さて、草むらで鳴く虫の声もだんだん少なくなってきましたが、きょうは昆虫をめぐる、興味深いお話をたくさんお届けします。
スタジオにお越し頂くのは昆虫植物写真家 山口進さん。ジャポニカ学習長の表紙を飾る昆虫や植物の写真をずっと撮影してきた方です。
何十年にもわたり世界中を旅して写真に収めてきた、不思議な昆虫たちの話、いっぱい教えて頂きます!


〜山口さんを語る上で絶対に欠かせないのがジャポニカ学習帳です。みなさんも小学生の頃、学校のノートに不思議な昆虫たちの写真が表紙になっているのを記憶している方も多いのではないでしょうか。これは全て山口さんが撮影した写真なんですよね。どのくらいの期間撮影していたんですか?
40年近いんじゃないでしょうか。おそらく表紙だけで2000点くらいだと思うんですね。


〜もうほとんど日本にいらっしゃらなかったんじゃないですか?
ひどいときは一年のうち300日くらいはいなかったですね。僕が興味があるのが赤道周辺なので、インドネシアとかアフリカの中央部とかアマゾンの周辺によく行ってました。

〜きっといろんな世代の子どもたちがジャポニカ学習帳を手にしていると思うのですが、子どもたちの記憶に残っていることについてどう思われますか?
やっぱり写真って記録ですよね。いま、どんどん自然が失われていますから、そういうものがいたっていうことも記憶の中にとどめておかないと、いなくなって当たり前の世界が広まってしまうとまずいんですね。ですから、我々のひとつの使命はやはり記録に残していく。それまではいた、こういう環境があったっていうことを見て、子どもたちが、たとえばもっときれいな環境を作ろうとか、そういうふうに考えてくれることをいちばん期待しているんですけどね。

〜最初のころに撮った昆虫とかで、結構もう数が少なくなってきてしまっているのもいますか?
たくさんいます。とくに日本では草原性の蝶が特に少なくなったんですね。草原って放っておくと林になるんですよ。むかしは人の手によって、たとえば野焼きがあったりして、いつもゼロクリアしていたんですね。それがいまは放置されてどんどん林になっています。それから、草原っていうのはやっぱり開発されやすいということもありますね。そういうことで草原がまず消えていった。それで草原の虫がほとんど消滅しましたね。昔は茅葺屋根がたくさんありましたから、その材料を取るのに広大な草原が必要だったんですね。ですから、万葉時代はほとんど日本って、草原の国だったんですよ。そのなかで、いろんな秋の七草とか、鳴く虫とか育ってきたんですよね。ですから、いまたとえば、フジバカマなんていうのは本当に見るのが大変なんですね。そういうものが消えていっているということですね。

〜山口さんの本「珍奇な昆虫」のカバー写真になっているのがハナカマキリですね。これは、花にしか見えないですが、なんかランのようなというか、ユリの花のようですね。
まさにその通りで、英名をオーキッド マンティスっていって、ランのカマキリっていう意味なんですよね。これを最初にタイで見つけたんですけれども、一般的には、このカマキリはランに似ているから、ランのところにいて、ランのところに来る虫を捕まえているというふうに思われてきたんです。でもいくらランのところを探してもいないんですよ。それで変だなと思っていたら、インドネシアに高い山があって、そこにいったときにたくさんいたんですね。まあたくさんといっても、元々少ないんですけれども、一目で10匹くらいいた場所があって、それは畑の中なんですよ。畑の中にはいろんな雑草の花が咲いているんですが、それにミツバチが寄って来るんですよ。そのミツバチを狙ってる。ミツバチがハナカマキリに寄ってくるんですけれども、最終的にはハナカマキリの顔をめがけて飛んで来るんです。まさに自分を食べてっていうふうに飛んでくる(笑)そこをすかさずハナカマキリはガッと捕まえて食べるんですね。百発百中なんです。

〜なんで顔に?
それが変だと思って、じつはある大学にそれを持ち込んで、化学分析してもらったんです。そうしたら、ミツバチが仲間を認識するのに使っているフェロモンと同じものをハナカマキリはあごのところに持っていたんですね。だから、最初は花だと思ってミツバチは飛んで来るんだけれども、近づくと臭いがするので、顔に向かって飛んで来るようになっているんですね。

〜じゃあハナカマキリは主にミツバチを寄せている?
はい。その理由はいろいろあるんですが、ミツバチは一年中巣を作って活動してますから、いつでもいるんです。そうすると、一番いいエサなんですね。しかもはちみつっていう、栄養の高いものを持っているから、エサとしては最適なんですね。そういふうにハナカマキリは進化してきたのかなっていうことがわかったんですね。

〜じゃあいままでの学説はちょっと違っていて、あごにフェロモンを持っていて、対象はミツバチだったと。
そうです。だから、いつも葉っぱの上にいて、自分が花になってるんですね。それと、ランっていうのは、寄って来る昆虫が決まってるんです。だから、ランが咲いてもなかなか昆虫は来ないんですよ。そんなところで待ってたら餓死しちゃうっていうことですよね。

山口さんのお話いかがだったでしょうか。来週も引き続きお話を伺います!


山口進『珍奇な昆虫』/光文社新書

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Time To Wander / Gypsy & The Cat
・Starry / THE CHARM PARK

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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