プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。


きょうは「鎮守の森のプロジェクト」の活動レポートです。
各地で続く植樹祭、いろいろお伝えしていますが、今回の植樹地は、岩手県・山田町です。植樹会場は、船越半島という海にポコンと飛び出た半島の「田の浜地区」。こちらにおよそ400人のボランティアの方があつまりまして、中には、北海道、大阪から来たという方、そして東京の大学生も大勢参加していました。いつも植樹の指導をされている西野文貴先生ももちろんいらっしゃいました。

〜西野先生、この苗木は何ですか?
 ケヤキですね。これは大きくなると25メートルから30メートルくらいになるんです。表参道にもケヤキ並木がありますね。ケヤキはニレ科の植物です。ニレ科は面白い特徴があって、葉の根元の部分が左右非対称になるんですね。ケヤキは落葉広葉樹といって冬に葉を落とすタイプなんですが、今は細い感じがしますが伸びるのがすごく早いです。

〜前回岩沼で植樹をしたときに新たにムラサキシキブを植える木に加えるという新しい取り組みがありましたが、今回はなにかありますか?
 今まで植えてきた木々の高さは、2年生から3年生の70センチ前後の同じ高さの木が多かったんですが、今回はもう1年歳を重ねた木を植えているんですね。樹種の多様性に加えて、高さの多様性を作ってみようということです。そうすれば早く相乗効果で大きくなったり、外圧に耐えられるのではないかということを試験的に始めました。ですので、これは追ってモニタリングをしていきます。この方式は、僕の提案で入ったんですけれども、どこからヒントを得たかというと明治神宮です。明治神宮の森は10万本の献木と1万人のボランティアでできたのですが、規格がなかったので、バラバラの木が入りました。明治神宮の森は当初の予想より早く成長しているのですが、その秘密はいろんな樹種を入れたのもありますが、高さが違うこともあったんじゃないかなと思ったんですね。



この山田町・田の浜の植樹会場は、海から、なだらかな勾配を200mほど登ったところにあります。そこからさらに登ると200世帯の住宅地。この住宅地で暮らす人達の命を守るための森作り・・・ということになるわけですね。ちなみにこの植樹地は「防災緑地公園」の一部という位置づけなのだそう。山田町・佐藤 信逸町長にお話しを伺いました。

■山田町・佐藤 信逸町長のお話
 前回は3000本、今年は4000本の植樹をします。私も去年植樹をしてどのぐらい根付くのかと半信半疑だったのですが、事務局長の日川さんに聞くと、9割以上がしっかり根付いているということで、素晴らしい森になっていただければと思いますね。
 ここから見えるようにあそこに堤防があります。山田湾の内海の堤防は9.7メートル。ここは12.7メートル。外洋に直接面していると言うことで堤防も高くなっております。もし東日本大震災の津波のようなものがあった場合に、越水してもここで防災緑地公園としてしっかり津波の力を減衰する。そういうような防災の機能も持った公園として、皆様方に愛される、くつろげる公園になったらいいと思っています。そしてまた植樹した木が、あの時植えた木ですよという話題になれる公園になればいいと思っております。


ということで、勾配を登った高台にある植樹地からは、キレイな海が見下ろせるのですが、防潮堤がまさに建設中。これが完成すると、ここからは海が見ずらくなるのかも・・・。
それでも!このあたりにはまだまだ、地元の人達がずっと大切にしてきた宝物のような自然がたくさんあります。地元の参加者の方の声です。


東日本大震災のときは、私の家も神棚まで水上がってしまいました。二度とこういうことのないようにと思って植える防潮林なので、みんなで散策できる夢の森にしたいですよね。成長してみんなで楽しめるような森に育ったらいいなと思います。大切にしていきたいですね。(山屋フジさん)
カブトムシがいる森になったら嬉しいです(千崎輝夢くん)


 高速道路も岩手県を通りましたし。防潮堤も見た通りほとんど完成してきていますし、国とか県とか街がやる仕事はほぼ予定通りされていると思います。あと大事なのは我々、地域の人間ができる事。木を育てたり、仲間を育てたり、子どもを育てたり、お年寄りを大事にしたりということで、初めて物と心がひとつになると思うのです。そういう意味で山田町は心の部分を今やっている最中です。まだまだ時間がかかると思いますけれども、木を植えながら、自分たちの人生に必ずプラスになると思うので、特に若い人たちにはたくさん参加してほしいと思います。いずれ自然自身が大きく立派になって、人をずっと見守ってくれるものになると思うので、母なる大地、自然って力強いし大事だしありがたいなと思いますね。(宮古ヤクルト販売社長寺崎勉さん)

今回の植樹の模様はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。こちらもぜひお聞きください。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・未来のミュージアム / Perfume
・Blackbird / Raul Midon
さて、夏のうっとおしい生き物の代表・・・「蚊」の生態に関するお話。専門家の嘉糠洋陸教授にいろいろと伺ってきましたが、まだまだ、面白いお話がいっぱいあります。例えば・・・A型、B型、AB型、O型のうち、蚊に刺されやすい血液型はどれか?そんなお話もお届けします!


〜蚊に刺されやすい血液型はあるのでしょうか?
 日本人対象の研究では、O型がA型より2倍刺されやすいという結果があります。蚊が人を刺す前に血液型を知ることはないので、科学でもミステリー、原因はわかっていません。ただ血液型は遺伝によりますので、O型の人の特殊な性質が刺されやすいと推測されています。そのほかの血液型は特に多い、少ないという差はありません。ただ、あくまで平均の話ですので、たとえばAB型だから刺されないというわけではありません。

〜二酸化、熱、においなど、蚊の好む条件をすごく満たしたA型と、そうでもないO型ではどちらが刺されやすいのでしょうか。
 やってみたい実験だと思っていますが、結論は簡単には出ないと思います。冗談に聞こえるような臨床研究を計画しているのですが、トーナメント式で蚊に刺されやすい人を評価して、そうすると千人のなかでいちばん刺されやすい人が出てきて、その過程で第2位、第3位がでる。そうすると蚊に刺されやすい要素が正確に炙り出せるのではと研究の準備をしているところです。そのくらい蚊に刺されやすい人の条件はわかっていないんです。もしそれがわかれば、最も優れた蚊をおびき寄せる機械ができます。そういう研究が進められています。

〜蚊は感染症にも関係がありますよね。
 血を吸う虫はなんらかの病原体を運ぶことがわかっています。蚊で感染する病気の広がり方はインフルエンザと比べても桁違いにすごいんです。インフルエンザは1人の患者から1.5〜3.5人に感染します。蚊は1人の患者が50〜200人に広がります。そういう規模なんです。1人のマラリア患者から蚊を介して200人に感染します。記憶に新しいと思いますが、2014年のデング熱は、160人の患者が国内で発生しましたが、外から病原体を持ってきた1人の患者から蚊が媒介して広がったということがわかっています。

〜マラリアの感染の話は日本ではあまり聞きませんね。
 マラリアという病気を運ぶ蚊の種類はハマダラカといいます。ハマダラカは東京都23区にはいないので、日本で感染が広がるということはあまりありません。東京都に住んでいる蚊は代表がヤブ蚊です。ヤブ蚊はデング熱やジカ熱を運ぶことができるので、それらの病気は広がる可能性があるわけです。来年2020年東京五輪では、海外からのたくさんの渡航者が来ますが、蚊に関わる行政、研究者は緊張感を持ちながら見守っています。
 ここ20年くらいの蚊対策の方向性のひとつは、蚊はいるけれども、病気を運ばない状態を作れないかということがあります。遺伝子組み換えなどで、ウイルスや寄生虫を運ばない蚊をつくれれば、普通の蚊と交配させて、ウィルスを運ばない蚊を増やしていけます。見かけはまったく同じ蚊ですが、スパイのように交配して子どもたちをみんなスパイの一味にするわけです。現在では、ある市町村に限って研究が行われていたりします。ブラジルのある町、ベトナムのあるエリアで実験した結果、デング熱患者が激減したり、蚊がちゃんとすりかわったといった、いい結果が出てきています。


〜蚊自身も知らずに子孫が無害になるわけですね?
 蚊自身には影響ありませんが、病気を運ぶ能力だけを失うわけです。人間と蚊がウィンウィンになることを目指しています。蚊を増やしたのは我々人間です。蚊のメスが血を吸うと200個卵を生みます。10回さされたら2000匹、20回で4000匹を生み出すわけです。人間が増えたから蚊もたくさん増えた。そう考えると仲良くするしかない。そう認識して蚊と付き合っていくかを議論しなければいけないと思っています。


嘉糠先生のお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【番組内でのオンエア曲】
・Be My baby / Vanessa Paradis
・Way Back Into Love / Hugh Grant & Haley Bennett
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パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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