先週に引き続き、東京の西早稲田にある、「木組み博物館」からのレポートです。
一昨年の11月にオープンしたこの博物館、木組みはじめ、日本の伝統的な建築技術に、実際に触れることができる博物館。木材だけでなく、木材にについても学ぶことが出来ます。
実際、博物館には、色んな木の「切り株」もそのまま展示されていて、木が、木材として生まれ変わる過程で、どんな手が加えられているのか、どんな知恵が隠されているのかを知ることが出来るんです。
ということで木組み博物館・館長、谷川一雄さんに展示されている切り株を前に説明していただきました。

◆死に節と生き節
「枝打ち」っていうのをよくしますよね。山に入って、若いときに下の枝を落としたり。この状態で木がどんどん成長していくと、枝打ちした面がかくれちゃうんですね。そうすると材料として使う時も、節の穴がない材料で、建築材としてはいい材料になる。
枯れた枝も同じように、くるまってくると皮がついた状態になるので、節のところを叩くと、その部分が抜けちゃうんですね。枯れたところは、枯れた枝が木にくるまれていっちゃうんで、枯れたものは残っちゃうんです。
ところが、生きている枝がくるまっていくと、枝と本体の幹の部分が一体になるので、材としていい材料になる。「死に節」「生き節」っていうんです。節がない方が材料として高いから、日本人は結構好みで、そっちを使うんですけど、でも木はもともと節があるものだから、あっていいと思うんですね。西岡常一さんは木を生えているまま使えっていう。南側には枝がいっぱいあるので、柱を立てたときも南側には節がいっぱい出ている。それはそれでいいんですね。

薬師寺三重塔を修復した伝説の宮大工・西岡常一さんの言葉「木は生えていたままに使え」。
昔からの日本の大工さんの知恵も教えてくれたわけですが、そのほか博物館には、土壁の左官技術や、日本古来の釘「和釘」、 鬼瓦や、木彫りの彫刻などなど、本当にいろんな展示がありました。その中から、左官技術、そして漆の技術についての解説です。

◆土壁と漆
 これは土壁がどうやって塗られていくかっていうことを表している模型です。「竹小舞」っていうんですが、竹を割ったものを縦横に縄で組んで下地をつくります。それに粘土質の土と藁を刻んだものを混ぜて、水を混ぜてこねるんですよ。しばらく経つと発酵してきて、それでまた切り返しっていうことでこねるんですね。それで半年以上寝かせる。藁に含まれているバクテリアが藁自体を柔らかくし、土も噛み砕いて柔らかくして、強くして、それで塗るので丈夫なんですね。
この材料は再利用できるんです。100年経ったような土壁がありますよね?それもまた水を入れて藁を入れてこねるとまた使える。だけども、漆喰が塗ってあると、漆喰は強いアルカリなんで、混ざっているとだめなんです。自分があるとき、蔵を壊したときに土を取っておいたんですよ。そのとき漆喰が混ざってたんですが、ふるいにかければ、漆喰が取り除かれていると思ってたんです。そして20年位経って、いざ使おうと思って左官屋さんに話してみたら、ふるった土を見て、ちょっと白いものが混じっていたので、「これひょっとして漆喰入っていますか?」って言うんです。実はこうだったと言ったら、それはだめだと言うんです。このなかでバクテリアがアルカリ性になったせいで働かないからだめだっていうことで、結局20年撮っておいた土を捨てて、また新しい土を買ったんです。

 これは漆です。削って、漆を塗って、順番にこうやっていいくんですが、実際には13回くらい塗っています。塗っては削り、塗っては削って、だんだん仕上げの方に行くと、細かい材料を使って、仕上げていく。これは塗りっぱなしの仕上げなんですよ。刷毛目を残した「刷毛跡の美」は、工芸の先生でも、そういうのがいいという人もいるんです。平の方がいいという人もいて、それは好みの問題ですね。自分は刷毛目があってもいいと思いますけどね。きれいですよね。
漆って英語では「japan」っていうんですね。いま、日本に残っている最古の漆を使った製品っていうのは、函館にある遺跡から出てきたんです。それは副葬品で出てきたということなんですが、肩に当てる木に漆が塗ってあったんです。それは9000年前なんですよ。縄文時代ですね。中国で発見されているのは7000年前らしいんですよ。日本のほうが2000年古いんです。それにもっと驚いたのは、北陸地方で貝塚の中から、漆の枝がでてきた。ということは、やっぱりこういうふうに接着剤として使ったりとか、器に塗ってたかもしれない。それはなんと12600年前なんですよ。その時代にもう漆を使っていた軌跡がある。何に使っていたかというのはわからないらしいんですが、でもそれだけのものがあったということなんですね。

いま、国産の漆はほとんど建築に使われていないそうで、これをなんとかしないと、「英語でジャパン」と呼ぶ本物の漆の文化はどんどん衰退していくことになるかも、ということもおっしゃっていました。
最後にもう一つ。宮大工の技術ではなく、日本のお茶室などで見られる「数寄屋造り」と、そこに使われる木材のお話です。

◆数寄屋造り
お茶室とかにつかう銘木で、たとえば、こういうアカマツの皮付きのものとか、京都の北山の磨き丸太とか、昔よく女性が冬の寒いときに、特殊な砂をつけて、水で磨いてきれいにしたんです。こういうのは錆丸太っていって、ヒノキの皮を剥いだところにカビがでてきてこうなる。こっちは絞り丸太。これは人工的につくっているんですが、ツルツルです。天然の絞り丸太っていうのは高いみたいですね。天然のものだと1本100万だとかいうのもある。それを人工的につくったりするわけですよね。
 数寄屋大工さんとか宮大工さんとか、普通の大工さんとか、いろいろいるんですが、お茶室をつくるのは数寄屋大工さんなんですね。それぞれ少なくなってきていますね。だから、木造のお茶室を作りたいとか、木造でお寺とか神社をつくりたいとか、そういう人がいれば、材木屋さんも材料を売れるし、大工さんも仕事ができるし、関わってくる左官屋さんだって屋根屋さんだって、仕事になっていくるわけですよね。だからやっぱり消費者のつくりたいって言う人がいないとなかなか難しいんじゃないかと思うんですけどね。

木組み博物館は、外国人の来場者も多いそうで、ヨーロッパから建築を学ぶ学生が真剣に見学する姿もあるとか。海外には見られない「木組み」を体験すると本当に驚くそうなんです。また、最近は若い世代で宮大工の技術を学びたいという人も増えているそうです。
こういう伝統技術、文化を継承する人だけでなく、博物館を見学してご自宅を建てる・リフォームに採用するのも技術の保護に繋がるのかもしれませんね。


今回のお話はポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・明日へ / Galileo Galilei
・Change / MONKEY MAJIK

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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