキサイティングな発掘現場でのエピソードを語っていただきます。どうぞお楽しみに。

そして、私もエキサイティングなステージを、みなさんにご覧いただきます！
全国60公演以上に及ぶツアー『松任谷由実 コンサートツアー 深海の街』、こちらの全公演日程が決定しました。
ツアーの詳細は今後のスケジュール、最新情報は私の公式サイト、Facebook、インスタグラムをチェックしてみてくださいね。