今朝は、
大雨のたびに全国で相次ぐ「アンダーパスの冠水~自治体の新たな取り組み~」についてお伝えします。
今週9月8日に愛知県や岐阜県を襲った大雨。 愛知県西部から岐阜県美濃地方にかけて線状降水帯が発生し、1時間に約100ミリの猛烈な雨が降りました。名古屋市では過去の東海豪雨を上回る記録的短時間大雨となり、 およそ200万人に避難指示が出される事態となりました。
この時、大きな交通の障害となったのが、道路の「アンダーパス」の冠水です。 国が管理するアンダーパスの複数箇所で実際に冠水が確認され、通行止めを余儀なくされました。 幹線道路がまるで川のようになり、帰宅ラッシュと重なって激しい交通渋滞も起きています。
アンダーパスとは、鉄道の線路や他の道路の下をくぐるために、 周辺の地面よりもすり鉢状に低く掘り下げられた道路のことです。 ゲリラ豪雨などの急な大雨が降ると、 周辺の雨水が一気に流れ込み、あっという間に巨大な池のようになってしまいます。
ここで最も恐ろしいのは、「このくらいの水なら、そのまま走り抜けられるだろう」というドライバーの心理です。 泥水で底が見えないため、水深が数センチなのか、数十センチ以上あるのか、 運転席から正しく判断することは困難です。 車のマフラーやエンジンの吸気口に水が入れば車はすぐにエンストし、身動きが取れなくなってしまいます。
この判断の誤りが、取り返しのつかない悲劇を生むことがあります。
今年8月に発生した千葉豪雨では、千葉市内のアンダーパスで車が水没し、 尊い命が失われるという痛ましい事故が起きてしまいました。 この事態を重く受け止め、国や全国の自治体では今、命を守るための新たな取り組みを次々と始めています。
その代表例が、国が主導して今年9月から運用がはじまった 「事前の通行規制」、つまり「予防的な通行止め」です。
これまでは冠水が実際に起きてから遮断機を下ろすケースが多く、 急激な水位上昇に間に合わないことがありました。 そこで、大雨の危険が予想される段階で、冠水する前にアンダーパスを通行止めにする仕組みを導入しました。 実際に9月7日の大雨では、茨城県内の4か所で予防的に通行止めを実施し、 事故を未然に防ぐことに成功しています。
さらに、全国の自治体ではテクノロジーを活用した対策も進んでいます。
例えば、宮城県仙台市や神奈川県川崎市などでは、アンダーパスに水位計やカメラを設置し、 状況を24時間遠隔監視しています。 水位が一定に達すると、入口の電光掲示板に自動で「通行止」や「冠水注意」といった警告が 大きく表示されるシステムが導入されています。
また、全国各地の自治体で導入が進んでいるのが「エアー遮断機」です。 これは水位センサーと連動し、 自動または遠隔操作で道路の真ん中に巨大な円筒形のバルーンが膨らんで道を塞ぐシステムです。 これなら、誤って進入してしまった車や緊急車両を傷つけることなく、物理的に侵入を食い止めることができます。
さらに最近では、カーナビやスマートフォンの地図アプリと連携し、 ルート上の冠水注意箇所を音声や画面で事前に知らせてくれるサービスも普及してきています。
このように、ハードとソフトの両面から対策は強化されていますが、行政やシステムの力だけでは、すべての事故を防ぐことはできません。私たち一人ひとりの「自らの命を守る行動」が不可欠です。
大雨の日に私たちが心がけるべきことは、シンプルです。
第一に、「危険な道を知っておくこと」。普段通るルートにアンダーパスなどの低い場所がないか、自治体が発表している「道路冠水注意マップ」などを事前に確認しておきましょう。
第二に、「絶対に突入しないこと」。アンダーパスに少しでも水が溜まっているように見えたら、決して進入しないでください。「急いでいるから」「前の車が行けたから」という油断は禁物です。勇気を持って迂回する決断をしてください。
そして万が一、車が冠水して動けなくなってしまったら、水圧でドアが開かなくなる前に、一刻も早くシートベルトを外し、窓やドアから車外へ脱出して安全な高い場所へ避難してください。
これからも台風や局地的な大雨のリスクは続きます。「アンダーパスは、水が溜まる落とし穴」。この言葉をぜひ胸に刻んでいただき、大雨の日の安全なドライブ、そして迅速な避難行動ができるようにしましょう。