先週に引き続き、NPO法人 秩父百年の森 理事長の田島克己さんのインタビューをお届けします。
秩父百年の森は、この10年、秩父の森で、カエデの樹液を使ったメープルシロップづくりを続けています。この取り組みには、日本の林業を、考えなおそうという意味合いもあると言います。田島さんのお話、続きをどうぞ。

〜メープルシロップづくりのキーワードとしてあげられているのが、「切らない林業」ということなんですが、これはどういう意味なんでしょうか。
木を切らなくても十分林業としては成り立つんじゃないかというのが基本的なコンセプトなんです。たしかに森の恵というと木材利用が中心になりますが、そうではなくて、切らなくても山にお金がかえる仕組み、まあメープルシロップのような取り組みですね。日本にもたくさん木がありますので、樹液がとれても、その木を枯らすことはないので、ですから、収入が少しずつでも山に返れば、山の方にとってはプラスになるんじゃないかなということで考えています。

〜「切らない林業」の循環っていう意味では、具体的にどういうふうに回っていくのですか?
私たちはNPOですが、山の方々と一緒に秩父樹液生産協同組合というのをつくりました。今年で4年目になりますけれども、山の方たちと一緒に樹液を取りまして、山の方たちから樹液を買うという形をとっています。その樹液をいまは秩父のお菓子屋さんなどに売る。でお金が山に返されるという形をとっています。そしてもうひとつ、NPOで商標登録をとったのですが、「和メープル」という言葉をつくりまして、「和」というのは日本の「和」なんですが、同時にみなさんをつなげるという輪っかの輪という意味もあります。じつは森を守っていくというのは、山の人たちだけがやることではありませんので、やはり地域の人達、街の人達、それが一緒になってできる仕組み、これが私たち樹液に関わることを続けていく意味だろうと考えています。

〜樹液を採る技術などはどなたかが教えたりしているんですか?
私たちはもう一人中心メンバーがいるんですが、彼が富山に学生時代に行っていて、マタギさんから教えていただいたものが元になっています。彼はとてもスキーが好きで、山に入ってスキーをするときに、ストーブの上にヤカンが置いてあって、非常に甘い匂いがしたんだそうです。それを一口なめて、「砂糖を入れたのか?」と聞くとそうじゃないということから、彼が学生時代に過ごした間にいろいろそういう樹液のとり方を教えてもらったのが元になっています。

〜そのやかんに入っていたのは樹液を煮詰めてたんですね。
そうですね。それを紅茶に入れて、非常に美味しかったというのが出発なんです。それと、秩父に彼が戻ってきまして、やはり秩父の特産品はなにかないかと相談を受けたときに、秩父にはカエデがたくさんあるから、これをなんとかしようというのが元々の出発点になります。それがちょうど10年前になります。で、全国的にも7〜8ヶ所くらいで樹液をとりはじめていますが、さらに遡ると、日本での樹液の取り組みというのは、じつは戦前からありまして、そういうのが下地になていると思います。

〜日本の山とか森ってカエデの木から樹液が取れる場所って多いんですか?
たいへん多いと思います。むしろいままでそういうのをなかなか目を向けてこなかったというのが事実だと思います。どうしても林業というと木材生産が中心という考え方がありますので、とくに戦後の林業というのはどうしても戦後復興の過程で家を作らないといけない、木をとにかく大きく育てなければいけないというなかで、広葉樹がだんだん排除されたっていうのが背景にあるとは思います。いま、林業が煮詰まったといわれているなかで、もう一回林業を見直す時代が来ているんだろうと思います。そういう意味でこの樹液がひとつのきっかけになればいいと私たちは考えています。

〜この10年間で田島さんがこの活動をしてきた学んだこと、考えが変わった事ってありますか?
樹液がとれる時期というのは1月の末から三月の始めまでなんですが、山の時期でいうと厳冬期にあたるんですね。ですから、とても春をイメージするとか、そういうものではなかったんですね。ところが、こういうふうに関わり始めて、1月の末から2月にはいって、本当に木々の営みのなかで、カエデが樹液を出したりとか、じつは他の木でも樹液がとれるんですね。そういう春の息吹というか、それがすごく感じるようになりました。ですから、私たちの「春」というイメージは、やっぱり2月くらいからそういう感じになりますね。

〜1月の下旬から3月にかけてカエデが樹液を出すというのは、カエデにとってはどういう時期何ですか?
なぜ樹液を出すのかということも含めてなんですが、じつはこれということがなかなか説明できないというのがいまの現状だと思います。一本一本の木からだいたいどのくらい出るかというのを一週間単位で追っていますので、それと周りの環境ですね。とくに温度変化とか、すべて記録をとってるんですが、できたらそういうことがカエデの樹木の生理ということを含めてちゃんと分かるようになりたいというのが思っているところなんですが、それはまだまだというところですね。

〜富山のマタギの方から色んな事を学んだとおっしゃっていましたが、色んな方から、先人から学ぶことって多いんですか?
そうですね。とくに秩父・大滝に今年92歳になる方がいらっしゃるのですが、その方は10年前くらいまでは実際に木に登って枝打ちをされていました。で、その枝打ちの方法とか、あるいは使う道具とか、森を仕立てるというか、森を見立てるというか、そういう力があって初めて森がちゃんとした形になるんですね。それを学ばせていただいたというのはあります。

〜森を見立てるってどんな感じですか?
たとえば森のなかにはいって、上を見上げると、枝が拡がって、木と木の間がかぶりますよね。そうすると木の成長にとってどうなんだろうということをみて、ここは切ったほうがいい、ここは切らないほうがいい、ここの土地は傾斜が急だから、こうしないといけないとか、ここは風が当たるからこうしなきゃいけないとか、ですから森を見立てるというのは10年、20年、あるいは50年先を見て森に関わるんですね。そういう考え方、あるいは接し方、そういうのはやはり大変感銘を受けました。



今回のお話いかがだったでしょうか。スタジオに和メーブルの商品をいくつかもってきました。いくつかいただいたのですが、和メープルサイダーはとてもおいしくて、鼻から抜ける香りがメープルですね。なんか癖になりそうな味です。
興味のある方は秩父未観光土産品協同組合をチェックしてください。
http://miyagehin.jimdo.com/

秩父百年の森の活動についてはこちらのサイトをご覧ください。
http://www.faguscrenata.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Lips Are Movin' / Meghan Trainor
・みんながみんな英雄 / AI

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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