Yuming Chord

2024/7/19 O.A【Onair List】

M1

 M1.
 幸せになるために
 松任谷 由実


M2

 M2.
 永遠が見える日
 松任谷 由実


2024/7/19 O.A【Onair Digest】

○ONAIR DIGEST
石川県鳳珠郡能登町の宇出津港にほど近い場所から、スタートしています。
今日のコードは「灯り舞う能登〜あばれ祭にて」です。

■今週のChordは“灯り舞う能登〜あばれ祭にて”

夏の石川・能登の風物詩といえば「キリコ祭」。これまでも何度かこの時期の能登に足を運んでは、このお祭りを体感してきたんですけど、ここ、能登町の「あばれ祭」は、はじめてなんですよね。
毎年、4万人くらいの人が集まるということなんですが、震災後はじめて開催される今年の「あばれ祭」は観光誘致をせずに、復興への道を歩みだすため、地元の方々のために開催されるそうで・・・歩いていらっしゃるのは、地元の方々だけなのかな?

でも、心なしかうれしいオーラがこの場所にも漂ってきます。太鼓の音もしていますね。日がだんだん暮れていく・・・そんな時間です。
日暮れからの本番に向けて、今、着々と準備が進められているようです。

今日のコードは、「灯り舞う能登〜あばれ祭にて」。
石川県鳳珠郡能登町の宇出津港にほど近い場所から、スタートしています。

震災から半年の節目、ということもあって、ここのところの報道で被災地の今の様子を改めて知ることも多かったんですけれど、実は、石川県観光ブランドプロデューサーをつとめる私のもとには、いち早く、うれしい知らせが舞い込んでいたんですよ。

能登の地に夏の訪れを告げる、文化庁認定の日本遺産、「キリコ祭」。
江戸時代から今に至るまで、夏のおよそ3ヶ月間のうちに能登半島の3市3町、およそ200もの地区で行われてきたこのお祭りを、今年も開催しようと動き始めた地区がある、という知らせです。
毎年、夏のはじまりを告げるように先陣をきって開催される、能登町の「あばれ祭」。

令和6年・宇出津祭礼委員会の祭礼委員をつとめるみなさんを代表して、奉賛会の本谷順一さんにお話を伺いながら、お祭りの主役ともいえる「キリコ」が集まる場所まで、ご案内いただきます。

ユーミン:本谷さん、よろしくお願いします。

本谷:初めまして。こちらこそよろしくお願いいたします。

ユーミン:法被姿で。

本谷:はい。法被にそでを通せるか通せないかというところで非常に深い想いがありました。

ユーミン:若い方がたくさんいらっしゃる宇出津だそうで。

本谷:そうですね。昔からそうなんですけど、お盆やお正月よりもこのお祭りに実家に帰ってくるという習慣がございまして。みんなこの日に帰ってきますね。

ユーミン:宇出津の「あばれ祭」。タイトルが勢いがあるんですけれど、一番の特徴は何ですか?

本谷:普通のお祭りにないところなんですけれど、神社に祀られている神様が須佐之男命(すさのおのみこと)さまと言いまして、手荒く扱えば扱うほどお喜びになられるという言い伝えがございます。

ユーミン:なるほど。

本谷:その神様をもてなすという意味で神輿をひっくり返したり、地面に叩きつけたりして大暴れするところから「あばれ祭」と呼ばれるようになりました。

ユーミン:うわあ、いいですね。この場でそういうお話を伺えるとこれから始まるお祭りに期待が膨らむし、これがそうか!というリアリティが今、ガツンときました。
2日間開催されるそうですけれど、みなさんずっとテンションを保っているんですか。

本谷:この日を目指して1年頑張っているという人がほとんどなので、この2日間はやっぱり1年のパワーを使い果たすという日になりますね。

ユーミン:そして、今日の1日目はどんなことになるんですか?

本谷:今、ここにいる場所から向かい側の方にキリコが並んでいますよね。

ユーミン:はい、並んでます。

本谷:あれが(町を)ぐるっと周って、港にある5本ある松明を目指してみんな担いで周るわけです。ここで一番の見せ場の乱舞をして火の粉を浴びてみんな法被も穴だらけになるんですけども、各町内競いあって頑張るわけです。

ユーミン:その輪のなかに入ったらすごいエネルギーでしょうね。

本谷:もう、みんな目が三角になって(笑)。

ユーミン:(笑)。

本谷:声もかけられない状態ですね。

ユーミン:開催するまでにいろいろ葛藤もおありだと思うんですけれど。

本谷:そうです。松明を3月頃から準備していかないと間に合わないので、「家も無くなったのにお祭りをするのか」という意見もあったり。賛否両論ございましたね。

ユーミン:こうして開催が決まった今、どんなお気持ちですか?

本谷:昨日から眠れませんでした。うれしいのと、いつもと違う、ちょっとこみ上げるものもあります。

幸せになるために / 松任谷 由実


ユーミン:キリコが並んでいますけれども、ここから見えるのは6台?この通りはどういう場所なんですか?

本谷:ここは先程あった松明に向けて乱舞をする待機場所ですね。「やるぞ〜!」という場所です。

ユーミン:キリコの大きさはどの位ですか?

本谷:今、この大きさのものは大体6メートル位なんですけども、始まった頃はこの倍くらい、10メートル超えるものもあったんです。

ユーミン:そうですか。

本谷:元々、キリコをいうのはその地域の財力の象徴だったので、見栄を張ってこういう立派な彫刻を作ったり。

ユーミン:このあと、このキリコがどうなっていくんですか?

本谷:松明を目指してみんなスイッチが入って、人が変わったように(笑)。

ユーミン:本当に?それを見たいですけど・・・。

本谷:例えは悪いですけれども、サファリパークに入ったような状態です。なるべく安全な距離を置いてご覧になった方がいいかと思います。

ユーミン:はい、わかりました。

今日のコードは、「灯り舞う能登〜あばれ祭にて」。
私は今、能登名物、宇出津の「あばれ祭」を見渡せるようにと、メイン会場から少し離れた場所にお住まいの方のご厚意で、ご自宅にお邪魔しています。

松明の火の粉を浴びながら「キリコ」と呼ばれる大きな灯篭が練り歩く「あばれ祭」。
今、ここからちょうど、その様子が見えるんですけど、大きな松明が3つ並んでいる・・・“並んでいる”というか、間を練り歩くようにキリコが4本回っています。
何か、南米の古いキリスト教のような感じもするし、この音、イスラムのような・・・能登神話と出雲神話が繋がっているように、もっと遠いところから神話のスサノオ達のもっと古い祖先がこの地に渡ってきても不思議ではないような神秘的な感じさえします。

火の粉が夜空に舞い散っています。あの松明の傍にいる人たちは法被がその日のうちに燃えちゃうと言うけれど、水をかけながら重いキリコを動かして普通じゃないエネルギーが出ている感じが、ここからも見えます。

永遠が見える日 / 松任谷 由実

ユーミン:ここで若い方々にお話を伺いたいと思います。
今日お祭りということは外して、お正月から昨日まで、近日に至るまでの(気持ちを教えてください)。

ウエノさん:地震自体が価値観が変わるような出来事だったので、気持ちをひと言で言うのはなかなか難しいんですけれど、今までの東日本大震災とか阪神大震災がちょっと遠いような感覚はあったんです。それがまさかここで起きると思ってなかったですし、それが起きた瞬間から自分たちが被災者になって、置かれる状況が180度変わった。 そのときから当たり前が当たり前じゃないというか、半年経って徐々に生活関しては元に戻ってきている部分はあります。あるんですけれど、どこかに震災の時の恐怖があるので、引きずっている部分はあるのかもしれません。

モトヤさん:非常に複雑な気持ちで。受け入れるにも時間がかかる部分もあるし、朝起きて、全部夢だったんじゃないかなと思ったりすることもあるし。
こうして今、祭りができているんですけど、仮設住宅に住んでいる人もいるので・・・すごく複雑な気持ちですね。

ユーミン:私も、この状況でのお祭りを拝見するという複雑さはある。きっとみんな複雑ななかで、でも頑張ってほしいということと、自分に一体どういうことができるだろうということを突き付けられるような気がする。

モロカドさん:そうですね。お2人と同じ感じなんですけど、私は就職で県外に出ているのでこちらに住んでいるわけではないというところから、お祭りは大好きだし(参加)したいけど、「したい」と言ってもいいのかな、というような複雑さがありました。

ユーミン:声の感じでよくわかります。「あばれ祭」が開催されると聞いてどういう気持ちになりましたか?

ウエノさん:まずはうれしいし、昼間キリコを担いでいて、一緒に担いでいた人と「よくここまで来れたな」と話していました。それが素直な想いとしてあって、そう思っている人も多いんじゃないのかなと思います。

モトヤさん:正直、震災が起きて生きる意味を失っていたので、祭りをやる、しかも通常開催するという宣言を聞いたときは、やっと生きる気持ちになれたという気持ちが大きくありました。

モロカドさん:うれしいという気持ちと、本当にできるんかな、という気持ちが混ざったような気持ちで。でも、やっぱり外(県外)にいるので、うれしいが勝つけど、どこまで“うれしい”を出してもいいのかわからなかったですね。

ユーミン:どうもありがとう。
1人でも多くの人に、ずっと復興への歩みが続いているんだということを伝えられたらいいなと思います。

3人:ありがとうございます。

今日は、石川県の能登半島の内浦にある、能登町の宇出津から、能登の復興を願うために開催された「あばれ祭」の模様とともに、みなさんの声をお届けしました。

金沢と能登、たった2泊3日の短い期間でしたけど、私はより一層、石川が好きになりました。
だからこれからも、自分にできることを見つけて、形にしていきたいと思ってます!
なお、収益を能登半島地震災害義援金として寄付させていただくチャリティシングル、「acacia[アカシア] / 春よ、来い (Nina Kraviz Remix)」が現在、発売中です。
いち早く石川の方々に観ていただきたいなと思って、このミュージックビデオは、現在は石川県内の50か所ほどの場所でのみ限定公開しています。でも、8月1日からYouTubeでもご覧いただけます。

そのほか、私の最新情報や近況は、私の公式ホームページツイッター改め「X」Facebookインスタグラムなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。


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