今週のいのちの森は、宮城県南三陸町で始まったバイオマス事業のレポートです。

バイオマス…木材やゴミなどを利用した再生可能エネルギーに使われる言葉なんですが、南三陸ではいま、このバイオマスを利用して、森・里・海、そして人を繋ぎ、地域の資源を循環させるための取り組みがスタートしているんです。

東日本大震災で、大きな被害を受けた南三陸町は、震災直後に示された復興計画に
「エネルギーを、できるだけ地域で賄えるように備える」という方向性が示されました。これは、被災直後に電気やガス、灯油など暖を取るためのインフラが全て断たれたことを、教訓としたもの。
そして生まれたのが「南三陸バイオマス産業都市構想」。南三陸の自然と人々の力で、資源を地域の中で循環させようという構想です。
今回その構想から生まれた南三陸のバイオマス施設を訪れ、運営会社であるアミタ株式会社の櫛田豊久さんにお話しを伺いました。

◆未来に誇れる南三陸町のまちづくり
南三陸の特徴はと聞くと、ほとんどの人は森、里、海がコンパクトにまとまっていること、と答えると思います。降った雨はみんな南三陸の土地を通って南三陸の海に流れる。じつはこれって全然当たり前ではないんです。
南三陸町の場合は隣の街との境目がみんな分水嶺で囲まれているので、降った雨は全部南三陸で循環していく。いわば地球の縮図なんです。そんな街だからこそ、「森・里・海循環型の地域モデル」が作れるんじゃないかと思い、それを目指したのがバイオマス産業都市構想です。国に対し申請して承認されました。バイオマス工場と木質ペレット施設で地域の中にあるものを地域の中で循環して、できるだけエネルギーや資源を地域の中でまわしていくという、自立分散型の構想です。
南三陸町は「海の街」と言われているが、じつは7割は森です。その中で「材」として使われているのは半分ぐらいで、残りは森に捨てられたりしている。そういったものをうまく地域のエネルギーとして使っていくというのが「木質ペレット事業」です。
もう一つはバイオマス事業。生ごみとかうんちとかおしっこを微生物の力で分解して、ガスを発生させて、電気と熱に変える。そして液体や肥料も作り出す。この施設は生ごみを微生物が分解したガスで発生したエネルギーで賄い、余った分は東北電力に売電しています。残りは南三陸の農家さんで肥料として使っています。南三陸の液肥はミネラル分がたくさん入っていて優秀だと専門家に言われました。魚や海の生ごみが入ってきているから、山のほうの液肥よりもいいというんですね。山や海が健全なら、地域の中で好循環ができる。人と自然が折り合えるような、共生できるようなしくみをつくるのが循環型の一つの要素ですね。


ということで、南三陸町ではすでに、地元の木材を使ったペレットという燃料で、ボイラーを動かす施設もあるそうです。
そしてもう一つ、バイオガス事業なんですが、こちらも去年10月から実際に、町内の家庭から出る生ごみの分別が始まっています。この生ごみが、地域で使うエネルギーになるんですね。

◆バイオガス事業
去年の2015年の10月から、今まで燃やして焼却してた生ごみを分別してもらうことでエネルギーと肥料に変えようというバイオガスの工場を始めました。ここに持ってこられたみなさんがちゃんと分別してもらったごみは100%資源になって、ここからごみは出ないというすごい施設なんですよ。それが南三陸にあるというのはすごく誇りです。
バイオガス施設というのは、メタン菌という菌がいて、人間の腸内細菌みたいなもので、人間の消化システムと同じようにメタン菌が有機物を分解します。しかし、例えば梅干しの種とか卵の殻とか、一見生ごみっぽいやつでも人間が食べて消化できないのと一緒で、バイオガス施設にいるメタン菌も消化できないんですね。とするとそれは分けてもらわないといけないんですよ。今なかなかそれが十分量的には物は集まってなくて、それがひとつの課題です。

この間、小学校の授業で、給食がエネルギーと肥料に変わって、またその肥料からお米とか野菜が取れてみんなのとこ戻って行くんだよっていう話をしたんですが、その子たちが10年後20年後になって大人になったとき、今学んでることが当たり前の時代になると思うんですね。そうすると時代の最先端を南三陸町の子どもたちは走るということになるので、それを今から楽しみにしてるんです。
こういうのを徹底的にみんなが主体的に取り組んで、「すごい楽しそう!」って言われるようなところまでいけば、南三陸ってすごいじゃない!ということになると思うんです。震災後の人口減少を食い止める策としては、やっぱり誇れる街にするっていうことと、新たな産業を生み出して働く場所を確保するということです。外に出ていってるお金を徹底的に中で回していって、新しい産業を生み出してっていうことがやっぱり必要なので、それが雇用の創出なんかに繋がってると思うんですけど、それをトータルに表現したのがこのバイオマス産業都市構想というとこなんですね。


このバイオガス施設、名前だけ聞くとすごくハイテクな印象ですが、運営会社アミタ・櫛田さんによれば、「タンクにメタン菌を住まわせて、菌の力で生ごみを分解するだけ。実にローテク、シンプルな施設です」。ということなんですね。つまり腸内細菌のように、私たち人間が菌の力を借りているというようなイメージでしょうか。

今回のお話はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・1.2.3.4. / Feist
・10/10 / Paolo Nutini

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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