今回はテレビでもおなじみ、広島大学教授で辺境生物学者・長沼毅さんのインタビューをお届けします。
人呼んで、科学界のインディ・ジョーンズ!世界の「辺境」と呼ばれる場所で、生命の謎を解き明かそうと活動を続ける長沼さんに「森」について色々と伺いたいと思います。
まずはこの「辺境生物学」とはどんなものか伺いました。

◆「辺境生物学」とは?
「辺境生物学」とはなかなか聞き慣れない言葉だと思ういますが、「辺境」というのは人間がアクセスしにくい場所、または生きるのが大変な場所という意味です。
具体的には、たとえば深海ですね。それから南極、北極、そして砂漠、火山、地底もありますね。そして高山もある。そういった場所は人間が行くのが大変なだけじゃなくて、そこにいる生き物でさえ生きて行くのが大変な場所です。生きて行くのさえ大変だから、そこにいる生命を調べれば、もしかしたら地球の生命の限界ってものがわかるんじゃないかということです。あるいはこんな厳しいとこでも生きていけるという可能性ですね。そういった生命の逞しさ、可能性というものを追求したくて、実際にそこに行って、彼らがどんな世界で生活しているのかを知ろうとしているわけですね。
潜水船に乗って深海に潜ってみると、普通はもう真っ暗で何も生物がいない世界かもしれないけども、場所によっては海底火山があって、そこは深海砂漠におけるまるで深海オアシスのようなところで、ものすごい大量の生物が密集しいる。そういう海底火山も行きましたし、あるいはラクダの背中に揺られて砂漠を旅しながら、生き物なんていそうにない砂漠にいる生き物に会いに行ったり、南極にも行きました。南極には昭和基地はじめ、日本の基地がいくつかありますけども、北極にも実は日本の基地があるんですよ。そういった日本の北極基地に行ってみたりね、そういったところで変わった生き物を見つけましたね。


ほんとにインディ・ジョーンズみたいな長沼さん、これまで海底火山にいる不思議な生き物はじめ、様々な生き物を採取、研究してきました。
そしていま現在、長沼さんが夢中になっている生き物が、これまたとっても不思議な生き物なんです!

◆陸上最強の生物
今は地衣類が私の興味の的ですね。地衣類は陸地にいます。海にはいません。陸地だったら、地球の陸地のほとんどどこにでもいるっていうすごい生き物です。東京の都心のビルの外壁にもいるし、その辺の街路樹の幹にもべちゃーっとへばりついてるし、あるいは南極北極の風が吹きすさぶようなとこの岩の表面にもべったりとへばりついてるすごい生き物ですよ。
この生き物の正体は二つの生物が合体したものです。一つは菌類。カビやキノコの仲間です。その菌類はカビと思ってもらっていいんですけども、カビが家の骨組みのようなものを作る。その家の骨組みのようなものの中に藻が入ってるんですね。藻は太陽の光を浴びて、光合成をしてでんぷんと酸素を作る。そのでんぷんと酸素が周りの家の骨組みを作ってくれてる菌類に提供される。お互いに持ちつ持たれつの共存関係というのかな。まあ今風に言えばwin-winの関係なんですよね。そのwin-winの関係でもって地球の陸地のありとあらゆる場所に進出できるのが地衣類なんです。多分地球の陸上で一番強い生き物だと思ってます。
ひとつ私が今夢見てるのは、将来人類が火星に進出するとき、いつまでもヘルメットや宇宙服を着てられないので、火星の環境を地球みたいにしてヘルメットを外そうじゃないかということなんです。火星の空気中に酸素を増やす時、光合成生物を送るんだけども、やはり火星の過酷な環境に適応できるのは地衣類しかいないんじゃないかと思ってますね。地衣類を送り込んで、火星の空気に酸素をどんどん増やしていくというのが私の地衣類を使った火星テラフォーミングの夢です。今アニメやコミックなんかでテラフォーマーズってありますけども、あれの背景にあるものですね。
やがて地球は人間が増えすぎて住みにくくなっちゃうから火星に移住するんだって話ですけども、その前に火星の環境を地球のようにしておこうというようなものをテラフォーミングといいます。


ちなみに地衣類は苔とはちょっと違います。苔は自分だけで光合成して生きてる。
でも地衣類は、「藻」は菌類の骨組みの中で守られながら光合成して、その栄養を、いわば「家賃」のように菌類に払うことで生きているんですね。見た目も苔と違い、もっとペタッとしてます。
菌類と藻が、お互いwin-winの関係を築いている地衣類。この生き物は、ある意味 地球上の生物の分かりやすい「お手本」だと長沼さんは話します。

◆1+1=3の関係
地衣類の共生関係は、言ってみれば1+1が2じゃなくて3になるような関係なんですね。単に2つのものが存在するんじゃないんですよ。2つのものが力を出し合うことによって、より大きなものが得られるってことですね。これを共生関係と言うんだけども、まさに地衣類はそのお手本ですね。
自然界には沢山の生き物がいる。それらの生き物の中にはもちろん1+1が2に留まるものもいるけど、中には1+1が3になるようなものもいっぱいいるわけですね。生態系ってものは単にいろんな種類のものが集まって成り立ってるのみならず、1+1が3になるようなパワーを発揮しているのが生態系であり、生態系というのは抽象的な概念ですけども、実際には森という実態がありますよね。森という実態は本当に1+1が3の世界が現実に存在するってことなんです。
そこを私たちが見ていかないと、単なる生き物の集団、集合体、1+1は2以上じゃなくなっちゃうわけです。なんとかその3の部分を見ていこうじゃないかと思ってます。


長沼さんのお話、いかがだったでしょうか。
来週も引き続き長沼さんにお話を伺っていきます。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Breakout / Swing Out Sister
・呼びにきたよ / 地球三兄弟


パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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