プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。

今週も引き続き、
ノンフィクション作家で、狩猟免許を持つ猟師さんでもある
北尾トロさんのお話です。
長野県で猟犬とともに猟をする「船木さん」のエピソードをいろいろ伺っていますが、
きょうは、北尾さんが数年間、その猟に同行して感じたという
「猟犬の能力のすごさ」のお話です。
実はあなたが飼っているペットのワンちゃんも
猟犬の血を引いていて、すごいポテンシャルを秘めてるかも・・・そんなお話です。



北尾さんの著書『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。
では、長野県で猟犬とともに猟を続ける船木さんを数年にわたり取材。
猟犬と猟師の知られざる世界を伝えてくださっていますが、
船木さんが猟犬たちを連れて山へ行くのに
何度も同行されているということですが、猟犬の賢さを感じる時はどんな時ですか?


例えば、狩猟シーズンに山へ行って猟をするのは
当たり前なんですが、それ以外のシーズンも、
ちょくちょく山には行くわけです。
犬をのびのび走らせたいという目的で。
自分たちが管理する山があって、そこだったら平気じゃないですか。
そういうところに連れて行くんですけど、
そういうときには例えば夏も猪はいるわけですよ。
だからイノシシの匂いをかぎつけられるわけじゃないですか。
追いかけたってよさそうなものなのに一切それをしないんですね。


今日は狩猟じゃないというのがわかっている。
なぜなのかと言われると不思議なんだけど、
例えば、船木さんの中から出るエネルギーというか、
やる気みたいなものが出ていないとか、
一番の違いは銃を持っていないということですけど、
それ以外には、例えば船木さんは秋になると
マツタケ狩りに燃えるわけでエネルギーは出ているけど、
そういう時も犬たちはさっさとくっついていくけど
全く船木さんのそばから離れようとしない。不思議でしょ。


不思議ですね。だってリードは外しているんですもんね。



だから銃がないことと、それから無線機がない。
その辺かなとも思うんだけど、本当にいちいち賢いんですよね。
山の奥に行って戻って来いよと呼びますよね。
そうすると戻ってくるんですけど、
その時に、あまり賢くない犬だと自分の匂いをたどって戻ってくる。
だけど賢い猟犬はそうじゃなくて、最短距離で戻ってくる。
だから、僕の目の前から上に上がっていった犬が、
どこにいるかわからない、すると僕の後からヌッと現れたりするんです。


行った時と違う道から出てくるんですか?

そうです。匂いと声のする邦楽とか全てをキャッチして。
耳も良いから。そして無駄なく効率よく戻ってくることができる。
それはすごいよね。


我が家の犬は絶対無理だなと思っちゃいました。

できると思いますがその能力を発揮する機会がないから
使っていないだけで、実はすごいんじゃないですか。


戻ってこないということはないんですね!



船木さんの犬に関してはそうですね。
だから全然心配しないんです。
無線機がキャッチできる範囲って法律で定められているから、
遠くに行っちゃうと地図から消えちゃうんです。
そうすると僕らもおろおろして、どこに行っちゃったんだろうと。
でも船木さんは「遅かれ早かれ戻ってくるから飯でも食うか」
という感じなんです。
だから絶対的な信頼感というか。
ただ、ひとつだけ心配しているのは、
すべての人が猟師に対して理解があるわけでもないし、
犬が好きなわけでもない。
だから、もし何かを追いかけてどこかの集落に獲物が逃げ込んで、
それを追いかけていた時に、リードをつけていないたくましい犬が、
集落をうろつくことになって、
そこにたまたまその家が鶏を飼っていました。
そこでガブっなんてことになったら大事件になる。
そしたら猟師の免許剥奪される!というのかと思ったらそうじゃないんです。
「犬が保健所に連れていかれる」と。
そんなことはできない。だからいつもと違う、
戻ってこない感じでもいろいろ種類あるらしく、
これはいつもと違うと思うと船木さんは必死で探すんです。
集落を。
それで、ここの集落もいない、ここもいないとなるともう安心だと。
車で待ってようか、寝てていいよと。
そうすると戻ってくるんです。車の匂いがわかっているから。
車は移動しても平気です。すごいよね。
でもそんな感じで、犬の賢さには本当に驚かされるというか、
人間の知能とはまた別の生き抜く力とか、備わっていると思います。



猟の成果というのは、、、?

船木さんの場合は年間に5、6頭獲れれば、
まぁいいやという感じなんです。
近年は獲物も減っているんです。
特に猪は、豚熱というウイルス性の病気があって
その影響でちょっと減っているみたい。
だからおかしいな、ここにいないなんてことがよくある。
あと船木さんがあまりガツガツしない猟師なので、
5頭を獲れれば良いかな、という。
イノシシ5頭にシカ1頭。本当にシカって猟師さんは獲りたがらない。
イノシシの方が猟としては高度で面白いんですよ。
シカはひたすら遠くへ遠くへ逃げるんですが、
イノシシは息をひそめたり刃向かったり、相手として手強いわけです。
その手強い相手をいかに追い詰めて、
ということなので猟師はシカを獲ったといっても誰も褒めてくれない。
僕は鹿肉大好きなので、
なんで?シカでいいじゃないですかと言うんだけど、
「シカなんかいつでも獲れる」という感じなんですよね。
それで、実際にシカがいても、船木さんは打ち損じるんですけどね。


「はずしちゃったよ、あはは」って悔しがりもしない。
それと、カモシカって撃っちゃいけないんです。
天然記念物です。でもいまは増えていてちょくちょくいるんです。
でもカモシカかどうか犬はわからないから
カモシカを追いかけて追い詰めちゃったりするんです。
でも撃ってはいけないし万一犬が飛びかかったりしたらダメだから、
「離れ離れろ」と。その辺のことを、
何百メートルも離れた無線機を通して
船木さんが「だめだ!」と言うんです。
船木さんはなぜカモシカだとわかるんですかと聞くと
「犬の鳴き方が違うんだ」と。
「イノシシの時だって相手のサイズによって違うだろ。
俺はオスかメスかも大体わかるよ」と。
それぐらいのアレがあるんですよ、
鳴き声ひとつにも情報があるんです。
うなり方とか、ぐうう〜とうなったり、キャインと鳴いたりしたら
相手が強いから早く行かなくちゃ。
そんな感じて、犬と一緒にいるとだんだんと
僕もわからないなりには察しがつくようになりましたね。
3シーズンぐらいやっていると。
言われてみると、弱々しい声だな、自信なさそうだなとか、
いろんなことが見えてくるんです。




★集英社からこの春に発売された北尾トロさんの書籍
『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。
が発売中です。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・サマー・ガール / HAIM
・Ordinary Joe / テリー・キャリアー

今週は、「猟犬と猟師」がテーマです。
猟師さんと一緒に、山や森に入り、狩猟・ハンティングをする犬¬=猟犬。
実は私たちがペットとして飼っている犬も、猟犬の血を引いてたりします。

でも、実際にこういうワンちゃんが「猟をする姿」を見たことがある人は・・・
どうでしょうか?

じゃあ自分の目で見てみよう!と、取材したのが
ノンフィクション作家・北尾トロさん。
舞台は信州・長野。そこで目の当たりにした猟犬と猟師の不思議な関係、
いろいろ教えてもらいました。



『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。
にも書いたのですが、
ここ数年取材しているのが猟師と猟犬、それが船木さん。
とにかく変わっている方で、最初に挨拶したとき犬が四頭いて
多すぎない?と思ったんですが、犬の説明をするときも、
すごい情熱的で犬のことばっかり喋るですよ。
犬が大好きなんです。僕が会ったときは70歳だったのかな。
70年の人生で69年は犬と一緒で、全部猟犬。
お父さんが狩猟をやっていて、本業は一級建築士の立派な社長さんなんだけど、
一切その話はしなくてずっと犬の話。
犬たちも船木さんのことが大好きだというのがひしひしと伝わってきますよ。
僕なんかに目もくれないんです。(笑) 




船木さんが飼育しているのは紀州犬、日本の猟犬。
闘争心があって噛む力が強く、つまり山で鳥とかじゃなく
猪や鹿を捕まえるときに活躍する犬なんですね。
その犬たちを連れて山へ行って自分は銃を持って猟をするんです。
山でリードを離すと、自分たちがなんのために山に来たのか
犬たちは分かっていて、もうワクワクなんです。
「猟をするぞ」と。鹿や猪の匂いを嗅いでその足跡を追っていくのかと思ったら
そんなことは全然せず、空中に鼻をすっと持ち上げるんです。
空気、風から分かるというか。鼻がとにかく良いんです。
空気の中に漂うかすかな猪や鹿の匂いがわかるんですね。
本当に1、2秒クンクンとやって山に入っていくんです。


猟師さんは犬の首に無線機をつけているのでどこにいるのか分かるんです。
そしてこっちに行ったなというんで、なにかいそうだから行ってみようか、
という感じで猟が始まる。
スタートは犬から。ドッグファーストですから、あくまで。
犬の行く気にまかせて、山に入っても匂いが薄くなった、
やっぱりいなかったとなるとすぐに戻ってくるんです。



いよいよ獲物がいましたとなると本気モードに入る、スイッチが入る。
そのときは姿勢をぐっと低くして、
すごい脚力でダダダっとあっという間に見えなくなっちゃうんです。
また猟師さんもスイッチが入るから、70歳超えているのに、
一直線にまっすぐに登っていくんです。
普通は迂回しながら行くじゃないですか。
そうじゃなくまっすぐ登っていくんです。



狩猟スタイルはいくつかあるんですが、
船木さんの場合は犬が獲物を見つけて追いかけ、追い詰めます。
吠えたりして、イノシシがいたら足止めし、そこに船木さんが追いついて、仕留める。
犬がイノシシと戦う、犬が勝つんじゃなく、
犬はあくまでボス・お父ちゃんである船木さんが来るまで足止めさせるんです。
船木さんが仕留めると、船木さんは喜びますよね。
犬たちは、それを見たいんです。ご主人・船木さんを喜ばせたい、
船木さんにホメられたい、それでやるんです。
船木さんも獲物を捕ると犬を褒めちぎるんです。
よくやった!と。



それで船木さんは射撃があんまり上手じゃないんです。
何十年もやっているわりに上手じゃない。
それは上手になる気があんまりないからだとだんだん分かってきて。
つまり、いっぱい捕りたいわけじゃないんです。
ほどほどでいい。ただ、理想的な猟犬との猟をしたい。
理想の猟ができたときは本当に、銃を打つのは獲物から5メートルとか
そういう距離になって外しっこない。銃が上手い下手は関係なくて当たる。
そういう考えみたいなのね。犬と一緒に獲物を追い詰め獲物を仕留め、
喜びを分かち合い肉も分かち合う。完璧な猟ができれば、
射撃が下手でも絶対に当たるところから自分は打つことができる。
だから遠くから撃っている時点で失敗、
理想形じゃないという考え方なんです。



ある日電話がかかってきて、
飼っている犬同士の赤ちゃんができたと嬉しそうに電話をかけてきて、
僕は月1,2度ずつ訪ねていたが、しつけをするんですね。
最初に帰巣本能を身に着けさせる。
最初は母犬がそばにいないと、赤ちゃんは不安でしょうがない。
それを犬小屋から出して2m離すとすぐ戻る。
次の日は3m、次は4m.ある日は犬小屋が見えないところまで持っていく。
そうすると山で鹿を追いかけて遠くに行っちゃっても、
船木さんのもとに帰ってこられる。
帰巣本能がしっかり育っていないと、
迷い犬になってフラフラどこかいっちゃうから、
それの適性を確かめるところ。しつけというより適正を見る。
本にも書いたが一度日が暮れてしまって、4時半くらいでも真っ暗になる。
どんどん暗く足元も見えない。怖くて足がすくんだが、
生後半年の子犬たちがちょろちょろと来て僕を案内してくれた。
それも人間が歩きやすい道を、斜めに斜めに誘導しながら。
3mに一度くらい振り向くんです。「ちゃんと来てる?」みたいな感じで。
犬ってすごいなと。
本当に生まれたときから全然能力が違う。
人間にしか無い能力もあるけど、
山だとぜんぜん犬のほうが上だなと。



★集英社からこの春に発売された北尾トロさんの書籍
『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。

今週も、ノンフィクション作家・北尾トロさんがここ数年取材を続けている
信州長野の「猟犬と猟師さん」についてのお話でした。
次回もどうぞお楽しみください。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・ミルクとシュガー duet with 上白石萌音/大橋トリオ
・ロアー 〜最強ガール宣言!/ ケイティ・ペリー

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高橋万里恵
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