• 2015.10.11

明治神宮の森

今回のいのちの森は、東京の中心に鎮座する「大きな森」のお話。
2020年へ向け、明治神宮・外苑は大きく変ろうとしていますが、その中心にある神宮の森も、長い年月をかけて「変化」を続けているんですよね。

今日は明治神宮・国際神道文化研究所の門崎泰輔さんにスタジオまでお越しいただき、お話を伺います。


〜門崎さんは権禰宜という立場ということで、勝手なイメージなんですが、古風な洋服を着ているようなイメージだったんですが、今日はスーツ姿なんですね。普段はどんな服装をされているんですか?
 普段もスーツを着て仕事をしていることが多いんですが、朝拝というものがありまして、そのときは白衣袴、神主さんの格好をしてお参りをして、お掃除をします。また、月に一度は月次祭といって、装束を着て、神職のお勤めもしております。

〜そんな門崎さんがお勤めしている明治神宮なんですが、2020年には鎮座100年をむかえるということですが、100年前にはここはどうなっていたんですか?
 100年前は明治神宮の場所は通称、代々木原といわれていて、いまのような森はなかったんです。明治神宮は人工の森なんですが、1912年、明治45年に明治天皇が崩御して、明治天皇のお墓を東京につくりたいという運動があったんですが、明治天皇は京都生まれで、ご遺言でお墓は京都ということが決まっていました。それならばお墓にかわる明治天皇、明治時代を記念する、象徴するような施設を作ろうという話になり、神社を東京の地につくろうということで、明治神宮創建の流れができてきます。

〜わたしもこの番組を通して知るまでは、そこがまさか人の手でつくられたとは思わなかったんですが、明治神宮にある木の種類にもこだわりがあったんでしょうか。
 明治神宮の森をつくろうというとき、木が足りないので全国から奉納してもらおうということになったんですが、結果的に365種類10万本の木が奉納されました。林縁計画書という当時の森の設計図が残っているのですが、いまでも明治神宮は林縁計画書の通りに維持管理をしています。そのなかに林相変異図といって、森がこういう風に進化していくだろうと示された図があるのですが、最初は松や杉、ヒノキのような針葉樹林を主要木として植えて、その下に奉納された照葉樹、広葉樹を植えて、針葉樹である程度の高さを出して、森としての形を作ろうということで、いちばん最初はそのように計画されたんです。それで50年後、100年後、150年後と段階を踏んで針葉樹はだんだん淘汰され、照葉樹、広葉樹が大きくなって天然更新する森になるだろうという計画でつくられたのがいまの森です。
自然の森として天然更新するには、100〜150年かかるだろうと当時言われていたんですが、当時この森をつくった人々は、この明治神宮の森が立派になった状態を見ることができないので、将来の我々に託して残してくれたんじゃないかなというふうに思うんです。その計画がやはり素晴らしかったんだと思うのですが、鎮座80年くらいのときにはすでに天然更新をしていて、自然の森といえる森にまで成長していたと言われています。
平成23年から2年かけて境内の動植物の総合調査をしたのですが、そのときには2840種類の動植物が明治神宮の森のなかに住んでいて、昆虫だけでも1100種類いました。新種のムカデが発見されたり、新種のかたつむりが発見されたり、東京都内では絶滅したと思われていた蝶が発見されたりしました。また、オオタカが巣をつくるようになりました。タカは食物連鎖の頂点に立つ動物なので、タカがいるということは、明治神宮のなかだけで食物連鎖が完結しているということを示す例なんですね。ですので、100年前に森を作った方々が想像していたかどうかわかりませんが、まさにいのちの森として、命を育むもりにまで成長して立派な森になったということです。


〜最初は自然にサイクルができるまでもっと時間がかかると言われていたのが縮まったというのはなぜなんでしょうか。
 先人が林縁計画書という森の取り扱い説明書を残してくれたわけですが、我々の歴代の先輩方がそれを忠実に守って森の管理をしていたんですね。たとえば落ち葉は、一般的には燃やしたりしますが、明治神宮ではそれをすべて森に返しなさいと書かれています。また、虫が発生しても、いろいろな種類の木を交互に植えているので隣の違う木には移らないので、殺虫剤は撒くなと書かれていたり、そういうことを忠実に守って先輩方が苦労して森を維持管理してきたと思うんですね。そういった苦労のかいがあって、計画よりは森の更新が進んだんじゃないかと思います。

〜お話を聞いていると、明治神宮の鎮守の森は先代からちゃんとバトンをしっかり引き継ぎながらここまできて、2020年に鎮座100年ということなんですが、これから先の100年の課題ってありますか?
 明治神宮は明治時代という時代を象徴する場所としてつくられたものです。明治時代がどういう時代だったかということを考えると、西洋文化を取り入れた時代。西洋の知識をたくさん取り入れて近代日本を作っていった時代です。その時代を象徴する神社として、いま現代においても海外からの知識をたくさん取り入れて、海外にもひろく発信していくというのは明治神宮という神社としては大切なことではないかなと思います。

〜そして、今年の4月からは、明治神宮も含む渋谷に関する興味深い講演会が続いているということなんですが、どういうものなんですか?
 「日英連続講演会 TOKYO FUTURES, 1868-2020 東京-未来への歴史」というのですが、東京が明治維新を経て、色々な時代の変革を経て、これから2020年東京オリンピックがあるわけですが、どのように変遷していくのか、それを自然、都市、美術のおおきな3つのテーマから検証してみようという企画です。
10/31には都市というテーマで、表参道の日本看護協会のJNAホールというところで開催します。明治神宮のサイトのトップページに詳細があります。当日はお申込が必要になりますので、そちらをぜいご参照ください。
お話をするのは青山学院大学総合文化政策学部の教授 黒石いずみ先生がお話くださいます。黒石先生は建築が専門分野ですが、長年都市計画も研究されていて、とくに渋谷をテーマにフィールドワークなどを通して学生と一緒に研究されています。テーマも「21世紀都市渋谷を楽しむ」という興味深いものになっています。


〜表参道や渋谷ってお買い物、飲みに行く街というイメージが強い方が多いかもしれませんが、改めてこういうことを知ると、また見る目が変わるかもしれませんね。
 最近では古地図を見ながら街歩きというのが流行っていますが、そういった感覚でぜひ明治神宮界隈を歩いていただいて、渋谷という街、明治神宮を見て頂けると、ひと味違った体験になるのではないかと思います。
日英連続講演会 TOKYO FUTURES, 1868-2020 東京-未来への歴史

明治神宮のお話いかがだったでしょうか。
今回ご紹介した内容はポッドキャストでも詳しくお届けしています。こちらもぜひお聞きください!

【番組内でのオンエア曲】
・Hold My Hand / Jess Glynne
・Story / AI

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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