今週も先週に引き続き、『森林ジャーナリスト』の田中淳夫さんのインタビューをお届けします。
森と人との関係をテーマに取材、執筆活動を続けている田中さん。海外の森に入ることも大変多いということなんですが、今日は田中さんがこれまでに出会った、森のなかでの不思議な体験について、色々伺います。


〜田中さんは森と人をテーマにしたいろいろな本を出されていますが、最新刊が「森は怪しいワンダーランド」。タイトルからしてとてもわくわくするのですが、この本では田中さんが体験した世界の森のお話がたくさん書かれています。いくつか教えていただけますでしょうか。
わたしは全然霊感のようなものが無いのですが、何年か前に南太平洋のソロモン諸島に行ったんです。これは学生の探検部と一緒に、そこにある洞窟を調査する目的で行ったんです。ソロモン諸島のなかにシンボ島という小さな島がありまして、そこに火山洞窟があるということで行きました。そこの地元の村の方々に泊めていただいて、5人で生活をしながら洞窟を調べるということをやっていました。
ある夜、5人とも寝ていたのですが、私だけふと目が覚めると、小屋の外から音がするんです。はじめは誰かが騒いでいるのかなと思ったのですが、だんだん笑い声が聞こえてきて、歌声が聞こえてきて、犬の鳴き声が聞こえてきて、お祭りをやってるんだなと思ったんです。見に行きたいと思ったのですが、よそ者が勝手に覗いていいのかななどと考えていたら、どんどん声が大きくなって、小屋の周りが全部騒ぎ出したんです。これはぜひ覗きに行きたいと思って、起き上がって外へ出たら、ぱたっと音が消えた。周りを見ても誰もいない。街灯もないようなとことですから、真っ暗闇で月の光だけなんですね。不思議だなと思って、翌朝村の人に聞いたら、精霊が出たんだろうって言うんです。一緒に行った学生たちに聞いても全然気づいていない。私だけが経験したんですね。これは空耳ではないってわざわざノートにメモを取っているんです。


〜田中さんが精霊の話を地元の方に聞いても当たり前みたいな感じなんですか?
いまはだいぶ時代が変わってきて、もうそんなの昔話だよという人もいるんですが、子どものころ見たという人も結構いらっしゃるんですね。ほんの少し前まで、精霊と一緒に生きていたという人たちなので、そういうのを感じる能力があって、いまは全然感じないけど、昔子どものころ、精霊よく出たな、って皆さんいいますよね。

〜他にもなにか不思議な体験がありますか?
国内では、私は仕事もあって、紀伊半島の中の山村巡りもしたのですが、せっかくだから、キャンプして、夜は森のなかで寝ようと思ったんです。車で行っていたんですが、テントを貼ろうとしたら雨が降ってきたので、しょうがないから車の中で寝ていたのですが、暇ですよね。だからカーラジオのスイッチを入れて聞いていたら、始まったのが怪談なんです。それも山で遭難する話なんです。わたしは霊感がないので怖くはないのですが、ふーんと聞いていて、そのうちに電波が乱れてきたのでチューナーをいじったら、電波が入る局があったんです。そうしたらまた同じ怪談話がはじまるんです。でもこれはキー局の番組を系列局が流しているんだと思って切ったんです。でもやっぱり暇なのでまたスイッチを入れたら、また同じ怪談が始まったんです(笑)さすがに同じ怪談を3回聞いたらやっぱり気分悪かったですよ。その晩は眠れませんでしたね。

〜そういう森のなかで見たり感じたりするものってなにかあると思いますか?
精霊がいるかどうかというのはその人たちの感じ方で、絶対にないとは言えません。私自身も感じたわけですから。でも森に何の興味もない人は森に行ってもなにも感じないと思うんですね。やっぱり森に興味があって、未知の部分を感じていたりとか、憧れているとか、そういうものを持っている方が、感じたりするんでしょうね。実際にいるのか、頭の中だけで感じているのかわかりませんが、そういう思いがいちばん必要なんじゃないかと思うんですね。

〜番組では奄美のケンムンという精霊の話を取り上げたこともあるのですが、田中さんはケンムンはいると思いますか?
私自身がケンムンを感じたということは無いのですが、そういう話は聞きますよね。沖縄ではキジムナーという名前になって存在するという話もあります。沖縄でも同じような経験があって、私は全然霊的なものは感じないのに、ある森に行ったらビンビン何か響くんですよ。空気が圧迫されているような感じで、そいうい森があるんですね。その森は地元では聖なる木があるとされている森だったんですね。

〜やっぱり科学では説明できないものっていうのはきっとありますよね。
樹齢1000年、2000年の木を見てなにかを感じたり、あるいは岩なんかでも感じるという方がいますよね。そういう大きな自然物はなにか感じるという人もいるわけですよね。だからそいう自然に対する崇拝とか憧れとか、そいういう気持ちが心のなかにあるんだろうと思うんです。特に日本人は自然を敬う気持ちを持っていて、それが無意識に出てくるものなんじゃないかと思うんですけどね。

〜田中さんが日本や世界の森を取材していく中で、木とか岩とか、印象深かったものってありますか?
私はボルネオによく通っていたことがあるのですが、熱帯雨林を行くと、森の中にはものすごい数の生物がいて、動物もいれば昆虫もいれば、菌類のような目に見えないものもいっぱいいて、それに自分は囲まれているんだと思うと、なにか感じるものはありますよね。

田中さんのお話いかがだったでしょうか。今回のインタビューにも出てきました田中さんのご本、新泉社から発売中の『森は怪しいワンダーランド』を3名の方にプレゼントしたいと思います。
ご希望の方は、番組のウェブサイト”MESSAGE”のところから「プレゼント希望」と書いて、2/24(金)までにご応募ください。ご住所、お名前も忘れずに!

「森は怪しいワンダーランド」新泉社 田中淳夫著

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Paris / The Chainsmokers
・りんごの木 / 大橋トリオ

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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