きょうは東京の真ん中にある、素晴らしい森の散策をレポートします。
場所は皇居に隣接する、千鳥ヶ淵と北の丸公園。
桜の名所としても知られるこの場所は、実は東京とは思えない!と専門家も驚くほど貴重な森が広がっているんです。
今回参加したのは、「千鳥ヶ淵の自然再生ガイダンスツアー」というもの。
東京では珍しいほど、豊かな自然で構成されているという千鳥ヶ淵ですが、近年は、水質の悪化、名物の桜の老化など、課題も多かったそうです。
そんな中、平成25年に環境省が、環境を再生するプランを立ち上げまして、その一環として行われているのが、このツアー。
千鳥ヶ淵周辺の環境を再生する取り組み、貴重な植物、そして皇居周辺ならではの歴史を感じられる史跡など、様々なことを学び、楽しむことができるツアーです。
ツアーのスタート地点は、日本武道館にほど近い、北の丸公園の休憩場。散策は、北の丸公園内の大きな池のまわりから始まりました。日本全国で、森や自然の調査などをしているプレック研究所 箕輪隆一さんが解説してくださいました。

こちらの池の水は循環で上の滝から落とすような形になっています。全体に北の丸公園というのはひとつは皇居の中の緑というのがデザインの基になっています。やはり皇居の中にもこういう流れがあって、滝があって日本庭園やその循環式の庭園みたいなものがある。それをモチーフとしてこういった山を作り、滝を作り渓谷をというような形のデザインがされているわけです。
千鳥ヶ淵の堤塘、堤塘と申しますのはこの草土手の部分のことを言いますが、堀があってこの草土手があって石垣がある。これは江戸城の史跡の一部です。江戸城は元々は軍事施設ですから勾配は非常にきつくなっていて、上がりにくい、いわゆる安息角(土などを積み上げたときに自発的に崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度)といわれている35度を超えるくらいの勾配にしてあります。ということはカチカチに固めてある。その上に草が生えています。江戸時代はここには立木はもちろんなかったわけです。木がありますと敵が入ってきたときにそこを足掛かりに入ってきてしまいますし、火災のもとです。だから元々草土手で維持されてたものが、戦後段々と桜が植えられたり松を植えたりして現在の姿になってきました。ここの土は固めてありますから、なかなか根が入りにくい。ですので、大きな木を支えるにはちょっと難しい状況の中で、このソメイヨシノも次第に難しい状況に入りつつあります。

さて、江戸時代から何度も刈り取りをして草土手として維持されてきたものですから、ここにはまさにタイムカプセルのように、23区内ではもうほとんどないというようなものがこの土手に生えています。例えばソバナっていうツリガネニンジンに近い仲間ですね。あとニリンソウという春植物も生えいています。春に白い花が咲きまして一面出るんですが、夏には跡形もなくなってしまう。そういうようなものとか、キツネノカミソリ、それからヒガンバナなどいろんな植物がここの土手のところにいます。それらは森林に依存している植物ではなくて、草地系のものが多く、それらが刈り取りをすることによって維持されていうような状況になっています。


千鳥ヶ淵には、桜の木がたくさんありますが、あれは手入れをすることで「草地」をキープできているのだそうなんですね。日本の気候は、自然に森ができる気候なので、草刈りをしないと木が生い茂ってしまうそうです。
そして、千鳥ヶ淵の土は桜大きな桜を支えるには固すぎるそうで、2年前の大雪で、根っこごと倒れてしまった桜もあるといいます。ちなみに、ここの400本の桜は、実は江戸時代にはなく、全て昭和30年代に植えられたものなんです。
続いては、千鳥ヶ淵とつながる、北の丸公園の「森」のお話です。

ここは江戸城の中でも北の丸という名前の通り、田安家、清水家、徳川三卿と呼ばれています、二つのおうちのお屋敷があったところです。そのあとは近衛師団の練兵場がありました
北の丸公園は19ヘクタールありますが、この中で高等植物が743種あります。こんな都心の中にそれだけのものがあるんです。もちろんその種類の中には、戦後、色んなとこから運んできた木の土の中に付いていたっていうものもあると思います。その中で例えばキンランのような、雑木林の中の野生ランが出てきたり、タシロランみたいなものが出てきたりっていうようなことで、ちょっとびっくりというような状況があります。

こういう状況の中で皇居の森との一体性っていうものを確保するための林づくりっていうのを意図しております。皇居の森というと、鎮守の森みたいなところかという風にみなさんイメージされると思います。もちろんうっそうとした原生林のようなところもあります。合わせて雑木林みたいなのもある。それからサクラ林もある。それから宮殿回りなどのところではよく手を入れられた日本庭園があります。見事に手入れされた庭園のすぐバックに原生林に近いような林があったり、雑木林があったり、そういうような一個一個のパーツが非常に高品質の状況で維持されてることによって、ここを遥かに超える豊富な生物がいて、まさに絶滅危惧種だらけと言ってもいいような状況になっています。
皇居の森はもちろん一般の方たちに入って見て頂くっていうことはなかなかできない。であれば、なるべくそういったような良質な自然のファクターというものを見習って再生ができないだろうかと考えているわけです。もちろんそういった原生林的なものっていうのはなかなか作ろうと思ってもできないわけですけれども、それに近いような雑木林があり、よく手入れされた庭園あり、そのバックには鎮守の森的なものもあるというような、いくつもの自然が色んな生息環境が良質な状況でモザイクになってるといような状況を作ることによって、四季折々楽しめて、なおかつ生物的な資源っていうものも保全できるような、そういったような森づくりをするというようなことを考えています。
なおかつ、例えば今の時期ですと、この上をシジュウカラとかエナガとかがその上を飛んで行くというような状況になってきます。そういったような良好な生息環境であり、また人が楽しめる都市の中の公園としても楽しめる。で、様々な生物にとっても人にとっても、よりプラスになるような方向に森林を育成していこうということで、今色んなプランが練られてる状況です。
またお濠の方でも色々な仕組みを作りながら、岸部に植物が生えるようにしたり、浅瀬を作ったりして生物多様性が高まるようなことを色々とプランニングをしています。もちろん水の浄化もしておりまして、合わせてそういったような生育環境を増やそうということで仕組みを作りつつあるというような状況です。


今回のお話いかがだったでしょうか。来週も引き続き「千鳥ヶ淵の自然再生ガイダンスツアー」の模様をお届けします。次回は動物編です。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Long Kiss Good Bye / HALCALI
・One Call Away / Charlie Puth

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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