2025.12.23
世の中からチケット転売をなくしたい
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週と来週のゲストは、株式会社チケミー 代表取締役CEOの宮下大佑さんです。
宮下 大佑さんは石川県出身。大学入学と同時にアパレルを扱うECサイトを起業。事業を売却したのち、ベンチャーキャピタルでリサーチ業務に従事。2022年、株式会社チケミーを設立しています。大学在学中に会社を立ち上げて、それを売却したのち、さらにまた会社を立ち上げたんですね。
今週は主な事業内容をうかがいます。まず事業内容をひとことで言うと、何でしょうか?
「我々チケミーという会社なんですけども、最近だと仮想通貨なんかにも使われる「ブロックチェーン」という技術、その中でも「NFT」と呼ばれるものを使ったチケット販売プラットフォームを提供しております。」
NFTという単語はデジタルアートの分野で聞いたことがあります。模倣されない、ライセンス付きのデジタルデータという話は聞いたことがあるのですがそれのチケット版ということですか?
「そうですね。NFTというのはブロックチェーン上にあるデジタルの紙のようなもので、それが今までは 2021年ごろからずっとデジタルアートの分野で使われていたんです。ただ、我々は日本で初めてその NFTという技術をチケットとして使ったという会社なんです。」
最近よく使われているオンラインチケットとはまた違うんですか?
「そうですね。NFTチケットは、不正な転売を強力に防ぐことができます。紙だと郵送や手渡しによる転売、電子チケットだとスクリーンショットやアカウントの売買による転売が考えられます。」
たしかに受付の際にQRコードやバーコードを見せるだけなら、スクリーンショットなどで簡単には入れてしまいますよね。転売に限らず、電子チケットの画面を誰かに撮られてしまうだけでも誰かに使用されてしまうのは怖いですね。
「そんな中、NFTチケットを使うと電子チケットの良さを生かしながらも不正な転売を防げるんです。」
どのようにして不正が防げるんでしょうか?
「ちょっと難しい話になってしまうんですが、僕らが使っているブロックチェーンという技術なんですけども、これは「分散型台帳」といって誰でも見られるようなデータベースのようなものと思っていただければいいと思います。例えば、楽天だったりAmazonだったりとECサイトがある中で、その一つの ECサイトごとに一つのデータベースしかないというのがこれまで当然だったんですけども、このブロックチェーンというものは誰でもアクセスができる。例えば、楽天さんもAmazonさんも同じデータベースを使うことができるっていうプラットフォームになります。つまり、誰が売買したのか履歴は全て同じデータベース上に残っていくので、不正な転売をした時に、この人が不正な転売をしたんだってことがわかるという仕組みになっています。」
なるほど、ネット上の記録の中にこれまでの取引、所有者が記録されていくから誰が今所有しているかがわかるということなんですね。
「おっしゃる通りです。もし転売したとしても取引の金額までわかるので不正な転売をした人に対して、「じゃあこれからは最初に買えないようにしよう」という対策もできるんです。」
この「TicketMe(チケミー)」は具体的にどこで使れているんですか?
「現状、ホリプロさんや東宝さんといった演劇の大手の企業さんに使っていただいております。舞台の方々は不正な転売に悩まれている方々が多くいらっしゃるので、そこで使っていただいております。元々2万円くらいのチケットが10万円とか15万円で売れられたりするので、それらを外部のプラットフォームを利用して購入すると不正な転売になってしまいます。」
では昨今言われている転売防止の方法としてはすごく効果的な方法なんですね。
このTicketMeはどうやって使えばいいんでしょうか?
「ユーザーで購入される方はTicketMeの中でユーザー登録をしていただいて、他のチケットサイトと全く変わらないオンラインチケット買う感覚で、ブロックチェーンなんかも意識せずに使っていただくことができます。」
先ほどまでの難しい話は、あくまで仕組みの話が難しかっただけであって、利用者からすると普通のチケットを買うのと変わらないってことですよね。
「そういうことです。NFTチケットだからこその不正な転売を防げる、リセールを公式にできるというようなTicketMeならではの特徴もたくさんあるんですけども、お客様側は何も意識せずに使っていただくことができます。」
利用者の方というよりはチケットの発行主側に注目してほしいサービスですね。
先ほどリセールが公式できるというお話がありましたがそれについて教えてください。
「そこが僕らのサービスの面白いところかなと思っていて、他のサービスだと内部のプラットフォームでリセールできず、外部のプラットフォームを使用するということがあるんですが、僕らはブロックチェーン技術を使用して公式なリセールっていうのを実現しているので、プラットフォームの中でチケット金額を決めることもできれば、チケットを持っている方に対していくらで買わせてくださいというオファーも送れる仕組みになっています。仮にそこで差額が発生した場合は、その差額もわかるので、その差額の一部を主催者の方に還元するということもできます。」
素晴らしいですね!この仕組みによって買い占めも起こりにくくなるわけですね。
体感として、このTicketMeの浸透度はどれくらいですか?
「演劇業界の中ではおかげさまでかなり浸透してきているかなと思うんですけども、ただ新しいものでもあり、NFTチケットって少し難しいものでもあるので、なかなかわからない方っていうのもいらっしゃって、一気にガッと広まっているかというと、そうでもないですね。」
今後どんなジャンルの人たちに使っていってほしいですか?
「音楽ライブの関係の方々にはこれからどんどん使っていっていただけるんじゃないかなと思います。不正転売がどこでも起きているのでそういった問題を解決していきたいですね。」
海外ではNFTチケット、広まっているんですか?
「NFTのプロトコル(手順・ルール)がベースの部分で広まっていますね。僕も昨日までアメリカにいたんですが、いくつかのNFTチケットのスタートアップを見てきました。」
海外でも広まっているんですね。
NFTのシステムについては説明が難しいものがあるとは思いますが、利用者の方は気にしなくていいですよね。皆さんはいつも通りチケット買っていただければ、自然とそのチケットがチケミーを通したものであれば転売されにくいし、誰が買ったかもわかる。さらに、その発行元も安心してチケミーを通してだったらお客さんにチケットを渡せるってことなんですよね。
「そういうことです!まとめていただいてありがとうございます。」
最後にこれまで乗り越えてきたハードルについて教えてください。
「新しいものを伝えるっていうのが一番、僕が直面したハードルです。ここからそれこそ先ほど言っていただいたような“わかりやすい言葉”を使っていきながら、皆さんに広めていければなと思います。」






20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、





