「津波防災の日」・「世界津波の日」が制定されているこの11月は、
津波について考えていきます。
みなさんは「遡上高(そじょうだか)」という言葉を知っていますか?
けさは、津波の高さの種類の1つである遡上高についてお伝えします。
遡上高は、津波が海岸から陸上へ浸入し、
地形に沿って地面を這い上がって
行き着いた最終到達地点の標高を指します。
一方、一般的な「津波の高さ」とは、
海岸の検潮所などで観測された高さのことです。
気象庁が津波予報で予測する津波の高さは海岸での高さを指します。
この遡上高は、地形によっては、
海岸で観測された津波の高さの2倍から4倍に達することがあります。
なぜ遡上高は、海岸で観測された高さよりも高くなるのでしょうか。
遡上高のメカニズムについて、
東北大学・災害科学国際研究所の菅原大助先生に
解説していただきました。
菅原先生:
地形にもよりますが、必ずしもいつも高くなるわけでではなく、
仙台の海岸のような平野だと、津波の遡上高で一番高い所は標高2mとか3mなので、必ずしも高くなってるわけではありません。
これがもし岩手県の沿岸など三陸だと、海岸はほとんどが崖や谷で、急勾配の斜面になっています。
そういう場所だと大きな白波を立てて迫ってくるような津波だと勢い、流速があり、その勢いに乗って、海水が斜面を駆け上がるとか、逆方向に流れます。
そうして、海岸付近の津波の高さよりも、
遡上高の方が大きくなるということが起こりえます。
この遡上高を踏まえて、万一、
巨大津波が発生した場合の避難方法のポイントについても
菅原先生に伺いました。
菅原先生:
より高いところに逃げられる余地を残した形で避難場所を選ぶといいと思います。
低い高台で孤立した島みたいな場所だと、それを上回る津波が来たらどこにも逃げられなくなってしまうので、
なるべく、もしその場所からさらにに避難しなければならない状況になったら、
その次にまたより高いところに移動できるような場所に逃げる避難をするのが良いと思います。
山が多い地域に住んでいる人は、より高い山に避難できる場所を避難先に、
街中ではなるべく海や川から離れた高い建物や、
津波避難ビルに避難することを心がけましょう。