高橋:さて、この番組「鎮守の森のプロジェクト」、「潜在自然植生」という言葉があります。かんたんに言えば「その土地に本来根付く植物」。
人の手が加わらず、ずっと自然の成り行きに任せると、その土地で生き残り育つ植物。

今回はこんな取材です。東北・東松島の森と潜在自然植生について
若き研究者と一緒にフィールドワークして、謎を解く! という企画。クエストです。
番組ではおなじみ、東京農大の研究者で、私の植樹の師匠・西野文貴さんとともに、
森を歩いてきました。


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高橋:ここは何度も訪れている場所で景勝地として有名な松島の奥にあり「奥松島」とも呼ばれていますが、入り組んだ海岸線から松島湾を一望できる山、縄文時代の貝塚なども残る自然豊かな場所となっています。今日はここを西野さんと一緒に散策するということで早速ちょっと歩いてきましたが。

西野:いま目の前に、いつも植えているタブノキが、
樹齢は何年かわからないですが
例えば九州のタブノキだとまっすぐ上に伸びて
15mから30mは伸びるんですが、東北は寒さや霜、景勝地で
海から近く風も強いのでずんぐりむっくりした東北っぽい形なんですね。
これがこっちのタブノキの顔で僕としては見所なんです。
上に行くというよりずっしり横に力を蓄える感じ。
そうすると樹齢は分かりにくくなるんですが、
これで100年以上経っていると思います。
大人が3、4人ぐらいで手をつないでようやく届くくらいの太さですね。






高橋:タブノキは植樹で小さいのを植えているじゃないですか。

西野: 50センチから70センチくらいですよね。
あれがこうなるとはちょっとびっくりですね。


高橋:上を見上げると神様がいらっしゃいますねという感じがしますよね

西野:やっぱり地域の人がこの木が大事だとしているので、
そこにお社を立てらっしゃって大事にしていますね。


高橋:タブノキが楽しみだとおっしゃっていましたが、この大きなタブノキはなぜ見に行きたいと思ったんですか

西野:いつも木を植えていただいていますが、そのタブノキは自然界ではどこにあるのかを見ていきたい思って。それで今日は話の冒頭で出た潜在自然植生みたいな話も織り交ぜつつ見ていこうかなと。

高橋:確かに潜在自然植生を毎年植樹していますが、
植樹を経ちょっと大きくなったのを見たけど目の前にいるのがまさに自然の中の潜在自然植生?


西野:そういうことなんです。
人の活動が一切なくなったと仮定したときに
そこにどんな自然が目の前で繰り広げられるのかというのが
潜在自然植生の概念みたいなものなんですけど、
それって言葉で言うと難しいんですけどいま
目の前の大きなタブノキ、100年以上経つタブノキを見ると、
やっぱりこの地域を支える故郷の木はタブノキなんだなというのが
改めてわかっていただけたかなと。




高橋:こんな立派な木が、私たちが植樹をしたところに何十年・何百年かけて大きくなっていくことがここに来ると想像できますね

西野:しかも、これは桜ですね。
これは山桜ではなくて園芸の桜で、園芸的な桜、植えられている。
ということは間違いなく地域の人たちにとって
このタブノキの周りは大事な場所で、
ここでお花見をしたり壊さないようにというシンボル的なものもあるのかなと。


高橋:園芸用ということはこのタブノキが先にあって、この周りでみんな憩いの場を作ろうとしたと言う事ですね

西野:そういうことです。
ちゃんと歩けるようにして来られるようにして社も作って、
みんなでお花見をしよう、この土地を守っていこうと。
では、タブノキってそもそも人々に利用されてきたのか。
実はタブノキは皮を剥いでそれを粉にして、
昔は蚊取り線香のつなぎ粉として使っていたんです。
ちょっと近づいて触ってみると、分厚くてうろこ状みたいになっている、
パリッと剥けます。この樹皮をはいで乾燥させて粉にして
つなぎ粉にしていたんです。やっぱり植物と人間は、
僕の恩師である宮脇先生もおっしゃっていましたが、
いろんなことに利用されますし、人間と常に共存共栄をしてきたので
今日もその辺が垣間見られるところがあると良いなと思いますね。
でもちょっとせっかくなので木の近く、周りも見てみようかと思います
。面白いのが下にあります。ちょっと小さいんですけど、
10センチちょっとくらいの小さな木々があります。
これはヤブコウジといいます。
これは僕がいろんな自然林を調査したときに
タブノキの林やスダジイなど常緑樹の林に自然に見られる小さな木なんです。
大きくなっても大体これぐらいなんですね。
10センチ20センチ。いわゆる、良い森林は4層構造と言って、
高い木、次に高い木、低い木、そして草もある。
これは植樹もしてないのにここにいるということは
僕らがいつも植えている木々も成長すれば、
こいつらがいつか入ってくるということなんです。
これはまだ植樹祭でヤブコウジを植えるかと言うと植えないですよね。
植えないけれどこういう樹種がだんだん入ってくれば
本当の自然の森に近づくと目安になっているんですね。



(ヤブコウジ)

高橋:じゃあヤブコウジはは鳥が運んできたりしてということですか

西野:そうなんです。
それで今日はスーパーラッキーでヤブコウジの実がついているんですよね。
真っ赤な実。実は赤い実ってこの時期って結構縁起が良いと言ったりしますね。ヤ
ブコウジも別名があって「十両」と言います。
「マンリョウ」がよくホームセンターでこの時期に
縁起が良いということで販売されたりしていますが、
それは実の量によって名前が決まってくるんです。
目の前にあるヤブコウジは実がひとつ。
万両までは多くないよということで十両と名前がついているんですね。



(ヤブコウジ)

高橋:低い木も入ってきているということはここは良い森

西野:だんだんなっていくはずなんですね。
でもこの場所って先ほど話に出たように桜もありますよね。
だから完全に自然林にすると言うより、
自然も残しつつ人々の営みもありつつ、
ちょうど良い折り合いの場所なんじゃないかなと。
それで実はそういうのって昔から奥山は自然林として結構守られていて、
人が生きる場所を里山と言ったりするんですけど、
その境目にどういうものがあるかというとこういう風に
社があったり神社があったり、ここから奥は自然だよ、
ここから先は里山だよという合図の場所があったりしますね。


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高橋:東京農業大学の林学博士、西野文貴さんと行く、
東松島の潜在自然植生をめぐるフィールドワーク
レポートをお届けしました。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Life/Des'ree
・Oslo/The Little Hands Of Asphalt

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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