あけましておめでとうございます!今年もどうぞよろしくお願いいたします!
年をまたいで今週も、世界の海を股に掛ける水中写真家・中村征さんのインタビューをお届けします。
流氷ながれつく知床、東北・気仙沼から、東京湾まで、各地の海に、カメラとともに潜り続けてきた中村さんですが、今回はそんな中村さんが、数十年にわたり追いかけている沖縄の海と、そこで営みを続ける「うみんちゅ」たちのお話です。

〜中村郁夫さんの「美ら海 きらめく」には、すごく魚と近くて、正面切って向き合ってるシーンもすごく多くあるなと思ったんですが、この一枚はどうやって撮られたんでしょう?
 相当時間かけてます。一枚撮るのに一時間じゃきかないですね。魚が僕を危険な生き物じゃないと認めてくれるまでは近づけてくれないんですよ。普通はサンゴの中なんかにヒュッと入っちゃいますよね。隠れてしまいますね。だからいつも笑われるんですが、僕は動かないんです。動くと魚は逃げちゃうんです。だから動かないでじっとしてると、自分の縄張りを荒らしに来た生き物じゃないんだなって思うようになるんですね。僕の写真は5僂箸10僂箸、近くで撮ってるのが多いです。だから触るくらいまで近づいて撮ることが多いんですけども、そこまで近づけてくれるには相当の時間をかけないとだめなんです。
 一緒に潜ったアマチュアの方たちが一時間くらい楽しんで戻って来ると、僕まだ同じところにいるわけですよ。これはみっともないなと思って、死んでるんじゃないかなと思われるかなと思うから、わざと立ち上がって、岩を一回りしたりしてみんなと挨拶して、みんなが船に上がるのを見届けてからまたそこで粘るとか結構気使いますね(笑)「全然動かないですね」ってよく言われますよ。
 ドーンと飛び込んで、下に撮りたいものがペアでいた場合、一気に近づくとすぐ穴の中に入っちゃって出てこないから、徐々に徐々に近づくんです。最低50僂箸近づいていって、そこからまた徐々に寄っていくんだけども、水の中だから波長とかでこっちの気持ちまで全部わかってるしまうんですよ。例えばピント合わせながら「うまそうだなあ」と思うとすぐ逃げちゃう。ヒラメとかカレイとか。それで、カメラのレンズが飛び道具に見えちゃうから、レンズは向けないように斜めにしておきます。それで、呼吸したときに泡がバーッと出るでしょ。あの泡も嫌うんです。だからポロポロ、ポロポロっと少しずつ出すようにして、本当にだから大変ですよ。


〜撮る瞬間はどうなんですか?魚たちは撮られた!って思う?
 まず自分の縄張りを守ってるから、小さな穴があれば穴の前でデンと構えてるんですよね。縄張りを僕によって追い出されちゃうと、すぐ餌として他の魚に食べられちゃう可能性があるんです。だから何があってもここは守らなくちゃいけない。それでもう怖い顔をして僕をにらみつけてくるんですよね。それで僕は目と目を合わせないようにして、隣にある丸い石とか四角い石をじっと見てるんです。「良い石だなあ」なんて言って。そうすると魚もね、フッと石を見るような気がするんですよ僕は。「何見てるの?石なの?この石か?」ってフッと顔を背けてね。だから僕は魚の顔と石と僕と三角形の頂点にいるようにするんですよ。そして今だと思ってヒュッとカメラ向けてパシッとストロボ光るじゃないですか。そうすると「やられた!」って感じでピョンッとジャンプします。そして背びれが全部立ちます。ピッと。緊張した瞬間ですね。その瞬間をもう一枚パシッと撮るとまたピョンとジャンプして。でもねそのジャンプは二回までです。たったの二回で「光ったストロボは大丈夫」って学習しちゃうんですよ。もう驚かない。あとはどんどん前にくる。おそらくレンズのガラスに自分が写るんじゃないかなと思うんですよ。それで覗きに来ちゃうんじゃないかな。「なんだこいつ?」みたいな。だからそうやってほとんど騙し合いですね。自然に住む生き物と駆け引きして、やったぜ!って瞬間はものすごく快感なんですよね。

〜新刊のお話をさせていただきたいんですが、「遙かなるグルクン」が出たばかりですね。この番組でも沖縄の伝統木造船「サバニ」を取材したんですが、本当にサバニに乗っている漁師たちの今とそして昔がわかる一冊だなと思ったんですが、これはいつから撮影されてるんですか?
 最初は40年程前ですね。当初はカラーで撮ってたんだけれども、数年してこれは失敗した!と思ったんです。この漁師たちとこの漁の様子っていうのは、カラーではこの味は出せない。色が逆に邪魔しちゃうなと思ったんです。沖縄の青い空とか、白い雲、青い海、カラフルないろんな船の装飾品とかが先に目に飛び込んできちゃうので、彼らの勇壮な漁業、それから彼らの生い立ち、厳しい訓練を受けて一人前になった人となりがカラーでは出せないなと思って白黒に切り替えたんです。それで三十数年になります。もう一回撮り直したって感じです。

〜なんでこんなに沖縄の海きれいなのに、全部モノクロなのかなって思ったんですよね。
 そう思うでしょ。だから色を想像してほしいということなんですね。一枚の杉の木材を削って作ったのが刳り船といって、サバニはさらにその一枚の杉の木材を貼り合わせて作ったのがサバニで細長いんですね。それで非常に不安定です。横揺れが激しい。ただスピードが出るんです。だからそういう設計なんですが、「サバニ」の名前の由来はあまり知られてないんですけども、サメのことを沖縄の方言でサバって言うんです。サバニは杉材なので強烈な太陽の光を浴びて痛むんですよ。だから亀裂が入ったりするし、それでサメの肝臓をよく塗るんですね。それによって腐食を防ぐわけですよ。だからしょっちゅうその木造の舟で沖合に行ってはサメを釣って、サメを満載にして帰ってくる。サバの荷を満載にしてくるからサバニと呼ばれるようになったということらしいんですよ。

今回のお話いかがだったでしょうか。
今日のお話に出てきた写真集『美ら海 きらめく』『遙かなるグルクン』はナショナルジオグラフィックから出ています。ぜひお手に取ってみて下さい。

『美ら海 きらめく』 『遙かなるグルクン』

【今週の番組内でのオンエア曲】
・光 / 宇多田ヒカル
・Only Love Can Break Your Heart / Neil Young

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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